富士山周辺の温泉地は、絶景なら河口湖・山中湖、泉質なら下部・西山、交通なら石和・三島・箱根が選びやすいです。
ただし、富士山に近い温泉と、富士山がよく見える温泉は同じではありません。 本記事では9地域を、眺望・泉質・アクセス・旅行目的の共通基準で比較します。
富士山は2013年、「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産に登録されました。
登録対象は山頂だけではなく、神社、御師住宅、登山道、湖、湧水地などを含む連続資産です。湖や海から立ち上がる富士山の姿が、信仰と芸術の両面で大きな価値を持つことも示されています。UNESCO World Heritage Centre+2文化庁+2
その裾野には、山梨県の富士五湖や甲府盆地、静岡県東部、神奈川県箱根まで、性格の異なる温泉地が広がっています。
僕は10代から富士山へ登り、富士五湖、富士吉田、甲府盆地、静岡県東部、箱根を繰り返し歩いてきました。その経験から断言できるのは、宿選びでは山までの距離よりも、富士山の手前に何が見えるかが重要だということです。
湖越しに見るのか、町並み越しに仰ぐのか、長い裾野を見るのか。前景が変わると、同じ富士山でも旅の印象はまったく異なります。
なお、現地訪問は複数年にわたるため、営業時間、料金、泉質分析値、休館情報の根拠には使用していません。最新情報は、2026年7月31日に確認した自治体、観光協会、施設運営者の一次情報を基準としています。
富士山周辺の温泉地9地域はどう違う?
初めての富士山旅行なら河口湖、写真と静けさなら山中湖、温泉文化なら下部・西山、公共交通なら石和・三島・箱根が有力です。
本記事では、次の基準を用いて各地域を5段階で評価しました。
- 眺望:富士山を旅の主役として見やすいか
- 温泉個性:源泉、泉質、歴史に地域らしい特徴があるか
- 車なし:鉄道や路線バスで旅程を組みやすいか
- 周遊力:温泉以外の観光と組み合わせやすいか
点数は施設や自治体の公式情報、地形と方角、筆者の現地経験を基にした編集上の目安です。特定の宿泊施設やすべての源泉を格付けしたものではありません。
| 地域 | 眺望 | 温泉個性 | 車なし | 周遊力 | 最も向いている人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 河口湖 | 5 | 3 | 5 | 5 | 初めて富士山周辺に泊まる人 |
| 山中湖 | 5 | 4 | 3 | 4 | 写真、自然、静かな滞在を重視する人 |
| 富士吉田 | 4 | 3 | 4 | 5 | 登山、神社、遊園地を組み合わせたい人 |
| 下部温泉 | 2 | 5 | 4 | 2 | ぬる湯や湯治文化を味わいたい人 |
| 西山温泉 | 1 | 5 | 1 | 2 | 山深い秘湯と源泉を目的にする人 |
| 石和温泉 | 2 | 4 | 5 | 5 | 三世代旅行や電車旅行をしたい人 |
| 御殿場 | 4 | 3 | 3 | 5 | 車で富士山麓と箱根を巡る人 |
| 三島 | 4 | 3 | 5 | 5 | 新幹線を使って伊豆・箱根へ周遊する人 |
| 箱根 | 3 | 5 | 5 | 5 | 温泉街と総合観光を重視する人 |
富士山の眺望だけで選ぶなら、河口湖と山中湖が頭一つ抜けます。
一方、温泉そのものを旅の主役にするなら、下部温泉と西山温泉が魅力的です。箱根も泉質の多様性と温泉地としての規模に強みがあります。
宿泊料金は曜日、食事、客室、繁忙期によって大きく変動するため、本記事では固定の価格帯を掲載していません。比較するときは、同じ宿泊日、同じ人数、同じ食事条件で公式予約画面を確認してください。
目的別に選ぶ富士山周辺のおすすめ温泉地
旅行の目的が決まっている場合は、9地域を一つずつ比較するより、次のように絞ると選びやすくなります。
- 湖越しの富士山を見たい:河口湖、山中湖
- 町並みと富士山を撮りたい:富士吉田
- ぬる湯や湯治文化を味わいたい:下部温泉
- 源泉と山深い環境を重視したい:西山温泉
- 電車で大型温泉旅館へ行きたい:石和温泉
- 車で箱根や富士山麓を巡りたい:御殿場
- 新幹線を旅行の軸にしたい:三島
- 温泉、歴史、乗り物をまとめて楽しみたい:箱根
ここからは、9地域をすべて「向いている人・眺望・泉質・アクセス・注意点」の同じ順番で解説します。
富士山周辺の温泉地9地域を同じ基準で比較
河口湖温泉郷|湖越しの富士山を見たい人向け
河口湖は、初めての富士山旅行で眺望、観光、交通のバランスを取りたい人に向いています。
眺望: 湖の北岸や北東側から南方向を見ると、河口湖を前景に富士山を望める場所があります。水面、対岸、富士山が重なるため、富士山旅行らしい構図をつくりやすい地域です。
ただし、湖畔の宿なら必ず湖と富士山が同時に見えるわけではありません。建物の位置、客室の向き、階数、樹木によって景色は変わります。
泉質: 河口湖では複数の宿泊施設や日帰り施設が温泉を利用していますが、源泉、加水、加温、循環方法は施設ごとに異なります。地域名だけで泉質を判断せず、宿ごとの温泉表示を確認する必要があります。
アクセス: 河口湖駅を起点に周遊バスを利用できます。公式観光情報では、河口湖を半周するレッドラインがおおむね15分間隔、西湖方面のグリーンラインがおおむね30分間隔で運行すると案内されています。運行状況は変更される可能性があるため、旅行日当日の時刻表確認が必要です。富士河口湖町観光情報サイト│FUJIKAWAGUCHIKO
代表例の富士レークホテルは1932年創業で、河口湖駅からレッドラインを利用して約12分、バス停から徒歩約5分と案内されています。客室には富士山や河口湖を望む複数のタイプがあるため、予約する客室名まで確認しましょう。富士河口湖町観光情報サイト│FUJIKAWAGUCHIKO
注意点: 「富士山側」「河口湖側」「富士山と湖を望む客室」は同じ意味ではありません。
僕が眺望を優先するなら、予約画面の写真だけで決めず、客室の方角と浴場からの見え方を宿へ確認します。筆者の経験上、到着日の午後に雲が多くても、翌朝に山が現れることがあるため、日帰りより宿泊のほうが眺望の機会を増やせます。
一次情報:富士河口湖町観光連盟「富士河口湖をめぐる交通ガイド」「富士レークホテル」、確認日2026年7月31日。
山中湖温泉|大きな富士山と高原の空を楽しみたい人向け
山中湖は、湖、空、富士山を広く眺め、写真や自然散策を楽しみたい人に向いています。
眺望: 富士山は山中湖の南西側に位置するため、北岸側では湖を前景に山体を望みやすくなります。河口湖よりも空が大きく見え、富士山の量感を強く感じやすいのが特徴です。
泉質: 地域全体を一つの泉質で表すことはできませんが、日帰り施設「山中湖温泉 紅富士の湯」の源泉は、pH10.3、泉温26.1度、毎分150リットルのアルカリ性単純温泉と公式に案内されています。
これは紅富士の湯という個別施設の分析値であり、山中湖にあるすべての宿や温浴施設が同じpHという意味ではありません。紅富士の湯+1
アクセス: 紅富士の湯は山中湖インターチェンジから車で約3分です。公式情報では、2026年7月31日の確認時点で入館料は大人900円、平日は11時から19時、土日祝日は11時から20時と案内されています。料金や営業時間は変更されることがあるため、当日の公式案内をご確認ください。紅富士の湯
注意点: 湖畔では場所によって富士山の角度や大きさが変わります。温泉施設と撮影場所を同じ場所で完結させようとせず、宿泊地、入浴施設、湖畔の眺望地点を分けて考えると旅程を組みやすくなります。
霧に隠れる富士は、人の心の迷いに似ています。しかし、山中湖では富士山が見えない時間にも、広い空と湖面が旅を支えてくれます。
一次情報:山中湖温泉紅富士の湯「ご案内」「温泉」、確認日2026年7月31日。
富士吉田|登山・信仰・レジャーを組み合わせたい人向け
富士吉田は、温泉だけでなく、富士登山、神社、町歩き、遊園地を一つの旅行にまとめたい人に向いています。
眺望: 富士吉田では、湖越しではなく、道路、商店街、住宅、鳥居の向こうに富士山が現れます。
地形的に山体との距離が近く、町の暮らしと富士山を同時に感じられるのが大きな特徴です。
泉質: 市内には、ふじやま温泉、葭之池温泉、不動湯、富士山溶岩の湯「泉水」など、複数の入浴施設があります。使用する源泉や設備は施設ごとに異なるため、天然温泉か、客室風呂にも温泉が使われているかを個別に確認してください。【公式】富士吉田市観光ガイド
アクセス: 富士山駅や河口湖駅、高速バスの停留所を利用でき、車を使わない旅行も組み立てられます。
ふじやま温泉は通常時、河口湖駅から無料シャトルバスで約20分、富士山駅から約30分と案内されていますが、2026年6月24日から休館中です。再開時期は公式情報を確認してください。【公式】富士吉田市観光ガイド
注意点: 過去の旅行記事や地図サービスでは、休館情報が反映されていない場合があります。
温泉を旅程の最後に置き、現地で休館を知ると代替施設へ移動できません。予約時、出発前日、当日の3回、営業状況を確認するのが安全です。

一次情報:富士吉田市観光ガイド「ふじやま温泉」「富士山溶岩の湯 泉水」、確認日2026年7月31日。
下部温泉|ぬる湯と高温源泉を比べたい人向け
下部温泉は、短時間の立ち寄り湯より、湯温の異なる浴槽でゆっくり過ごしたい人に向いています。
眺望: 富士山の眺望を主目的にする地域ではありません。
川沿いの山間部にあり、旅の中心は富士山よりも、川音、山の陰影、温泉街の静けさです。
泉質: 身延町が管理する「しもべ奥の湯高温源泉」は、2026年5月21日の試験で泉温48.4度、毎分180リットル、pH9.4のアルカリ性単純温泉と分析されています。
2026年5月1日時点では14軒と契約し、31口へ接続していることも公表されています。自治体が源泉施設と送湯設備を管理している点は、現在の下部温泉を理解するうえで重要です。身延町公式サイト+1
アクセス: JR身延線の下部温泉駅を利用できるため、山間部の温泉地としては鉄道で訪れやすい部類です。
ただし、すべての宿や入浴施設が駅前に集まっているわけではありません。宿の送迎、徒歩時間、食事場所を事前に確認してください。
注意点: 「下部温泉」と呼ばれる宿でも、使用している源泉や浴槽の温度、入浴方法は同一ではありません。
高温源泉の数値を、地域内のすべての浴槽へ一般化しないことが大切です。宿を選ぶ際は、ぬる湯を利用できるか、高温源泉との交互浴が可能かを確認しましょう。
一次情報:身延町「下部温泉郷 しもべ奥の湯高温源泉」「温泉分析書」、更新日2026年6月26日、確認日2026年7月31日。
西山温泉|源泉と山深い環境そのものを味わいたい人向け
西山温泉は、アクセスの便利さより、源泉、歴史、山の静けさを優先する人に向いています。
眺望: 富士山を見るための温泉地ではありません。
南アルプスの山懐に位置し、渓谷、森林、早川の流れが景観の中心になります。
泉質: 西山温泉慶雲館は公式サイトで、705年の開湯、自然湧出と掘削自噴を合わせた5本の自家源泉、源泉温度52度、毎分2030リットルの湧出量を案内しています。
泉質はナトリウム・カルシウム―硫酸塩・塩化物泉で、6種類の風呂、客室風呂、給湯、シャワーにも加温・加水をしない源泉を使用すると説明しています。これらは慶雲館の公式表示であり、西山温泉全体のすべての施設に共通する条件ではありません。全館源泉掛け流し 西山温泉 慶雲館+1
日帰り施設の「湯島の湯」は、天然源泉100%掛け流しの露天風呂として案内されています。2026年7月31日の確認時点で日帰り入浴は大人700円で、近隣にスーパーやホームセンターがないという注意も公式に掲載されています。早川ZAIDAN
アクセス: 車を利用したほうが旅程を組みやすい地域です。
公共交通を使う場合は、最寄り駅から先のバス、宿の送迎、帰路の最終時刻まで確認する必要があります。
注意点: 山間部では、都市部と同じ感覚で買い物や食事を追加できないことがあります。宿泊プランに夕食と朝食が含まれるか、飲み物や必要品をどこで購入するかを出発前に決めておきましょう。
僕は西山温泉へ向かう時間を、単なる移動ではなく、日常の速度を落とすための助走だと考えています。ただし、その情緒を楽しむには、交通と食事の準備が欠かせません。
一次情報:西山温泉慶雲館「温泉」、早川ZAIDAN「西山温泉 湯島の湯」、確認日2026年7月31日。
石和温泉|電車と大型旅館の便利さを重視する人向け
石和温泉は、三世代旅行、グループ旅行、車を使わない週末旅行に向いています。
眺望: 富士山が目の前に大きく見える地域ではありません。
宿や場所によって遠景として見える場合はありますが、富士山眺望を予約の前提にすると期待との差が生じやすいでしょう。
泉質: 石和温泉観光協会は、地域の温泉をpH8.5から9.5のアルカリ性単純温泉、泉温49度、湧出量毎分約2000リットルと案内しています。いさわ観光協会+1
ただし、各旅館が利用する源泉、加水、加温、循環ろ過の条件は異なる可能性があります。地域の代表値と、宿の浴槽条件は分けて確認してください。
アクセス: JR石和温泉駅には特急列車が停車します。石和温泉観光協会は、新宿から中央本線特急で約90分と案内しており、駅前には足湯もあります。いさわ観光協会+1
注意点: 富士山の景色よりも、大浴場、食事、客室、館内移動、送迎の便利さを比較したほうが満足しやすい地域です。
果樹園、ワイナリー、甲府方面の観光を組み合わせやすいため、温泉だけでなく周辺観光を含めて宿泊先を選びましょう。
一次情報:石和温泉観光協会「石和温泉で癒される」「アクセス」、確認日2026年7月31日。
御殿場|富士山の長い裾野とドライブを楽しみたい人向け
御殿場は、車で富士山麓、箱根、周辺観光地を巡り、途中で温泉へ立ち寄りたい人に向いています。
眺望: 御殿場側では、山頂だけでなく、地面へ広がる長い裾野を感じやすいのが特徴です。
湖越しの整った構図とは異なり、巨大な山体が町の背後から立ち上がるように見えます。
泉質: 御殿場市観光協会が紹介する「富士八景の湯」は、源泉100%の天然温泉で、泉質は低張性・弱アルカリ性の単純温泉と案内されています。
箱根外輪山の乙女峠中腹から富士山を望む立地です。【公式】御殿場市観光協会 – 御殿場市観光協会 | GOTEMBA.JP
アクセス: 富士八景の湯は東名高速道路の御殿場インターチェンジから車で約10分です。
公共交通では、御殿場駅から箱根方面行きのバスを利用し、「温泉会館前」で下車後、徒歩約10分と案内されています。【公式】御殿場市観光協会 – 御殿場市観光協会 | GOTEMBA.JP
注意点: 週末や観光シーズンは、御殿場と箱根を結ぶ道路が混雑する可能性があります。
入浴施設の最終受付時刻だけで逆算せず、渋滞と駐車場への入庫時間を含めて余裕を持たせましょう。
一次情報:御殿場市観光協会「富士八景の湯」、確認日2026年7月31日。
三島|新幹線と富士山・駿河湾の眺望を両立したい人向け
三島は、新幹線を利用し、伊豆、箱根、静岡東部へ周遊したい人に向いています。
眺望: 三島は富士山の南側に位置し、市内の高台からは富士山の裾野を望めます。
施設によっては富士山と駿河湾の両方を楽しめますが、同じ浴槽から常に両方が見えるとは限りません。
泉質: 「ゆうだい温泉」は、地下1200メートルから毎分200リットルが湧出するアルカリ性単純温泉と案内されています。
公式観光情報では、男性側の「富士の湯」から富士山、女性側の「駿河の湯」から駿河湾を望む構成として紹介されています。男女の浴場や利用条件が変更されていないか、訪問前に確認してください。三島市観光+1
アクセス: 三島市の公式情報では、東京駅から東海道新幹線こだまで約55分です。
三島市観光協会も東京から1時間足らずと案内しており、箱根、伊豆、沼津方面への交通拠点として使いやすい町です。三島市公式サイト+1
注意点: 「富士山が見える大浴場」と「天然温泉」は別の条件です。
ホテルの浴場から富士山が見えても、温泉法上の温泉を使用しているとは限りません。泉質を重視する人は、源泉名、泉質、温泉分析書の有無まで確認しましょう。
一次情報:三島市「三島市観光情報」、三島市観光協会「三島へのアクセス」「ゆうだい温泉」、確認日2026年7月31日。
箱根|温泉街と総合観光をまとめて楽しみたい人向け
箱根は、富士山だけでなく、温泉、芦ノ湖、歴史、乗り物、美術館をまとめて楽しみたい人に向いています。
眺望: 箱根のすべての場所から富士山が見えるわけではありません。
富士山を重視する場合は、芦ノ湖、元箱根、箱根町、標高の高い地域など、眺望条件のよい場所を選ぶ必要があります。
泉質: 箱根には複数の温泉地と多様な源泉があります。
芦ノ湖温泉は1966年に湯の花沢温泉から湯を引いて成立し、泉質は単純温泉と単純硫黄温泉、泉温は70度から80度、湧出量は毎分800から900リットルと箱根町観光協会が案内しています。hakone.or.jp
これらは芦ノ湖温泉の情報であり、箱根湯本、強羅、仙石原、芦之湯など、箱根全域を一つの泉質で表すものではありません。
アクセス: 芦ノ湖温泉へは、箱根湯本から元箱根・箱根町方面の路線バスを利用できます。
鉄道、登山電車、ケーブルカー、ロープウェイ、路線バス、船を組み合わせられることが箱根の強みですが、道路混雑や運休によって所要時間が変わるため、乗り継ぎには余裕が必要です。hakone.or.jp
注意点: 富士山が見えることだけで箱根の宿を選ぶと、地域の強みを十分に生かせません。
箱根では、温泉の泉質、芦ノ湖、歴史文化、館内設備、周遊ルートを総合的に比較したほうが、天候に左右されにくい旅になります。

一次情報:箱根町観光協会「芦ノ湖温泉―富士山の見える湖畔の温泉」、確認日2026年7月31日。
富士山が見える温泉選びで失敗しない5つの確認点
予約前には、見える場所、客室の向き、天然温泉かどうか、交通、悪天候時の楽しみを確認してください。
1.富士山がどこから見えるのか確認する
「富士山が見える宿」という説明だけでは不十分です。
次のどこから見えるのかを確認しましょう。
- 予約する客室
- 一部の富士山側客室
- 大浴場
- 露天風呂
- 貸切風呂
- ロビー
- レストラン
- 敷地内や屋上
施設から見えることと、予約した客室から見えることは別です。
客室で長く過ごすなら客室眺望、入浴時間を重視するなら浴場眺望を優先してください。
2.富士山の手前に何を見たいか決める
富士山の大きさだけでなく、前景を選ぶと地域を絞りやすくなります。
- 湖と見たい:河口湖、山中湖
- 町並みと見たい:富士吉田
- 長い裾野を見たい:御殿場
- 高台や駿河湾と楽しみたい:三島
- 芦ノ湖や外輪山と見たい:箱根
僕は、富士山の手前にある景色を「旅の額縁」と呼んでいます。
湖は静けさを、町は暮らしを、裾野は山の巨大さを、芦ノ湖は風景の奥行きを伝えてくれます。
3.個別施設の泉質表示を確認する
温泉地の代表的な泉質と、宿で実際に入る浴槽の条件は同じとは限りません。
確認したいのは次の項目です。
- 源泉名
- 泉質
- 泉温
- pH
- 加水の有無
- 加温の有無
- 循環ろ過の有無
- 客室風呂への温泉使用
- 温泉分析書の更新時期
「源泉掛け流し」と書かれていても、一部の浴槽だけに該当する場合があります。
大浴場は温泉でも、客室の露天風呂は沸かし湯という施設もあるため、部屋風呂を目的にする人は特に注意してください。
4.車なしでは最後の移動区間を確認する
「駅がある温泉地」と「駅から宿まで歩ける温泉地」は同じではありません。
次の項目を一つの旅程表にまとめておくと安心です。
- 最寄り駅
- 路線バスの乗り場
- バスの最終時刻
- 宿の送迎予約
- バス停からの徒歩時間
- 帰りの列車との接続
- 荒天や運休時の代替手段
とくに西山温泉、山中湖の一部、御殿場の郊外施設では、車がないと移動の自由度が下がります。
一方、河口湖、石和、三島、箱根は公共交通を使った旅程を比較的組みやすい地域です。
5.富士山が見えない日の目的を用意する
富士山の眺望は、宿の設備ではなく自然条件に左右されます。
雨、霧、雲、降雪、逆光などによって、山頂も裾野も見えない日があります。
そのため、第二の目的を一つ決めておきましょう。
- 泉質の異なる浴槽を楽しむ
- 郷土料理を味わう
- 美術館や神社を訪ねる
- 温泉街を歩く
- 貸切風呂で休む
- サウナや館内設備を利用する
- 湖や森の雨景色を見る
富士山が見えなかったから、旅が失敗したわけではありません。
霧の湖、雨に濡れた森、湯けむりの向こうへ消える稜線も、富士山周辺でしか出会えない時間です。
富士山周辺の温泉地をどう選ぶ?僕の考察とまとめ
僕が最も大切だと考えるのは、「どこから富士山を見るか」だけでなく、「富士山が見えない時間をどこで過ごしたいか」まで考えることです。
初めて富士山周辺へ宿泊するなら、河口湖は総合力があります。
湖越しの景観、宿泊施設の選択肢、周遊バス、周辺観光を組み合わせやすく、翌朝まで富士山を待てるからです。
山体の大きさと静かな高原風景を求めるなら山中湖、登山、信仰、遊園地、町歩きを一つにまとめるなら富士吉田が向いています。
温泉そのものを深く味わいたいなら、下部温泉と西山温泉です。
富士山が正面に見えなくても、源泉の温度、湧出の仕組み、山間部の環境が旅の中心になります。
三世代旅行や電車中心の旅では石和温泉、車で広域を巡るなら御殿場、新幹線を軸に伊豆や箱根へ足を延ばすなら三島が便利です。
温泉地としての規模、歴史、交通、観光施設の総合力を求めるなら、箱根が有力な選択肢になります。
僕の私見では、これからの富士山周辺の宿選びでは、「富士山が見える」という一言だけでは足りません。
客室の方角、浴場の位置、源泉表示、休館情報、二次交通まで確認し、期待する体験を具体化することが重要です。
写真一枚の美しさだけで予約するのではなく、自分が何を優先するのかを決めてください。
湖越しの眺望なのか、源泉の個性なのか、移動の便利さなのか。それが決まれば、9地域の中から自分に合う場所を絞れます。
富士はただの山ではありません。
晴れた朝には旅人の期待を映し、霧の日には心の迷いを映します。そして温泉は、見える景色だけではなく、その土地で過ごした時間を体に刻んでくれます。
よくある質問
富士山がよく見える温泉地はどこですか?
湖越しの富士山なら、河口湖と山中湖が代表的です。
長い裾野を近くに感じたい場合は御殿場、芦ノ湖を含む遠景なら箱根が候補になります。ただし、実際の眺望は天候、客室の向き、建物の位置によって変わります。
泉質と温泉の歴史を重視するならどこがおすすめですか?
下部温泉、西山温泉、箱根が比較しやすい地域です。
下部温泉はぬる湯と高温源泉、西山温泉は自家源泉と山深い環境、箱根は地域ごとに異なる多様な温泉が特徴です。
車なしで行きやすい温泉地はどこですか?
河口湖、富士吉田、下部温泉、石和温泉、三島、箱根は、鉄道や路線バスを利用した旅程を組みやすい地域です。
ただし、駅から宿までの送迎が予約制の場合や、日帰り温泉へ向かうバスの本数が限られる場合があります。最後の移動区間まで確認してください。
富士山が見える宿なら全客室から見えますか?
全客室から見えるとは限りません。
一部の富士山側客室だけ、浴場だけ、ロビーだけという施設もあります。予約する客室名と眺望条件を確認し、不明な場合は宿へ問い合わせましょう。
富士山を見るなら何時頃がおすすめですか?
筆者の経験では、宿泊翌日の早朝を第一候補にしています。
ただし、朝なら必ず晴れるという意味ではありません。到着時に見えなくても、夕方、翌朝と時間を変えて空を確認すると、山が現れる機会を増やせます。
一次情報一覧
- UNESCO世界遺産センター「Fujisan, sacred place and source of artistic inspiration」
- 文化庁「富士山―信仰の対象と芸術の源泉―摘要」
- 富士河口湖町観光連盟「富士河口湖をめぐる交通ガイド」「富士レークホテル」
- 山中湖温泉紅富士の湯「ご案内」「温泉」
- 富士吉田市観光ガイド「ふじやま温泉」「富士山溶岩の湯 泉水」
- 身延町「下部温泉郷 しもべ奥の湯高温源泉」「温泉分析書」
- 西山温泉慶雲館「温泉」
- 早川ZAIDAN「西山温泉 湯島の湯」
- 石和温泉観光協会「石和温泉で癒される」「アクセス」
- 御殿場市観光協会「富士八景の湯」
- 三島市「三島市観光情報」
- 三島市観光協会「三島へのアクセス」「ゆうだい温泉」
- 箱根町観光協会「芦ノ湖温泉―富士山の見える湖畔の温泉」
※情報確認日:2026年7月31日。料金、営業時間、休館日、送迎、路線バス、日帰り入浴、源泉の利用方法、客室眺望は変更されることがあります。予約前と出発直前に各自治体、観光協会、宿泊・温浴施設の公式案内をご確認ください。


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