富士山駅から富士急ハイランドへのアクセスは、確実性とスピードを重視するなら、わずか2〜3分(運賃170円)で到着できる「電車(富士急行線)」が最適解です。
しかし、富士の麓を知り尽くす僕に言わせれば、旅の目的や天候次第で「無料巡回バス」や「徒歩」が最高の体験に変わることもあります。幼少期から富士山を仰ぎ見て育ち、登山エッセイスト・富士山研究家としてこの地を数え切れないほど歩いてきた僕が、それぞれの移動手段の料金、道順、そして地元目線での混雑回避のコツを徹底的に比較・解説します。
富士山駅から富士急ハイランドへの最適な移動手段の選び方
旅の拠点となる富士山駅のホームに降り立つと、巨大な富士山が目の前に迫り、誰もがその圧倒的な質量と存在感に息を呑みます。ここから絶叫アトラクションの聖地である富士急ハイランドまでは、実は目と鼻の先の距離しかありません。
移動手段は主に「電車」「無料巡回バス」「徒歩」の3つに分けられます。まずは、それぞれの所要時間と料金、そして利用条件の全体像を比較表で把握しておきましょう。
移動手段 所要時間 料金 運行頻度・条件
電車(富士急行線) 約2分〜3分 大人170円 / 小人90円 1時間に1〜4本(特急も利用可)
無料巡回バス 施設やルートによる 無料 指定施設利用者専用・1〜2時間に1本
徒歩 約20〜30分 無料 全長約1.5〜2km(天候と装備に注意)
結論から言えば、最も早くて運賃も明確なのは電車です。これは疑いようのない事実であり、初めて訪れる方には迷わずおすすめできるルートです。しかし、山の天気が変わりやすいように、旅のスケジュールや宿泊先、そして当日の気象条件によっては、バスや徒歩が最適な選択となることも多々あります。
霧に隠れる富士が人の心の迷いに似ているように、選択肢が多いと旅人は迷いがちです。ここからは、それぞれの移動手段について、具体的な料金やルート、注意すべきポイントを紐解いていきましょう。僕が長年富士の麓を歩き、季節ごとの風を肌で感じてきた経験に基づく、土日の混雑状況なども交えてお伝えします。
電車で行く|富士急行線でわずか2分・運賃170円の最短ルート
富士山駅から富士急ハイランドへ向かう際、最もスタンダードであり、確実な移動手段が富士急行線を利用することです。所要時間は驚くべきことに、たったの2分から3分しかかかりません。
運賃は大人170円、小人90円と非常にリーズナブルです。朝は7時台から夜は23時台まで、1時間に1〜4本程度の電車が運行されており、旅行者にとって非常に使い勝手の良いダイヤが組まれています。なお、運賃やダイヤは変更される場合があるため、最新情報は必ず富士急行線の公式サイトで確認してください。
切符売り場で紙の乗車券を購入することもできますが、SuicaやPASMOなどの交通系ICカードも問題なく利用可能です。土日や祝日の朝、特に観光シーズンは改札周辺が大変混雑するため、あらかじめICカードに十分な金額をチャージしておくことを強くおすすめします。
また、富士山駅は全国の鉄道ファンからも注目される「スイッチバック方式」を採用している駅でもあります。大月方面から来た電車は、この駅で進行方向を逆にして河口湖方面(富士急ハイランド方面)へ向かいます。
この進行方向が変わる独特の動きは、単なる移動ではなく、ちょっとした旅のイベントになります。わずか2分間の乗車ですが、車窓からは富士山の広大な裾野が広がり、次第に巨大なジェットコースターのレールが視界に飛び込んでくる景色は圧巻の一言です。

普通列車だけでなく、「富士回遊」や「フジサン特急」「富士山ビュー特急」といった個性豊かな特急列車も多数乗り入れています。特急を利用する場合は、乗車券170円のほかに特急券(列車により400円など。最新の料金は公式サイトを確認してください)が別途必要になります。
たった2分の区間で特急料金を払うのはもったいないと感じるかもしれません。しかし、特別なデザインの車両に乗り込み、非日常の空間から景色を眺める体験は、旅の思い出をより深く、色鮮やかなものにしてくれるはずです。
注意点として、週末の朝8時から9時台(開園直前)は、電車内が非常に混雑します。大月方面から乗り継いできた乗客で満員状態になることも多いため、ベビーカーや大きな荷物がある場合は、乗車時に少し苦労するかもしれません。登山における朝の出発ラッシュと同じように、ピークの時間を少しずらすだけで、驚くほど快適に移動できることも覚えておいてください。
無料巡回バスで行く|対象施設利用者だけの特別な足
もしあなたが、富士急グループの対象施設を利用する予定があるのなら、無料巡回バスという選択肢を有効に活用できます。
このバスは、富士山駅や富士急ハイランド駅を結ぶだけでなく、「ふじやま温泉」「ハイランドリゾート ホテル&スパ」「フジヤマ ミュージアム」などの周辺施設をぐるりと巡回しています。
また、「PICA 富士吉田」や「PICA Fujiyama」といった、富士の自然を身近に感じられる人気のグランピング施設とも接続しています。対象施設に宿泊する旅行者や、登山の疲れを温泉で癒やそうとする方にとっては、これ以上ないほど便利でお得な移動手段となります。
運行ダイヤは、朝8時台から始まり、日中は1時間から2時間に1本の間隔で設定されています。富士山駅のバス乗り場から乗車でき、各施設を順番に回って目的地へと送り届けてくれます。
ただし、利用には重要なルールが存在します。この巡回バスは「対象施設を利用するお客様専用」であり、単に駅から駅へ移動したいだけの一般の乗客は乗車できません。
乗車時に、ホテルの宿泊予約画面や、施設の利用を証明するものの提示が求められる場合があります。富士の麓でレジャーや温泉を心ゆくまで堪能するプランを立てている方にとってのみ、開かれた特別なサービスなのです。

バスを利用する際に最も気をつけるべきは、周辺道路の渋滞による遅延リスクです。富士急ハイランド周辺の国道139号線や県道は、土日やゴールデンウィーク、夏休みの連休中になると激しい渋滞が発生します。
特に夕方から夜にかけては、帰宅する車で道路が全く動かなくなることも珍しくありません。バスのダイヤはあくまで目安であり、大幅に遅れる可能性があることを念頭に置いておきましょう。
帰りの特急電車の指定席をとっている場合や、新幹線の乗り継ぎ時間が決まっている場合は、渋滞に巻き込まれるリスクのあるバスは避け、定時運行に強い電車を利用するのが鉄則です。自然の中で時間を読むのが難しいように、観光地の夕方の道路状況もまた、人間の思い通りにはならないのです。
徒歩で行く|約2kmの道のりと安全な歩き方
時刻表に縛られたくない方や、晴れた日の散策を楽しみたい方には、第三の選択肢である「徒歩」をおすすめします。
富士山駅から富士急ハイランドまでの距離は、直線にして約1.5km、実際の道のりでも約2km弱です。大人の足であれば、およそ20分から30分で十分に歩き切ることができます。
具体的な道順としては、まず富士山駅を出て北西の方向へ進みます。駅前のロータリーを抜けたら、昭和通りなどの市街地を通り抜けていくルートが一般的です。
大きな目印としては、国道137号(御坂みち)や県道707号線に沿って進むか、駅の裏手から住宅街を抜けて西側へ向かうルートがあります。スマートフォンの地図アプリで「徒歩ルート」を検索すれば、迷うことなくたどり着けるはずです。
このルートの最大の魅力は、富士吉田の日常的な風景と、圧倒的な存在感を放つ富士山を同時に楽しめることです。古くから富士講の行者たちが歩いた信仰の道の面影を感じながら、振り返るたびにそびえ立つ富士山を眺めて歩く時間は、電車やバスでは決して味わえない贅沢な体験です。
ただし、歩行時にはいくつかの注意点があります。まず、歩道は整備されているものの、周辺は車通りが非常に多いエリアです。一部で道幅が狭くなる箇所もあるため、横に広がらず一列で歩くなど、安全には十分配慮してください。
また、富士山駅周辺は標高が約809mもあります。夏場でも朝晩は涼しく、過ごしやすい一方で、冬場(12月から3月頃)は厳しい寒さに見舞われます。
冬季は路面が凍結していることが多く、一般的なスニーカーなどでは転倒の危険があります。冬に徒歩を選択する場合は、スノーブーツや靴底にしっかりとした滑り止めのついた靴を必ず着用してください。
荷物が多い場合や、雨や雪といった悪天候の日は、無理に歩くのは禁物です。山の天気は変わりやすいため、下界では晴れていても、標高800mを超えるこの地では突然の雨に見舞われることもあります。折り畳み傘をバッグに忍ばせておくのが、自然を相手にする際の基本です。
考察:地元目線と登山家視点で選ぶ、時間帯と目的別のベストな戦略
ここまで3つの移動手段を解説してきましたが、富士山愛好家であり、長年この地を見てきた筆者としては「旅の目的と時間帯によって手段を柔軟に使い分けること」を強く推奨します。
数字やデータだけを見れば、2〜3分で到着し、運賃も170円と手頃な「電車」が圧倒的な勝者です。大多數の観光客にとって、これが最適解であることは疑いようがありません。
しかし、知っておくべきは「帰宅ラッシュ時の圧倒的な混雑」です。夕方の17時から19時台にかけて、遊び疲れた観光客が一斉に帰路につくため、富士急ハイランド駅の切符売り場や改札は長蛇の列となります。
この混雑を回避するためには、朝のうちに帰りの切符(富士急ハイランド駅から富士山駅、あるいは大月駅まで)を買っておくか、ICカードの残高を多めにチャージしておくことが必須の対策となります。これを怠ると、電車に乗る前に思わぬ時間をロスすることになります。
一方で、徒歩という選択肢は、渋滞や混雑に巻き込まれない「究極のエスケープルート(避難経路)」として機能します。
万が一、強風やトラブルで電車が一時的に運転を見合わせたり、道路渋滞でバスが全く来なかったりした場合でも、自分の足で20分歩けば確実に目的地(あるいは駅)にたどり着くことができます。
過酷な山登りにおいて、常にエスケープルートを確保しておくことは命に関わる重要なスキルですが、観光においても、第二、第三の移動手段を頭に入れておくことで、心に圧倒的な余裕が生まれます。
急いで開園ダッシュを決めたい朝は迷わず電車に乗り、宿泊施設でのんびり過ごす午後は巡回バスを利用する。そして、帰りの電車が混雑していて天気が良ければ、夕暮れの富士山を眺めながらゆっくりと徒歩で駅まで戻る。
このように、状況に合わせて移動手段を柔軟に選び取ることこそが、富士の麓での時間を最も豊かにする戦略だと考えられます。富士山が四季折々に姿を変えるように、私たちの旅の形もまた、しなやかに変化させていくべきなのです。
まとめ
富士山駅から富士急ハイランドへのアクセスについて、電車・無料巡回バス・徒歩の3つの手段を詳しく比較しました。
- 確実性とスピードなら「電車(富士急行線)」が最適。運賃170円で約2〜3分で到着します。
- 富士急グループのホテルや温泉を利用する方は、専用の「無料巡回バス」が便利です。
- 天気が良く荷物が少ない日は、約2km(20〜30分)の道のりを「徒歩」で向かうのも悪くない選択です。
土日の朝夕は電車も道路も大変混雑します。事前にICカードへチャージしておくなど、少しの準備が快適な旅の鍵となります。富士山麓の標高や気候も考慮し、状況に合わせた最適なルートを選んでください。
よくある質問
富士山駅から富士急ハイランド駅までの運賃はいくらですか?
富士急行線の運賃は、大人170円、小人90円です。SuicaやPASMOなどの交通系ICカードも利用可能です。特急列車に乗車する場合は、別途特急券(400円など)が必要になります。※最新の料金は公式サイト等でご確認ください。
無料巡回バスは一般の観光客でも乗れますか?
いいえ、無料巡回バスは「ふじやま温泉」や「ハイランドリゾート ホテル&スパ」など、富士急グループの対象施設を利用するお客様専用です。単なる駅間の移動には利用できません。
徒歩で行く場合、どのような道を通りますか?
富士山駅を出て北西へ向かい、国道137号や昭和通りなどの市街地を経由するルートが一般的です。距離は約1.5km〜2kmほどで、大人の足なら20〜30分で到着します。冬場は路面凍結に十分注意してください。

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