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迷いの霧を抜けて――富士山登山ルート徹底比較:吉田口・須走口・御殿場口・富士宮口、あなたに合う道はどれ?

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富士登山ガイド
夜明け前、霧が富士吉田の町を包み込む。姿を隠した富士山の輪郭を、僕は幾度となく登った登頂の記憶でなぞった。

「同じ富士なのに、なぜルートによって、これほどまでに表情が違うのだろう。」
そう思ったのは、初めて吉田口を登った十七の夏。以来、須走口の森を抜け、御殿場口の風に打たれ、富士宮口の光を仰ぎながら、
僕は何度も“道”という言葉の意味を考えてきた。

富士山は、単なる登山の対象ではない。
地質学的には日本最大の成層火山であり、信仰の山として1300年以上の歴史を持つ。
そして登山道――吉田口・須走口・御殿場口・富士宮口――は、
それぞれ異なる文化、自然環境、そして人の想いを宿している。

この記事では、富士山を知り尽くした研究者として、そして何度もその山肌を歩いた登山者として、
4つの主要登山口を科学的・実践的に比較していく。
登山ルートの特徴、所要時間、期間、そして“心で登るための道”を見つけるヒントをお届けしよう。

「霧が晴れたとき、あなたが立っているその道こそが、富士があなたに選ばせた道なのかもしれない。」


富士山登山4大ルートの基本を知る【登山ルート・登山口・期間】

富士山の登山口は、じつは4つあります。
山梨県側の吉田口須走口、静岡県側の御殿場口富士宮口
どれも同じ山に向かっているのに、景色も空気も、登る人の顔つきまでも変わるんです。

僕はこれまで何度も登ってきましたが、毎回「今日の富士はどんな表情を見せてくれるだろう」と胸が高鳴ります。
ルートによって雲の流れ方も違えば、山小屋の雰囲気、風の匂いまで違う。
だから富士山を語るには、まずこの4つの道を知らなければ始まりません。

ここからは、それぞれのルートの特徴を、登山口の標高・登頂までの時間・下山時間・難易度で比較していきます。
数字だけでなく、“実際に歩いたときに何を感じるか”もお伝えします。

登山口 標高(五合目) 登り時間 下り時間 特徴
吉田口 約2,300m 約6時間 約3.5時間 山小屋が多く初心者に人気。夜間登山もしやすい。
須走口 約2,000m 約6.5時間 約3.5時間 森と霧に包まれた静かなルート。「砂走り」で下山が爽快。
御殿場口 約1,450m 約8時間 約4.5時間 最長ルートで上級者向け。圧倒的スケールの景観。
富士宮口 約2,400m 約5.5時間 約3時間 最短距離で登頂。南側から見るご来光が美しい。

登山期間は例年7月上旬〜9月上旬。この短い夏だけが、富士が人を受け入れる「開山の季節」です。
そのわずか二か月のあいだに、全国から何十万人もの人がそれぞれの思いを抱えて登ってきます。
まるで夏の富士が、一年分の夢と挑戦をまとめて受け止めているかのようです。

どのルートを選ぶか。いつ登るか。
その選択ひとつで、見える景色も、感じる風も、あなたの登山の記憶もまるで変わってきます。
次の章から、4つのルートをひとつずつ、体験者の視点で掘り下げていきましょう。


御殿場口ルート|最も長く、挑戦者の道

御殿場口――それは、富士山の4つの登山口の中でもっともタフで、もっとも孤高なルートです。
出発点の御殿場口新五合目は標高1,450m。ほかのルートに比べて低く、つまり「最も長い距離を自分の足で登る」ということ。
登りは約8時間、下りは約4時間半。数字だけでも、そのハードさが伝わってくるでしょう。

でも、ここが面白いんです。
樹林帯がほとんどなく、スタート直後から視界が開ける。
目の前に広がるのは、どこまでも続く赤茶色の火山砂と、果てしない空。
風が強く、気まぐれで、時に冷たい。けれどその風が、まるで「本物の富士に挑む覚悟があるか」と問いかけてくるようなんです。

僕が初めて御殿場口を登ったのは二十代のころ。
一歩進むたびに足が砂に沈み、息が上がる。
「これでもか」というほど試されているのに、不思議と笑っていました。
そう、登っていて笑えてくるのが御殿場口なんです。富士山の“野性”を体いっぱいで感じられるから。

そして、忘れてはいけないのが名物の「大砂走り」
須走口の砂走りよりもずっと長く、下りでは重力と遊ぶように駆け下りることができます。
足を取られながらも笑いがこみ上げてくる。あの感覚は一度味わったら病みつきです。

このルートを選ぶ人は、富士に“試されたい”人。
山頂を目指す過程そのものを楽しめる人です。
富士山NETによれば、御殿場ルートの利用者は全体のわずか約5%。
つまり、富士の頂を「ほぼ独り占め」できる贅沢なルートでもあります。

挑戦の匂いがする道を歩きたい人へ――御殿場口は、必ず応えてくれるはずです。


富士宮口ルート|最短距離で頂を目指す、南からの正攻法

「最短距離で富士山の頂へ」――この言葉に惹かれるなら、富士宮口があなたのルートです。
出発点は標高約2,400m。4つの登山口の中で最も高い位置にあり、
登りはおよそ5時間半、下りは約3時間。まさに“最短で富士のてっぺんに辿り着ける道”。

五合目に着くと、まず感じるのは空気の薄さと太陽の近さ。
静岡県側ならではの明るい光に包まれていて、
朝の時点で「今日は登るぞ!」とスイッチが入ります。
登山道は序盤から急勾配。脚にしっかり効いてくるけれど、
一歩ごとに景色が大きく変わるので、つい夢中で進んでしまうんです。

富士宮口は日帰り登山者が多く、朝の五合目はすでに活気に満ちています。
登山靴の音、出発前の笑い声、スタッフの掛け声――
まるで夏の祭りのような雰囲気。その熱気がまたいい刺激になります。

勾配は急ですが、体力に自信のある人なら問題ありません。
山小屋の間隔も適度で、休憩を取りながらテンポよく進めます。
振り返れば駿河湾が遠くに光り、雲の上を歩いているような感覚。
富士宮ルートの魅力は、何よりこの“高度のリアル感”です。

僕がこのルートを登るとき、いつも思うのは「富士山のエネルギーを真っ向から感じる道だ」ということ。
南側から吹き上げる風は強くも暖かく、まるで富士が「ようこそ」と言ってくれているようです。
そんな感覚を味わえるのは、このルートだけかもしれません。

富士登山オフィシャルサイトでも「最短距離で登頂できるルート」として紹介されており、
時間の限られた登山者、または初めて南側から富士を見上げたい人にとってはベストな選択です。
スピーディに登る爽快感と、南斜面ならではの明るい景色を、ぜひ体感してほしい。

短時間で登りきるその瞬間、きっとあなたも思うはずです。
「こんなに近くに、こんなに大きな空があったのか」と。


登山期間と時期で選ぶ|安全登山のための“時間設計”

富士山に登れるのは、わずか7月上旬〜9月上旬の約2か月だけ。
この短い夏こそが、富士山が人間を受け入れてくれる「開山シーズン」です。
それ以外の時期は冬山となり、一般登山は禁止。雪と風の世界に戻ります。

だからこそ、この2か月間は毎年“熱狂”です。
登山口の駐車場は朝からざわめき、山小屋のスタッフが忙しく声をかけ合う。
初心者もベテランも、みんな少し浮き足立っている――あの独特の高揚感は、登った人だけが知っています。

  • 7月上旬〜中旬:残雪があり、空気が澄んでいる。人が少なく静かに登れるが、防寒必須。
  • 7月下旬〜8月中旬:最も気候が安定し、ご来光も安定期。山頂は賑やかで「夏の富士」を満喫できる。
  • 8月下旬〜9月上旬:朝晩は冷え込むが、雲海が美しく、混雑も落ち着くベストタイミング。

登山では「どのルートを選ぶか」と同じくらい、「いつ登るか」が大切です。
その日の天気、風の強さ、夜明けの時間……。
そうした条件を見極めて計画を立てることが、安全にも、そして満足度にも直結します。

僕は毎年、開山初日と閉山直前の両方に登ります。
初日は「富士が今年も始まる」という高揚感、
閉山間際は「また来年までの約束」という静かな余韻。
同じ山でも、季節の終わり方ひとつでこんなにも違う。
だから“時間設計”こそが、富士登山の醍醐味なんです。

夜は山小屋で星を見上げ、朝はご来光に息をのむ。
下山してからも、時計を見るたびにその瞬間がよみがえる。
富士登山の時間は、登りきったあとも続いているんです。

「焦らず、慌てず、富士と同じリズムで登る。
それが、安全で、いちばん心に残る登山のコツです。」


タイプ別おすすめルート診断

「自分にはどのルートが合っているんだろう?」
そう迷う瞬間こそ、富士登山の面白いところです。
同じ山でも、登る道が違えば体験も思い出もまったく変わります。
ここでは、これまで何度も登ってきた僕の経験から、タイプ別におすすめルートを紹介します。

タイプ おすすめルート 理由
初心者・家族連れ 吉田口 山小屋が多くトイレや設備が整備。夜間登山にも対応しやすく、初めての富士に最適。
自然を感じたい人 須走口 樹林帯の緑と霧の幻想的な景色、下山の「砂走り」で爽快感も抜群。
挑戦したい上級者 御殿場口 標高差最大のロングルート。体力勝負だが、静寂と達成感は唯一無二。
時間が限られている人 富士宮口 最短ルートで日帰りも可能。スピード感とご来光の迫力を味わえる。

たとえば、「夜空の星を見ながら登りたい」なら吉田口。
「人の少ない道で自然と向き合いたい」なら須走口。
「限界まで挑戦したい」なら御殿場口。
「週末だけで登り切りたい」なら富士宮口。
――それぞれに“登る理由”があるんです。

僕はこの4ルートすべてを何度も歩いてきましたが、毎回ワクワクします。
たとえ同じルートでも、季節や時間帯、天気が変わればまったく別の山になる。
だからこそ、「どのルートを選ぶか」その決断が、あなたの富士登山を唯一の物語に変えるんです。

次の休みに、あなたならどの道を選びますか?
富士山は、いつだって新しい挑戦者を待っています。


まとめ|あなたが選ぶ“道”こそ、富士山が映すあなた自身

吉田口の賑やかさ、須走口の静けさ、御殿場口のストイックさ、そして富士宮口のスピード感。
4つのルートには、それぞれ違う富士山が息づいています。
どれが正解というわけではありません。どの道にも、登る人の思いがあるんです。

僕はこれまで何百回と富士を登ってきましたが、同じ登山は一度としてありませんでした。
雲の形、風の匂い、出会う人――毎回違う。
そのたびに「今日の富士はどんな顔を見せてくれるだろう」と、まるで初登頂のような気持ちになります。

だからこそ、あなたに伝えたいのはひとつ。
“富士山のルート選び”は、単なる登山計画ではなく、自分の生き方を映す選択だということ。
のんびり登るのもいいし、挑戦するのもいい。どんなスタイルでも、そこには“あなたの富士山”がある。

この記事を読んで少しでもワクワクしたなら、次の週末は地図を広げてみてください。
その時点で、もう富士登山は始まっています。
ルートを決める瞬間のドキドキこそが、登山の第一歩なんです。

「富士山は、登る人の数だけルートを持っている。
そしてその一本一本が、登る人の物語を描いていく。」

次はあなたの番です。
吉田、須走、御殿場、富士宮――どの道を選んでも、頂上で待っているのは同じ青空。
その空の下で、きっとあなたも笑っています。


よくある質問(FAQ)

登山講座でもよく聞かれる質問をピックアップしました。
初めて富士山に挑戦する方も、次の登山を計画中の方も、ぜひ参考にしてください!

Q1. 登山初心者におすすめのルートは?
吉田口です!
山小屋が多く、トイレ・売店などの設備がしっかり整っていて安心。
夜間登山にも対応しやすいので、ご来光を狙いたい方にもぴったりです。
登山デビューの人が多く、同じペースの仲間と登れるのも魅力ですね。
Q2. 日帰り登山に最適なルートは?
富士宮口がおすすめです。
登り約5時間半・下り約3時間ほどで往復でき、最短距離で山頂に到達できます。
駿河湾を見下ろしながらの景色は格別!
ただし、勾配が急なので下山時は膝への負担に注意しましょう。
Q3. ルートごとの天候や気温差は?
富士山の天候は想像以上に変わりやすいです。
特に御殿場口と富士宮口は風が強く、真夏でも上は10℃以下になることも。
山頂では手袋が欲しくなるほど冷える日もあります。
防寒対策とレインウェアは必ず携帯してくださいね。
Q4. 登山期間外に登ることはできますか?
一般登山は禁止されています。
11月〜6月は雪と氷に覆われ、滑落事故の危険が非常に高い時期です。
僕自身、冬の富士を遠くから見上げるたびに「また夏に会おう」と心でつぶやきます。
安全な開山期間(7月上旬〜9月上旬)に登りましょう。
Q5. 初めてでもご来光を見られますか?
もちろん可能です!
ただし、深夜出発の場合はヘッドランプ防寒具が必須。
吉田口や富士宮口なら夜間でも比較的登山者が多く安心です。
頂上で見る朝日…あの瞬間は何度見ても胸が熱くなりますよ。
Q6. どのルートがいちばん“感動”しますか?
それは、あなたがどんな気持ちで登るかによります。
仲間と笑いながら登れば吉田口が最高だし、
自然と向き合いたいなら須走口、限界に挑みたいなら御殿場口、
スピードと達成感を味わいたいなら富士宮口。
富士山は、登る人の数だけ感動の形があるんです。

登る前の疑問は、実際に登ってみればすぐに答えが出ます。
富士山は、質問よりも多くの“発見”をくれる山です。
次はあなた自身の足で、答えを探しに行きましょう。

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