2026年9月14日現在、富士山の山頂登山道は閉山中で、開山期も犬・ペット同行登山は原則遠慮です。
2026年の主要登山道は9月10日で開山期間を終えており、現在は山頂へ向かう登山道そのものが通行止めです。さらに開山期間中であっても、富士登山オフィシャルサイトはペット連れ登山、山小屋・休憩所・売店へのペット同伴を原則控えるよう案内しています。富士登山+1
「犬をリードにつないでいれば登れるのか」「法律で禁止されているのか」「小型犬なら大丈夫なのか」。この記事では、2026年9月14日時点の公式情報をもとに、現在の閉山状況、法律とマナーの違い、4ルートでの扱い、犬への負担、悪天候時の問題まで整理します。
2026年9月14日現在、富士山は犬以前に山頂登山道が閉山中
最初に押さえるべきなのは、2026年9月14日現在は「犬を連れて登れるか」を検討する前に、山頂へ向かう主要登山道が閉山しているという事実です。
富士登山オフィシャルサイトでは、開山期以外は富士山山頂への登山道をすべて通行止めと案内しています。2026年も吉田、須走、御殿場、富士宮の主要4ルートは、いずれも9月10日までに山頂方向の開山期間を終えました。富士登山
2026年の主な登山道の供用期間は次の通りです。
ルート 2026年の山頂方向の主な開山期間
吉田ルート 7月1日〜9月10日
須走ルート 7月1日9時〜9月10日17時
御殿場ルート 7月10日9時〜9月10日17時
富士宮ルート 六合目以上は7月10日9時〜9月10日17時
吉田ルートでは9月11日に八合目から下の下山道が午前中まで利用できる措置がありましたが、それもすでに終了しています。静岡県側の富士宮・御殿場・須走ルートについても、県は2026年の開山期間終了に伴い、9月10日をもって登山規制を終了したと案内しています。富士登山+1
ここで誤解してはいけないのが、「登山規制が終了した」という言葉です。
これは閉山後なら自由に登れるという意味ではありません。開山期の入山手続きなどが終了した一方、開山期以外の山頂登山道は通行止めです。富士宮ルートでも、静岡県は2026年9月10日17時に六合目から山頂を冬期閉鎖、全面通行止めとしています。静岡県公式情報
したがって、2026年9月14日時点の答えを三つに分けると非常に分かりやすくなります。
- 現在:山頂への主要登山道は閉山中で、犬連れかどうかに関係なく山頂登山はできない
- 開山期間中:リード付きの犬を連れることが法律で全国一律禁止されているわけではない
- 富士山の公式方針:ペット連れの同行登山そのものを原則として遠慮するよう求めている
僕は、この三つを混ぜないことが最も大切だと考えています。
検索すると「犬は禁止」「リードならOK」という短い答えだけが独り歩きしがちですが、富士山では現在の登山道状況、法律、地域ルールを別々に確認しなければ、正確な判断にはなりません。
なお、五合目までの道路や一部施設が利用できることと、そこから山頂方向へ登れることも別問題です。
たとえば富士宮ルートでは五合目から六合目までが山頂方向の登山道とは異なる期間で供用される場合があります。だからこそ「五合目へ行けた=山頂へ登れる」と判断せず、訪問直前に富士登山オフィシャルサイトや各県の最新情報を確認してください。富士登山
富士山の犬・ペットルールとは?「法律上一律禁止」とは違う
開山期間中について言えば、結論は「リード付きなら法律上すべて禁止」ではないが、富士山では同行登山を原則控えるよう公式に求められているです。
富士登山オフィシャルサイトのFAQ「ペットを連れて行っても良いですか?」では、山小屋、休憩所、売店の中へペットと一緒に入ること、そしてペット連れで登山することを原則として遠慮するよう案内しています。さらに、富士山の登山道が火山砂利であるため、犬の脚へダメージを与えることにも触れています。富士登山
「富士登山の前に必ず知っておくこと」でも、特別保護地区内で動物を放すことはできず、ペットを山小屋内へ入れる行為や同行登山は控えるよう示されています。火山地形がペットの足へダメージを与える可能性についても注意喚起されています。富士登山
では、「犬を放す行為」と「リードを付けて連れて歩くこと」は法律上同じなのでしょうか。
ここは環境省の説明が明確です。
環境省は、規制対象となる「動物を放つこと」を、人間の管理下を離れて自由に行動できる状態にすることと説明しています。そのため、鎖やリードにつないで人間の直接的な管理下に置かれている場合は、原則としてこの「放つこと」には該当しません。環境省
さらに「リードをつけてあればペットを持ち込んでもよいのか」というQ&Aでは、持ち込む行為そのものを罰則付きで一律禁止する制度ではない一方、他の利用者や野生動物への配慮から自粛を求めている山岳地域では、地域のマナーを尊重するよう協力を求めています。環境省
つまり、富士山については次の整理になります。
リードを付けた犬の同行=直ちに「動物を放つ」という法律上の規制行為になるわけではありません。
しかし、それを根拠に「だから富士山でも連れて行って問題ない」と結論づけることもできません。
富士山側がペット同行登山を控えるよう明示している以上、実際の登山判断ではその方針を尊重するのが適切です。
ここは「違法か合法か」だけを探していると見落としやすいところです。
山のルールには、法律で罰せられる線と、安全や自然保護、他の利用者への配慮のために利用者全体で守る線があります。僕は登山者として、後者も決して軽いものではないと考えています。
富士山は、一人だけが使う山ではありません。
限られた登山道を国内外から来た多くの人が共有します。登山道を外れないこと、ゴミを持ち帰ること、特殊な火山地形を傷つけないことなども、一つひとつは個人の行動ですが、その積み重ねによって山全体が守られています。富士登山
「罰則があるか」ではなく、「この場所で適切な行動か」。
犬・ペット同行についても、富士山ではこの視点が欠かせません。
吉田・須走・御殿場・富士宮ルートなら犬を連れて行ける場所はある?
主要4ルートの中に、「このルートならペット同行登山を推奨する」という公式な例外は確認できません。
富士山には山梨県側の吉田ルート、静岡県側の須走ルート、御殿場ルート、富士宮ルートがあります。
それぞれ地形も距離も山小屋事情も異なりますが、富士登山オフィシャルサイトのペットに関する案内は、特定の一本だけではなく富士登山全体について示されたものです。富士登山+1
「人が比較的少ないルートなら犬も大丈夫なのでは」
「須走ルートなら樹林帯があるから歩かせやすいのでは」
「短いルートなら負担が少ないのでは」
こう考えたくなる気持ちは分かりますが、ルートの特徴だけで公式方針を上書きすることはできません。
むしろ各ルートの地形を見ると、犬同行の難しさが違う形で現れます。
須走ルートは五合目から本六合目付近まで樹林帯が続きますが、その先は火山砂礫となり、七合目付近から岩場やスコリアが増えます。本八合目では吉田ルートと合流するため、混雑しやすい区間もあります。富士登山
吉田ルートも五合目から六合目までは比較的緩やかな樹林帯ですが、六合目より上では火山砂礫のジグザグ道が続き、七合目付近から急な岩場が本格化します。富士登山
御殿場ルートはさらに性格が違います。
富士登山オフィシャルサイトは、御殿場ルートについて、日陰のない火山砂利の登山道を低い標高から登るため疲労が大きく、晴天時には暑さ、濃霧時には道迷いにも注意が必要だと案内しています。また、他ルートと比べて山小屋が少ないという特徴もあります。富士登山
富士宮ルートは標高の高い登山口から始まるため「短ければ犬も楽」と考えられがちですが、標高を急速に上げること自体が別の負担になります。六合目より上の登山道も、現在は9月10日17時から冬期閉鎖されています。静岡県公式情報
僕が繰り返し富士山を歩く中で感じてきたのは、遠景の滑らかな斜面と、実際に足元で受ける感触はまるで別物だということです。
火山砂礫の下りでは、登山靴を履いた人間でも一歩ごとに足元がずれます。岩場では足を置く場所を探し、砂礫では滑りを制御しながら下る。この「小さな修正の連続」が、長時間になるほど脚へ蓄積します。
犬には登山靴のような厚いソールもありません。
公式サイトがあえて「火山砂利による脚へのダメージ」をペットFAQに書いている意味は、そこにあります。単に「犬が歩ける地面か」ではなく、何時間も歩いた後まで肉球や脚を守れる地面なのかを考えなければなりません。

なぜ富士山で犬連れ登山を控えるべき?足元・高所・避難・搬送の4リスク
富士山で最も重要なのは、犬が登り始められるかではなく、天候や体調が崩れても一緒に安全に下山できるかです。
僕は犬同行の問題を考えるとき、犬種の「山向き・山不向き」より、足元、高所、悪天候時の避難、歩行不能時の搬送という四つを見るべきだと考えています。
火山砂礫は「歩ける」ことと「脚を傷めない」ことが別
第一の問題は、富士山特有の地面です。
富士山は玄武岩質の火山が作った山で、登山道には火山礫、砂礫、スコリア、岩場が広がります。場所によって粒の大きさも傾斜も異なり、下りでは足元が滑り続ける区間があります。
犬が最初の一時間を元気に歩けたとしても、それだけでは判断材料になりません。
人間も、新しい登山靴で靴擦れが起こることがあります。同じように、犬も長時間の摩擦や衝撃が積み重なることで、途中から歩き方が変わる可能性があります。
しかも犬は「肉球が痛い」「右脚に違和感がある」と言葉で説明できません。
だからこそ飼い主が、歩けているかではなく、歩様、休憩時の様子、脚をかばっていないかまで判断する必要が出てきます。
しかし富士山公式が同行登山そのものを控えるよう求めている以上、そもそもそのリスクを山頂登山で負わせないという選択が先に来るべきでしょう。
標高3,000m超では人間自身の余裕も小さくなる
第二は高所です。
富士登山オフィシャルサイトも、富士山は3,000mを超える高山であり、安全が保証される場所ではなく、自分自身でリスク管理する必要があると注意しています。富士登山
犬の体調を判断する飼い主自身が、低酸素、寒さ、疲労の影響を受けるという点を忘れてはいけません。
平地なら冷静にできる観察も、自分が疲れていると精度が落ちます。
「いつも元気だから」
「普段から長距離を散歩しているから」
「小型犬なので抱えられるから」
こうした経験は参考にはなりますが、高山での安全を保証する材料にはなりません。
山では、余裕がなくなってから判断するのでは遅いのです。
悪天候時に「人は山小屋へ、犬は入れない」が起こり得る
第三は、僕が特に重要だと考える避難計画の矛盾です。
富士山では天候が短時間で変わることがあります。
強風、大雨、雷、気温低下が重なれば、登山を継続せず安全な場所へ退避する判断が必要になります。
ところが富士登山オフィシャルサイトは、ペットを山小屋内へ入れる行為やペット同行登山を原則控えるよう案内しています。富士登山
もちろん、人命に関わる緊急時には現場の管理者や救助機関の指示が最優先です。
しかし登山計画の段階では、「天候悪化時に通常選ぶはずの避難行動を、犬と一緒でも確実に取れるのか」という問題が残ります。
これは小さな論点ではありません。
登山では、晴天時の計画より、天候が崩れたときの逃げ道のほうが重要だからです。
僕自身、富士山では雲の流れと風が変わっただけで、「まだ行ける」から「ここで戻る」へ判断を切り替えることの大切さを何度も感じてきました。
霧に隠れる富士は、人の心の迷いに似ています。
視界が狭くなると、人は「せっかくここまで来たのだから」と先へ進みたくなる。しかし山では、その気持ちを断ち切れる人ほど安全に帰れます。
山頂近くで犬が歩けなくなったら、本当に運べるのか
第四は搬送です。
犬が途中で脚を傷めたり、疲労して一歩も歩かなくなった場面を想像してください。
10kgの犬でも、自分のザックを背負ったまま抱え、砂礫や岩場を何時間も下るのは簡単ではありません。
20kg、30kgになれば、個人で安全に抱えて下山できる登山者はさらに限られます。
犬を持ち上げれば重心が変わります。
片手や両手がふさがれば、岩場で身体を支えたり、転倒時に手をついたりする能力も落ちます。
つまり、犬の歩行不能は犬だけの問題ではありません。
飼い主自身の転倒や遭難リスクへ直結します。
これは「何kgまでなら運べる」という数字の問題でもありません。
雨で岩が濡れている。
気温が下がっている。
予定より二時間遅れている。
自分にも疲労がある。
その状態で犬が動けなくなったとき、登山口まで安全に戻れるか。
登山計画は、一番うまくいった一日ではなく、複数の悪条件が同時に起きた一日でも帰れるかで考えるべきだと僕は思います。

愛犬と富士山を楽しむなら?山頂ではなく「犬同伴ルールが明確な場所」を選ぶ
愛犬と富士山を楽しむことと、愛犬を富士山頂へ連れて行くことは同じではありません。
僕なら、犬と富士山の思い出を作りたい場合、山頂登山ではなく、犬同伴の条件が具体的に示された周辺施設や散策場所を選びます。
一例が富士急ハイランドです。
富士急ハイランドは2026年6月21日付の案内で、体高50cm未満の犬について条件付きで入園可能としています。入園時にはリード、水、ふん処理バッグを持参し、フレキシブルリードを使用する場合は2m以上伸びないよう固定することなどが示されています。富士急ハイランド
犬と一緒に利用できるアトラクションも限定されており、屋内施設などには別の制限があります。
ここで注目したいのは、「富士急ハイランドなら犬を連れて行くべき」という意味ではありません。
管理された施設では、犬を連れてよい範囲と条件を事前に明示できるという点です。
山は違います。
風を止めることはできません。
雷を遠ざけることもできません。
火山礫を犬が歩きやすい舗装路へ変えることもできません。
犬が疲れた地点へ車を呼ぶこともできません。
だから愛犬との富士山旅行では、「頂上へ行くこと」を目的にしないだけで選択肢が大きく広がります。
五合目周辺を訪れる場合も、施設や駐車場ごとに犬の利用条件を確認する。
富士山が見える公園や散策地を選ぶ場合も、リードや立入区域のルールを確認する。
観光施設なら、犬の大きさ、キャリーやカートの必要性、屋内へ入れるかどうかを確認する。
この「場所ごとの確認」が重要です。
富士山周辺だから一律に犬OKでも、国立公園だから一律に犬禁止でもありません。
料金、営業時間、道路状況、ペット利用条件は変更される可能性があります。訪問直前に各施設、自治体、富士登山オフィシャルサイトの最新情報を確認してください。
考察・まとめ|「犬が登れるか」より「犬と安全に帰れるか」で考えたい
ここからは、富士山を長く歩いてきた一人としての私見です。
僕は、愛犬と特別な景色を見たいという気持ちそのものを否定したいとは思いません。
犬を家族のように感じている人なら、旅も景色も一緒に経験したいと思うのは自然なことです。
それでも僕自身なら、愛犬を富士山頂へ連れて行く選択はしません。
理由は「犬は禁止だから」と単純化できるものではなく、富士山公式が同行登山を原則控えるよう求めていることに加え、山の構造そのものが犬同行時の安全余裕を小さくするからです。
火山砂礫による脚への負担。
3,000mを超える高所。
強風や雨、雷への対応。
山小屋へペット同伴を控えるという利用上の条件。
混雑した登山道ですれ違う他の登山者への配慮。
そして、犬が自力で歩けなくなった場合の搬送。
一つずつ見れば「対策できる」と思えるかもしれません。
しかし山で怖いのは、問題が一つずつ順番に起きるとは限らないことです。
雨が降る。
気温が下がる。
予定より下山が遅れる。
そのとき犬が脚を痛める。
さらに飼い主も疲れている。
こうして安全余裕は、一段ずつではなく一気に失われます。
特に富士山では、人間自身が高所と長時間行動の影響を受けています。
犬の状態を判断し、犬の安全まで担うには、人間だけで登る場合以上の余裕が必要です。
だから僕が最も大切にしたい問いは、「この犬なら富士山に登れるか」ではありません。
「最悪の条件が重なっても、この犬を安全に登山口まで連れて帰れるか」です。
そして2026年9月14日現在については、その検討より前に明確な答えがあります。
主要4ルートの山頂登山道は9月10日までに開山期間を終了し、現在は閉山中です。開山期以外は山頂への登山道が通行止めとなっています。富士登山+1
次の開山期に犬との富士登山を検討する場合も、リード付きなら法律上一律禁止ではないという一点だけで判断しないでください。
富士山公式は、ペット同行登山と山小屋等への同伴を原則として控えるよう求めています。さらに火山砂利による犬の脚への負担も注意しています。富士登山+1
法律の線。
富士山の利用ルールの線。
そして、犬と自分自身を安全に帰宅させるための線。
この三本を重ねたとき、僕は「山頂へ連れて行かない」という判断が、愛犬への最も現実的な配慮になると考えます。
富士はただの山ではない。
けれど、その言葉は山頂へ立つことだけを特別視するためのものではありません。
遠くから眺めてもいい。
麓を歩いてもいい。
犬同伴ルールが整った場所から、夕日に染まる富士を一緒に見てもいい。
山を尊重するとは、ときに「登らない」と決めることです。
山頂で撮る一枚の写真より、愛犬がいつもの足取りで家へ帰ること。
僕なら、そちらを大切な富士山の思い出として選びます。
よくある質問
2026年9月14日現在、犬を連れて富士山頂へ登れますか?
いいえ。2026年の主要登山道は9月10日までに開山期間を終え、現在は山頂への登山道が通行止めです。犬連れかどうかにかかわらず、開山期外の山頂登山はできません。富士登山
次の開山期についても、富士登山オフィシャルサイトはペット同行登山を原則として遠慮するよう案内しています。
リードを付けた犬なら、開山期間中の富士山を登れますか?
リードを付けた犬を連れること自体が、法律上の「動物を放つこと」に直ちに該当するわけではありません。環境省も、リードなどで人間の管理下にある場合は原則として規制対象ではないと説明しています。環境省
ただし、富士山では別途、ペット同行登山を原則控えるよう公式に求めています。「法律で一律禁止されていない=富士山で自由に同行できる」ではありません。
小型犬や登山に慣れた犬なら富士山へ連れて行っても大丈夫ですか?
犬種、大きさ、山歩き経験によって同行を認める公式な例外は示されていません。
富士山では火山砂礫による脚への負担、高所、天候急変、山小屋利用、歩行不能時の搬送まで考える必要があります。小型犬や体力のある犬だから安全と判断せず、富士山公式のペット同行自粛方針を基準にしてください。
神楽 岳志(かぐら・たけし)
登山エッセイスト|富士山研究家|自然体験ストーリーテラー


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