出発前夜、ザックを開けて床に装備を並べる。
ライトの下で一つずつ確かめていくほどに、胸の奥に小さな不安が生まれる。
「……これで、足りているだろうか」
僕は、10代から富士を何度も登ってきた。地理学を学び、火山としての富士山の“地形と気象の癖”を調べた。
だからこそ断言できる。富士山は優しい。けれど、甘くはない。
五合目で晴れていても、上は別世界だ。雲は足元から湧き、風は体温を静かに奪い、夜は想像より長く冷たい。
そして怖いのは、派手な危険よりも——「たった一つの不足」が連鎖して起きる小さな崩れだ。手袋がない。雨具が不十分。ライトの電池が弱い。すると「我慢」が増え、判断が鈍り、体力が削られていく。
これは脅しではない。僕が山頂で見てきた“現実”だ。
だからこの記事は、知識を並べるだけじゃなく、忘れ物を未然に消すための手順として書く。
僕が伝えたい結論:
ザックに入れるのは装備じゃない。“安心”だ。
チェックリストは、荷物を増やすためにあるんじゃない。
富士山の上で「引き返す勇気」を残すためにある。——そのための“安心”を、ここで一緒に揃えていこう。
富士山登山の装備は「命を預ける順」で考える

ここ、僕がいちばんワクワクして書いているパートです。
なぜなら装備って「荷物の話」じゃなくて、富士山を楽しむための“自由のスイッチ”だから。
富士登山の装備選びで多い失敗は、だいたいこの一文に集約されます。
「あれもこれも入れたけど、本当に必要なものが足りていない」
僕も昔やりました。便利そうな小物を増やして、肝心の防寒やライトが“ギリギリ”になるやつ。
富士山はそのギリギリを、すぐ試してきます。風が吹いた瞬間、夜になった瞬間、雨粒が刺さった瞬間に。
だから装備は「好きな順」じゃなく、命を預ける順で並べます。これができると、不思議なことに準備が一気に楽しくなる。
やることが明確になって、「あ、もう大丈夫だ」って安心が増えていくからです。
- 体温を守るもの(冷える前に着られる)
- 雨と風から身を守るもの(濡れない=冷えない)
- 暗闇でも動けるもの(ヘッドランプは帰るための光)
- 戻ってくるための道具(地図・アプリ・判断材料)
ポイント:「軽さ」より「安全」。富士山は“なんとなく”で登れる山じゃない。
でも逆に言うと、順番さえ押さえれば、初めてでもちゃんと楽しめる——ここから一緒に整えていきましょう。
【完全チェックリスト】富士山 登山 グッズ〈必携編〉

正直に言うと、このチェックリストを書く時間がいちばん楽しい。
なぜならここは、これから富士山に向かう人の「不安」が「期待」に変わる瞬間だから。
装備を一つずつそろえていくと、ザックの重さとは逆に、気持ちは軽くなっていく。
そして、ここだけは削らない。ここが欠けると、不安は一気に事故に近づく。
- 雨具(上下セパレート)
ポンチョは風で煽られやすい。雨を防ぐためじゃなく、体温を守るために着る。 - 防寒着(フリース or 薄手ダウン)
夏でも山は冷える。風が吹いた瞬間に「持ってきてよかった」と実感する。 - ヘッドランプ(予備電池)
ご来光だけじゃない。下山が遅れたとき、帰れるかどうかを左右する。 - 登山靴(防水)
砂と雨は容赦ない。足が守られるだけで、疲れ方がまったく違う。 - 水・行動食
混雑時は買えないこともある。手元にあるだけで、心の余裕が増える。 - 地図 or 登山アプリ
使わないかもしれない。でも「戻れる」と思える安心が、判断を冷静にする。
ひとこと:
雨具をザックに入れた瞬間、天気予報が外れても心は折れなくなる。
準備が整うたびに、富士山は「少し近づいた顔」になる。
富士山 登山 リュック|正解は「余裕が残る容量」

ここ、地味に見えて富士登山の快適さを決める“ゲームチェンジャー”です。
装備の良し悪しより先に、リュックが合っていないと全部が崩れる。だから僕はこの話を書くのが楽しくて仕方ない。
「何リットルが正解ですか?」とよく聞かれる。
結論はシンプル。迷ったら、まずこれ。
30L前後。理由は“余裕”が生まれるから。
富士山のリュックって、容量の数字を当てるクイズじゃないんです。
「寒い!」と思った瞬間に防寒着をサッと出せるか。「雨!」で雨具を迷わず取り出せるか。
その“動きやすさ”を買うのが、容量選び。
- 20L:パンパンになりやすい(防寒着の出し入れが地獄になりがち)
- 30L:バランス良い(初心者にも扱いやすく、余裕が残る)
- 40L:荷物が増える人向け(慣れていないと大きさに振り回されがち)
僕の目安:
30Lを選んで、「防寒着+雨具を入れてもまだ少し余る」状態がベスト。
余ったスペースは無駄じゃなくて、山の上での判断の余裕になります。
落とし穴:ザックがパンパンだと「防寒着を出すのが面倒」→「寒さを我慢」→体力を削られる。
富士山はこの“我慢の連鎖”がいちばん危ない。
富士山 登山 ズボン|「1本」で行こうとしない

ここは毎回、少し身を乗り出して書いています。
なぜなら「ズボン選びひとつで、富士登山のしんどさは劇的に変わる」から。
声を大にして言いたい。
デニムで富士山は、やめてほしい。
格好の問題じゃない。濡れて、冷えて、動きにくくなった瞬間に、楽しさが一気に消えるからです。
正解はレイヤリング(重ね方)。
これが分かると、装備選びが一段レベルアップして、正直ちょっと楽しくなります。
考え方はシンプル。
「暑い・寒い・濡れる」に、その場で対応できるか。
- ベース:速乾タイツ
汗を逃がす役。これがあるだけで冷え方が全然違う。 - メイン:登山用パンツ(動きやすい)
歩きやすさ担当。長時間でもストレスが少ない。 - 予備:薄手の防寒用オーバーパンツ
風が吹いた瞬間に“勝ち”を確信する一枚。
マイクロピース:
ズボン1本で、体温は守れない。
守るのは“重ね方”。そしてその余裕が、富士山を楽しむ余白になる。
富士山 登山 ヘルメット|それは“大げさ”ではなく“理性”

この話題になると、僕はいつも少しテンションが上がります。
なぜならヘルメットって「怖がりの道具」じゃなくて、富士山を思いきり楽しむための“安心のブースター”だから。
よく言われます。
「ヘルメットって、大げさじゃないですか?」
そのたびに僕は、こう返したくなる。
転倒や落石は、大げさか?
富士山は“整備された観光地”の顔もあるけれど、足元は火山そのもの。
ちょっとした条件が重なると、リスクがぐっと現実味を帯びます。
- 火山礫の山=足元が不安定になりやすい(小石が転がりやすい)
- 下山道は滑りやすい(疲労が重なると踏ん張りが効かない)
- 混雑時=上から小石が落ちてくることがある(意図せず落としてしまう)
ここが大事:
ヘルメットが守るのは“頭”だけじゃありません。
「余計な不安」を減らして、足元・呼吸・景色に集中できる状態を作ってくれます。
結論:ヘルメットは“勇気”じゃない。合理的な備えだ。
そしてその合理性が、富士山を「しんどい挑戦」から「気持ちいい冒険」に変えてくれます。
富士山 登山 レンタル|“経験不足”を準備で埋める

この章を書くとき、いつも少し笑ってしまいます。
なぜなら「レンタルってどうなんですか?」と聞かれた人ほど、当日いちばん余裕のある顔で下山してくるから。
まず、はっきり言います。
すべてを買う必要はありません。
レンタルはズルじゃない。賢い戦略です。
富士登山は“経験値マウント”の場じゃありません。
ちゃんと準備した人が、ちゃんと楽しめる山です。
レンタル向きな人
- 初めての富士登山で、装備の全体像をまだつかめていない
- 年1回行くかどうかで、買い揃えるのは現実的じゃない
- サイズ感・着心地を実地で確かめたい
→ 「まずは体験したい」人ほど、レンタルは相性がいい。
購入したい装備
- 登山靴(足に合うかどうかがすべて)
- レインウェア(性能差が体感で分かる)
- リュック(背負った瞬間に相性が出る)
→ 「自分専用」が活きる装備だけ、無理なく揃える。
マイクロピース:
レンタルはズルじゃない。
経験の浅さを“準備”で埋める賢さだ。
そしてその賢さが、富士山を「不安な挑戦」から「楽しみな体験」に変えてくれる。
富士山 登山 アプリ|迷わないためじゃない

この章、書いていてちょっと楽しいです。
なぜなら登山アプリって「ガチ勢の道具」じゃなくて、初心者の不安を軽くする“現代の必携品”になってきたから。
まず大前提。登山アプリは万能じゃない。
でも、「迷ったと気づける」だけで、戻れる確率が上がる。これは本当に大きい。
富士山はルートが比較的わかりやすいと言われます。
それでも夜・霧・疲労が重なると、「いつの間にかズレている」が起きる。
だからこそアプリは、“迷わないため”というより、迷い始めを止めるための道具です。
- オフラインGPS
電波が弱い場所も想定して、事前に地図データを保存しておく。 - ルート逸脱の確認
「あれ、こっちで合ってる?」の不安を、数秒で潰せる。 - 現在地の把握
現在地が分かるだけで、判断が落ち着く。焦りが減る。
僕のおすすめ運用:
アプリは「開かないといけない状況」を作らないために、出発前に一度だけ起動して確認しておく。
それだけで“いざという時に使える状態”が完成します。
注意:スマホは冷えとバッテリー低下が早い。モバイルバッテリーや保温(内ポケット)もセットで考える。
「アプリ入れたから安心」じゃなく、動く状態で持っていくのが正解です。
富士山 登山 ガイド|“安心”を買うという選択

この章は、書きながらニヤけます。
なぜなら「ガイド付き=初心者向け」って思われがちだけど、実際は逆で、富士山を一番“いい形”で楽しむ人ほど、ガイドを上手に使うから。
ガイドは初心者だけのものじゃない。
むしろ、富士山を“味わう”ための選択肢でもあります。
富士登山って、やろうと思えば「ただ登って降りる」こともできる。
でもそれだと、渋滞や不安や判断で頭がいっぱいになって、気づけば景色を見ていない。
ガイドが入ると、その“消耗”が減ります。結果、同じ富士山でも体験の質が変わるんです。
- ペース管理
息が上がる前に整える。結果、後半で足が残る。 - 体調判断
高山病の“サイン”を早めに拾う。無理をする前に手を打てる。 - 渋滞回避
状況を見て動く。ストレスが減ると、体力もメンタルも温存できる。
マイクロピース:
ガイドを付けるのは不安だからじゃない。
景色を見る余白を買うためだ。
「しんどかった」で終わらせず、「楽しかった」を持ち帰りたい人にこそ、ガイドは効きます。
出発前3分で終わる|最終チェックリスト

さあ、ここがいちばん気持ちいいところです。
装備を選ぶ時間はワクワクするけど、最後は「確認して終わらせる」。この締めがあるだけで、当日の安心感が段違い。
僕は富士山に慣れてからも、必ずこの3分チェックをやります。
理由は簡単で、富士山って「準備したつもり」の隙を、ちゃんと突いてくるから。
逆に言えば、ここを押さえると当日は景色と呼吸に集中できるようになります。
コツ:チェックは「持ったか?」より“使える状態か?”まで見る。
(雨具は上下セット/ライトは点く/スマホは充電できる、まで)
- 雨具は上下そろっているか(袋に入っているか)
- 防寒着はすぐ取り出せる場所にあるか(ザックの奥に埋まってないか)
- ヘッドランプは点灯チェックしたか(予備電池もセットか)
- 水と行動食は不足しない量か(「余るくらい」が正解)
- スマホは充電できるか(バッテリー・ケーブル・保温も)
最後のひと押し:
このチェックが終わったら、ザックを背負ってみてください。
「重い・当たる・揺れる」があるなら、その場で直せる。
ここまでやると、当日の自分に“めちゃくちゃ感謝されます”。
この3分が、下山後の笑顔を守る。
そして何より、登っている途中に「準備は大丈夫」という確信が、あなたを前に進めてくれます。
まとめ|準備が整った人だけが、富士山を楽しめる

ここまで読んでくれたあなたは、もう気づいているはずです。
富士登山の準備って、面倒な作業じゃない。当日のワクワクを増幅させる仕込みなんです。
富士山は、誰にでも開かれている。
でも、無防備な人に優しい山ではない。
その代わり、ちゃんと備えた人には驚くほどまっすぐに応えてくれる。
装備は、恐怖を減らすためにある。
準備は、不安を静めるためにある。
そして不安が減るほど、あなたの視界は広がる。歩くリズムが整う。景色が入ってくる。
僕が好きな瞬間:
五合目でザックを背負ったときに「うん、今日は大丈夫だ」って思えるあの感じ。
その確信があると、富士山は“しんどい挑戦”じゃなくて、気持ちいい冒険になります。
だから最後に、合言葉をもう一度。
結論:
ザックに入れるのは装備じゃない。“安心”だ。
準備が整った人だけが、富士山を楽しめる。
逆に言えば、準備さえ整えば、あなたはもう楽しむ側に立てます。
さあ、チェックリストを埋めて、五合目へ。富士山は、ちゃんと待ってます。
FAQ
最後に、よく聞かれる質問をまとめました。
ここを読んで「なるほど、これで行けるな」と腹落ちしたら、準備はもう勝ちです。
(僕はこのFAQを書くのが好きで、毎回ニヤニヤしながら追記してます。質問って、次の登山者の“つまずきポイント”が全部詰まってるから。)
Q. 富士山登山で本当に最低限必要な持ち物は?
雨具(上下)、防寒着、ヘッドランプ、登山靴、水・行動食、現在地を確認できる手段(地図/アプリ)は“最低限”として考えてください。
「もし天気が崩れても」「もし下山が遅れても」このセットがあると、判断が落ち着きます。
Q. 雨具はポンチョでも大丈夫?
富士山は風が強くなりやすいので、基本は上下セパレート推奨です。
体温を守る意味でも「濡れない」より「冷えない」が重要。雨具は“服”というより“体温の盾”だと思ってください。
Q. ヘルメットは初心者でも必要?
落石や転倒のリスクは、経験に関係なく起こります。
とくに混雑日や下山で疲労が出るタイミングほどリスクが上がる。安全を優先するなら携行は合理的です。
「守られる安心」があると、足元やペースに集中できて、結果的に登山がラクになります。
Q. 登山アプリだけで迷わない?
アプリは保険です。バッテリー切れ・低温での電源落ちもあるので、充電手段(モバイルバッテリー等)とセットで考えましょう。
「アプリがあるから大丈夫」ではなく、「アプリが動く状態だから大丈夫」が正解です。
Q. ガイドを付けると自由度は下がる?
むしろ「判断疲れ」が減り、景色に集中できることがあります。
ペース・体調・渋滞の判断を任せられる分、あなたは“登ること”と“楽しむこと”に集中できる。安全と満足度を両立したい人には選択肢になります。
最後に:
FAQを読んで「自分の不安はここだな」と見つかったら、そこを埋めるだけで準備は一気に進みます。
その“埋まっていく感じ”こそ、富士登山のワクワクの始まりです。
情報ソース(公的・権威)
ここまで読み進めてくれたあなたに、最後にもうひとつだけ。
僕は「気合い」より「準備」を信じています。なぜなら富士山は、準備した人にちゃんと景色をくれるから。
この記事は、富士登山に関する公的・公式情報(装備の推奨、注意事項、ヘルメット携行の考え方、アプリ活用の案内など)をベースに、僕自身が富士吉田で育ち、繰り返し富士を歩いてきた経験を重ねて作りました。
富士山は「登りやすい山」と言われる一方で、天候・気温・混雑が急に変わり、装備不足がそのまま危険につながる山でもあります。
だからこそ、ワクワクして準備しつつ、最後は公式情報で答え合わせをしてください。
その“答え合わせ”ができる人ほど、当日は余裕を持って楽しめます。
- 富士登山オフィシャルサイト:登山に必要な装備
- 山梨県:登山に必要な装備と遵守事項
- 山梨県:ヘルメット等の持参について
- 富士登山オフィシャルサイト:富士山アプリ案内
- 環境省(関東地方環境事務所):富士登山オーバーツーリズム対策パッケージ(PDF)
僕のおすすめ:
出発の前日〜当日に、上の公式サイトを3分だけチェックしてください。
「最新の注意点」を押さえた状態で登ると、安心感が一段上がって、富士山が“イベント”になります。
注意書き:
本記事は一般的な情報提供であり、特定の登山行程・個別状況の安全を保証するものではありません。
天候・体調・通行規制により撤退判断が必要になることがあります。最新情報は必ず上記の公式サイト等で確認し、無理のない計画で登山してください。


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