2026年7月の富士山は下旬が比較的選びやすいものの、山頂約5℃・午後の雷・強風への備えが必要です。
2026年は東海・関東甲信とも梅雨明け速報が7月20日頃でした。登山道はそれ以前に開通しているため、7月前半から中旬に登る場合は、梅雨の雨・霧・冷え込みを前提に計画する必要があります。
富士登山では、「何を持っていくか」以上に「どう揃えるか」で準備の負担が大きく変わります。
購入とレンタル、どちらが自分に合うのか迷ったら、装備選びで後悔しないための考え方をこちらの記事で整理しています。
2026年7月の富士山の天気は梅雨明け前後でどう変わる?
2026年7月は、20日頃の梅雨明けを境に天気の性格が変わりましたが、下旬も雷や急な雨への警戒は必要です。
気象庁の速報値では、2026年の梅雨明けは東海・関東甲信ともに7月20日頃でした。平年はいずれも7月19日頃なので、2026年は平年より1日遅い、ほぼ平年並みの梅雨明けだったことになります。
富士山は山梨県側が関東甲信、静岡県側が東海に含まれます。
山の南北で参照する地方予報は異なりますが、2026年は両地方の梅雨明け時期が同じだったため、7月19日頃までは梅雨の影響、20日頃以降は盛夏の天気を意識するという大きな区切りがありました。
ただし、梅雨明けは「毎日晴れる」という宣言ではありません。
気象庁も、梅雨入り・梅雨明けは平均5日程度の移り変わりを伴う季節現象であり、発表日が天気の境界線になるわけではないと説明しています。梅雨明け後も湿った空気や気圧の谷、台風の影響で雨になることがあります。
2026年は開山から梅雨明けまで約10~19日あった
2026年の登山シーズンは、吉田ルートと須走ルートが7月1日から、富士宮ルートと御殿場ルートが7月10日から始まりました。いずれも基本的な終了日は9月10日です。
つまり、2026年は吉田・須走ルートで約19日間、富士宮・御殿場ルートで約10日間、梅雨が明ける前に登山シーズンが進んでいたことになります。
これは7月の登山日を選ぶうえで、とても重要なポイントです。
「登山道が開いたから夏山になった」と考えるのではなく、開山日と気象上の季節は別々に判断しなければなりません。
開山直後には残雪や施設の供用状況が影響する場合もあります。登山道の開通情報、山小屋やトイレの営業状況、当日の気象情報をそれぞれ確認してください。
7月前半から中旬は雨と霧を前提にする
梅雨明け前は、梅雨前線や湿った空気の影響を受けやすくなります。
富士山では雲の中に入ると、雨が強くなくても視界が急激に悪化します。登山道の先や山小屋の位置が見えにくくなり、ルートを知っている人でも距離感を失いやすくなります。
特に下山道は、登山道とは異なる方向へ延びる区間があります。
濃霧の中で「前の人についていけばよい」と歩くと、別ルートへ進んでしまう可能性があります。地図や登山アプリは、雨でスマートフォンが使いにくくなることも想定して準備してください。
霧に隠れる富士は、人の心の迷いに似ています。
視界が消えたときに必要なのは、歩く勢いではありません。現在地を確かめ、戻れる余白を残す冷静さです。
梅雨明け後は朝と午後で天気が変わる
梅雨明け後は太平洋高気圧に覆われ、登山日を選びやすくなります。
その一方、強い日射で地面付近の空気が暖められると、湿った空気が上昇して積乱雲が発達することがあります。富士登山オフィシャルサイトも、夏の富士山では天候が急変し、雷が発生する日が少なくないと注意を呼びかけています。
朝に山頂がよく見えていても、午後まで同じ空が続くとは限りません。
僕が7月の富士山で最も警戒するのは、雨雲より先に登山者の心へ生まれる「今日は大丈夫だろう」という油断です。
早朝の青空は出発を後押ししてくれます。しかし、下山完了までの安全を保証するものではありません。
7月の富士山頂は何度?河口湖との気温差
富士山頂の7月平均気温は5.3℃で、日最低気温の月平均は2.8℃です。
ここでいう山頂の数値は、気象庁の富士山特別地域気象観測所で観測された1991~2020年の平年値です。観測所の標高は3,775mで、剣ヶ峰の最高地点3,776mとほぼ同じ高所環境にあります。
観測地点 標高 統計期間 7月平均気温 日最高気温の月平均 日最低気温の月平均 7月平均気圧 値の種類
富士山特別地域気象観測所 3,775m 1991~2020年 5.3℃ 8.0℃ 2.8℃ 646.8hPa 気象庁の平年値
河口湖特別地域気象観測所 860m 1991~2020年 21.9℃ 27.2℃ 18.0℃ 914.0hPa 気象庁の平年値
富士山と河口湖の平年値は、気象庁の同じ統計期間を使っています。河口湖観測所の標高は860mで、富士山頂との標高差は約2,915mです。
表の「日最高気温の月平均」は、7月に記録された最高気温そのものではありません。
各日の最高気温を月単位で平均した値です。同様に、日最低気温の月平均も、その月の最低記録を示す数字ではない点に注意してください。
また、平年値は登山当日の予報ではありません。
実際の気温は寒気、雲、日射、時刻、風向などによって変化します。登山日が決まったら、平年値ではなく最新の山頂予報へ切り替えて判断する必要があります。

河口湖と山頂の平均気温差は16.6℃
7月の平均気温を単純比較すると、河口湖の21.9℃に対して山頂は5.3℃です。
その差は16.6℃あります。
富士登山オフィシャルサイトでは、標高が100m上がるごとに気温が約0.6℃下がることを目安として案内しています。標高差だけから単純計算した気温差は約17.5℃となり、気象庁の平年値の差ともおおむね一致します。
ただし、気温の下がり方は常に一定ではありません。
湿度や気圧配置によって変わり、途中に逆転層ができる場合もあります。「100mで0.6℃」は服装を考えるための概算であり、山頂気温を正確に予測する公式ではありません。
日の出前は0℃近くまで下がる場合がある
富士登山オフィシャルサイトは、夏でも日の出前の山頂では0℃近くまで気温が下がり、ご来光を待つ時間が長くなると低体温症の危険があると案内しています。
歩いている間は、筋肉が熱を生みます。
ところが山頂で立ち止まると発熱量が減り、汗で湿った衣服が風にさらされます。気温だけを見れば5℃でも、濡れ、風、疲労、空腹が重なると体温を保ちにくくなります。
体感温度を「風速が1m増すと必ず1℃下がる」と単純に計算することはできません。
寒さの感じ方は気温、風速、衣服、濡れ、日射、体格などで変わるためです。登山では数字上の体感温度より、震えや手指の動かしにくさ、反応の鈍さといった体の変化を優先してください。
山頂の平均気圧は646.8hPa
気象庁の1991~2020年平年値では、富士山観測所の7月平均気圧は646.8hPaです。
河口湖は914.0hPaで、両地点には平均で267.2hPaの差があります。
標高が上がるほど空気中から体へ取り込める酸素は少なくなり、頭痛、吐き気、めまい、強い疲労感などの高山病症状が現れることがあります。
富士登山オフィシャルサイトは、五合目付近で出発前に1~2時間ほど過ごし、高度へ体を慣らす方法を勧めています。症状が悪化する場合は登り続けず、高度を下げることが基本です。
7月の富士山で雷・風・雨が危険なのはなぜ?
雷、強風、雨は別々の危険ではなく、互いに重なることで登山者の行動力を奪います。
富士山は標高3,776mの独立峰で、標高2,450mより上は露岩地帯が広がります。高所では風を遮る森林が少なく、雨や風の影響を直接受けやすい地形です。
気象庁の平年値では、富士山観測所の7月平均風速は9.2m毎秒です。
ただし、風速の統計期間は1991~2004年で、気象庁の表では参考値として扱われています。気温や気圧の1991~2020年平年値と、同じ条件のデータではありません。
平均風速は、その日の安全を判断する数値でもありません。
実際の登山では平均風速に加え、瞬間的な突風、風向、斜面の向き、雨、登山者の体格や荷物によって歩きやすさが変わります。
雷は「聞こえてから考える」では遅い
気象庁の雷ナウキャストは、雷雲の活動を1~4の段階で示します。
活動度1は今後1時間以内に雷が発生する可能性がある領域、活動度2~4は落雷の危険が迫っており、直ちに安全確保の行動が必要な状態です。情報は10分ごとに更新されます。
樹林帯を抜けた富士山では、雷雲を見てから安全な建物へ移動するまでに時間がかかります。
山頂付近や開けた斜面で雷鳴を聞いてから下山を始めても、すぐには安全な場所へ到達できません。
したがって、登山前には雷注意報の有無だけでなく、雷ナウキャストの活動域が富士山へ近づく方向も確認します。
活動度1の領域が登山ルートへ拡大しているなら、高所へ進む前に計画を短縮する判断が必要です。
雨雲レーダーは下山時刻まで動かして見る
気象庁の高解像度降水ナウキャストは、30分先までを250m四方、35~60分先までを1km四方の解像度で予測し、5分ごとに更新されます。
見るべきなのは、現在地に雨が降っているかだけではありません。
雨域がどちらから移動し、登山ルートへ何分後にかかるのかを確認します。雨雲の進行方向に下山道がある場合は、登頂後ではなく登頂前に判断しなければなりません。
山の雨雲は局地的に発達するため、60分先までの表示も確約ではありません。
レーダーに雨が映っていないことを「雨具を置いていける理由」にせず、行動を早めるための補助情報として使います。
雨と風が重なると低体温症が進みやすい
雨や汗で衣服が濡れた状態で風を受け続けると、夏でも体温を失います。
富士登山オフィシャルサイトでは、低体温症の初期から進行時の症状として、全身の震え、眠気、歩行のふらつき、立てなくなる状態などを挙げています。
「少し寒いだけ」と考えて登り続けるのは危険です。
震えが強い、受け答えが遅い、まっすぐ歩けない、手袋やファスナーを扱えないといった変化があれば、登頂より保温と下山を優先してください。
お鉢巡りは特に風を遮る場所が少なく、強い風雨や濃霧では危険性が高まります。山頂へ着いたからといって、必ず一周しなければならない行程ではありません。
登山靴、レインウェア、ザック、防寒着……必要なものを一つずつ揃えていくと、意外と悩むポイントが増えてきます。
しかも、すべてを購入することだけが正解とは限りません。
僕ならどこまで揃え、どこからレンタルを考えるのか。富士登山の装備を無理なく準備する方法をこちらの記事で詳しくまとめました。
初めて登る方でも、数分で全体像をつかめます。
7月の富士山に必要な服装と装備は?
上下セパレート式の雨具、防寒着、登山靴は、7月でも省略できない基本装備です。
2026年の吉田ルートでは、五合目で防寒具、上下セパレート式の雨具、登山に適した靴の確認が行われ、必要な装備を持たない登山者はゲートを通行できません。
装備確認がないルートでも、必要性が下がるわけではありません。
富士山では横や下から吹きつけるような雨になることがあり、傘や簡易ポンチョでは脚や衣服内部の濡れを防ぎにくくなります。上下が分かれた登山用レインウェアを出発前に用意してください。
7月の服装は重ね着で調整する
一枚の厚い上着だけに頼ると、登りで汗をかき、休憩で冷える原因になります。
次のように役割の異なる衣服を重ねると、標高や時刻に合わせて調整しやすくなります。
- 吸汗速乾性のある肌着
- 長袖のベースレイヤー
- フリースなどの中間着
- 薄手のダウンまたは化繊防寒着
- 防風・防水性のあるレインジャケット
- レインパンツ
- 防寒用の帽子
- 防水性のある手袋
- 替えの靴下と肌着
木綿のシャツは汗や雨を吸うと乾きにくく、休憩時の冷えにつながります。
肌に触れる衣服は、化学繊維やウール系など、濡れても乾きやすい素材が向いています。
僕自身、7月下旬の吉田ルートで、五合目では暑く感じていたのに、八合目で休憩した途端、汗で湿った背中が急に冷えた経験があります。
それ以来、僕は「寒くなったら着る」のではなく、休憩へ入る前に中間着を着ることを習慣にしています。冷えを感じてからでは、体温と体力の両方を戻すのに時間がかかるからです。
暑さと寒さを別々に考えない
河口湖の7月平均気温は21.9℃、日最高気温の月平均は27.2℃です。
日差しが強い日には、五合目や樹林帯を抜けた登山道で暑さを感じます。富士山の登山道は日陰が少なく、熱中症にも注意が必要です。
登りで汗をかきすぎると、体内の水分と塩分を失うだけでなく、標高を上げた後の汗冷えが強くなります。
7月の富士山には、麓側の熱中症と高所の低体温症が連続して起こる「二段階の気象リスク」があります。
対策は、防寒着を多く持つことだけではありません。
歩き始めから速すぎるペースを避け、汗が流れ続ける前に衣服を調整すること、水分を少量ずつ取ること、休憩で体を冷やさないことが大切です。
持っていきたい気象・安全装備
服装以外にも、天候悪化や日没へ備える装備が必要です。
- ヘッドライトと予備電池
- 地図または登山地図アプリ
- モバイルバッテリー
- 水分と行動食
- 防水袋に入れた着替え
- 日差しを避ける帽子
- 日焼け対策用品
- 救急用品
- 現金
- 緊急時に使える連絡手段
突発的な噴火や落石へ備え、ヘルメット、マスク、ゴーグルの携行も推奨されています。
装備は「山頂へ行くための荷物」ではありません。
天候が悪化したときに、自分の足で安全に下山するための時間を買う道具です。

7月の富士山の天気をどう判断する?
登山可否は、週間予報だけでなく、警報・高度別予報・雨雲と雷の三段階で判断します。
富士登山オフィシャルサイトでは、富士山付近の高度別の気温、風向、風速について、4日間・6時間ごとの数値計算結果を確認できます。
ただし、これは観測値ではなく計算値です。直前には実況、ナウキャスト、現地のライブカメラなどを組み合わせる必要があります。
出発前の確認手順
僕は、次の順番で情報を確認します。
1. 台風、気象警報、注意報、雷注意報を確認する
2. 山頂と登山ルートの高度別気温・風速を見る
3. 予報が悪い場合は、雨・風・雷のどれが原因か確認する
4. 雷ナウキャストで活動域と進行方向を見る
5. 高解像度降水ナウキャストで雨域の移動を見る
6. ライブカメラや現地情報で雲量・視界を確認する
7. 山頂到着時刻ではなく、五合目へ戻る時刻まで予報を追う
8. 登山道、交通、山小屋、トイレの最新状況を確認する
この順番で見る理由は、情報ごとの役割が違うからです。
週間予報は登山候補日を絞る情報、山頂予報は装備と行程を決める情報、ナウキャストは当日の行動を修正する情報として使います。
「晴れマーク一つ」で決めない
麓の市町村予報が晴れでも、山頂が雲の中に入っていることがあります。
反対に、河口湖で雲が広がっていても、雲の上に出た高所では日差しを受ける場合があります。標高860mの河口
富士登山の準備で迷いやすいのが、「本当にこの装備を全部買う必要があるのか」という問題です。
頻繁に山へ行く人と、まずは富士山に挑戦したい人では、合理的な揃え方も変わります。
大切なのは、費用だけで決めるのではなく、安全性や使う頻度まで含めて考えること。
購入とレンタルの違いが分かれば、自分に必要な装備もかなり整理しやすくなります。
富士登山の装備レンタルをどう使えばいいのか、詳しくはこちらの記事で確認できます。
全部読む必要はありません。気になるところだけ拾い読みしてみてください。


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