石和温泉では一部の宿から富士山を望めますが、大きな山体を見るなら周辺の展望名所への移動が必要です。
富士山が見える宿の代表はホテル石庭と富士野屋です。FUJIYAMAツインテラスへは、石和温泉から通常約50〜80分を見込みましょう。
富士山を眺めながら過ごせるグランピングは、施設によって景色も過ごし方もかなり違います。
「どこを選べばいい?」と迷ったら、富士山周辺のグランピング選びをまとめた記事を先に見ておくとイメージしやすいです。
石和温泉から富士山は見える?結論と選び方
石和温泉は山梨県笛吹市の甲府盆地にあります。富士山麓の河口湖や山中湖とは異なり、温泉街のどこからでも富士山が見える場所ではありません。
理由は、石和温泉と富士山の間に御坂山地が横たわっているからです。低層階や建物の位置によっては、山並みや市街地に視界を遮られます。
一方、高層階や南向きの展望設備を持つ一部の宿では、天候がよければ甲府盆地越しに富士山を望めます。
ただし、石和温泉から見える富士山は、河口湖畔から見るような裾野まで迫る姿ではありません。御坂山地の向こうに山頂部を望む、遠景としての眺めが中心です。
目的別に選ぶと、候補は次のようになります。
目的 主な候補 富士山の見え方 予約・訪問時の注意
温泉に入りながら見たい ホテル石庭 最上階の展望浴場から甲府盆地越しに望む 雲や霞、男女入れ替え時間を確認
客室や貸切風呂から見たい シャトレーゼホテル旅館 富士野屋 一部客室や貸切露天風呂から富士山方面を望む 対象客室名を指定して確認
富士山と河口湖を一望したい FUJIYAMAツインテラス 標高約1,600メートルから広く見渡す マイカー規制と専用バスあり
湖や花と撮影したい 河口湖・山中湖 湖畔から大きな山体を望む 季節、風、雲、混雑に左右される
忠霊塔と一緒に見たい 新倉山浅間公園 忠霊塔、街並み、富士山を一望 398段の階段と繁忙期の混雑に注意
宿泊先を選ぶ前に決めたいのは、宿の中から富士山を見るのか、石和温泉を拠点に絶景を見に行くのかという点です。
この違いを理解しておけば、「山梨の温泉だから客室から富士山が見えると思った」という行き違いを防げます。「山側」「眺望あり」という表示だけでは、富士山側を意味するとは限りません。
石和温泉で富士山が見える宿はどこ?
石和温泉で富士山眺望が公式に案内されている代表的な宿は、ホテル石庭とシャトレーゼホテル旅館 富士野屋です。
ただし、すべての浴場や客室から見えるわけではありません。宿泊予約時には、設備名や客室名まで指定して確認する必要があります。
ホテル石庭は最上階の大展望浴場から見える
ホテル石庭の公式サイトと石和温泉観光協会は、最上階の大展望浴場から富士山、南アルプス、甲府盆地を一望できると案内しています。
所在地は山梨県笛吹市石和町窪中島587。石和温泉駅から徒歩約15分、車で約5分です。
確認項目 内容
富士山が見える場所 最上階の大展望浴場
浴場名 展望大浴場・パノラマ大浴場などの表記あり
宿泊者の利用時間 旅行会社掲載では15:00〜23:45、5:30〜10:00
男女利用 入れ替え制の案内あり
日帰り入浴 山梨県公式観光情報では15:00〜19:00、要問い合わせ
日帰り料金 同情報では1,650円、変動の可能性あり
注意点 富士山は遠景。天候、霞、入れ替え時間に左右される
公式サイトでは浴場を24時間利用可能とする案内もある一方、旅行会社の施設情報には清掃や入れ替えを含む時間帯が掲載されています。情報が一致していないため、実際の利用時間は予約前にホテルへ確認してください。
また、展望貸切露天風呂は予約制で、公式サイトでは1回40分、3,000円税別と案内されています。ただし、富士山を優先する場合は、貸切風呂からの見える方向も事前に尋ねた方が確実です。
ホテル石庭の魅力は、富士山だけではありません。甲府盆地と南アルプスまで視界に入るため、盆地の広がりを含めて山梨の地形を眺められます。
僕は、この遠景に石和温泉らしさがあると感じます。富士山だけを切り取るのではなく、人が暮らす盆地と周囲の山々の関係まで見えるからです。
富士野屋は対象客室と貸切露天風呂を確認する
シャトレーゼホテル旅館 富士野屋では、一部の客室と貸切屋上露天風呂から、富士山または富士山方面の山並みを望めると案内されています。
所在地は山梨県笛吹市石和町八田286。石和温泉駅から送迎車またはタクシーで約8分の場所です。
対象設備・客室 公式案内の内容 注意点
本館 温泉展望風呂付和室 南面の笛吹川と富士山頂方面を望む 山頂部の見え方は天候や客室位置に左右される
離れ 温泉檜風呂付特別和洋室 笛吹川を介して富士山方面の山並みを見晴らす 「富士山方面」と明記され、全山が見える保証ではない
貸切露天風呂「檜の湯」「天空の湯」 昼は富士山方面の山並みを望める 予約制。向きや雲によって見え方が変わる
貸切露天風呂の利用条件 13:00〜21:40、最終入場21:00、40分 公式掲載料金は一般大人1名2,000円、宿泊者1,000円
富士野屋の表現で注意したいのは、「富士山頂方面」「富士山方面の山並み」と、「富士山が客室から明瞭に見える」は同じ意味ではないことです。
建物、樹木、客室の階数、季節、雲によって見え方は変化します。富士山眺望を最優先するなら、「本館 温泉展望風呂付和室を希望している」「富士山が見える部屋を優先したい」と具体的に伝えてください。
なお、日帰り入浴については、外部の温泉情報サイトに6:00〜10:00、13:00〜23:00、最終受付22:30、大人1,000円という掲載があります。
ただし、富士野屋の公式温泉ページでは通常の日帰り入浴条件を明確に確認できませんでした。日帰り利用の可否、料金、対象浴場は訪問前に宿へ確認するのが安全です。
シャトレーゼホテル石和は富士山観光の拠点向き
元記事の発信元であるシャトレーゼホテル石和は、公式サイトで南アルプス連峰を楽しめる客室を案内しています。
一方、全客室や大浴場から富士山を望めるとは明記していません。富士山が見える宿としてではなく、FUJIYAMAツインテラスなどへ向かう温泉観光の拠点として捉える方が誤解を防げます。
宿名に「石和」が入り、山梨県内にあるからといって、富士山ビューが約束されるわけではありません。予約サイトの写真だけで判断せず、公式の客室説明を確認することが大切です。
石和温泉からFUJIYAMAツインテラスまで実際に何分?
石和温泉からFUJIYAMAツインテラスまでは、通常約50〜80分が目安です。混雑時は90分以上かかる可能性もあります。
シャトレーゼホテル石和が2023年11月11日に公開した観光記事では、FUJIYAMAツインテラスまで「約30分」と紹介されました。
しかし、この約30分は展望台到着までの総所要時間ではありません。現在はマイカー規制があり、Lily Bell Hütteで専用バスに乗り換える必要があります。
2026年9月1日に確認した公式情報を基に、通常時の工程を分けると次のようになります。
工程 所要時間の目安
石和温泉からLily Bell Hütteまで車で移動 約30〜40分
駐車・受付・チケット購入 約5〜10分
バスの待ち時間 0〜30分程度
専用バス乗車 約10分
バス停からセカンドテラスまで徒歩 約5分
合計 通常約50〜80分
道路状況がよく、受付後すぐに乗車できれば50分前後が一つの目安です。反対に、便を一本逃した場合や受付が混雑している場合は80分程度を見込む必要があります。
モバイルチケットの案内には、貸切などで乗れない場合、次便まで30〜60分程度待つ可能性があると記載されています。そのため、繁忙期は90分以上かかることも想定してください。
これは公式が「石和温泉から必ず50〜80分」と保証する数字ではありません。公式に示された各工程と時刻表を基にした、旅程を組むための現実的な目安です。
2026年度の専用バス運賃と時刻表
2026年度の専用バスは、4月20日から11月下旬まで、期間中は原則として毎日運行すると笛吹市が案内しています。
通常便の往路は、Lily Bell Hütte前を8時45分に出発する便が始発です。最終の往路便は14時45分発、ツインテラス側からの最終便は15時35分発と案内されています。
昼には運行間隔が広がる時間帯があり、天候や貸切運行によって変更される場合があります。当日は現地時刻表だけでなく、運休情報も確認してください。
利用月 大人往復 小人往復
5月・8月・10月・11月 1,500円 750円
4月・6月・7月・9月 1,000円 500円
3歳未満 無料 無料
小人は3歳から12歳までです。笛吹市民料金や障害者・介助者割引もありますが、証明書の提示など条件が設けられています。
チケットはLily Bell Hütteの観光案内所で購入できます。2026年5月25日からは「乗換案内」アプリを使ったモバイルクーポンも販売されていますが、乗車前に受付へ立ち寄る必要があります。
料金、時刻、販売方法は変更される可能性があります。訪問当日は笛吹市、ふえふき観光ナビ、Lily Bell Hütteの案内で最新情報を確認してください。
駐車場とマイカー規制の注意点
FUJIYAMAツインテラスは水ケ沢林道から先がマイカー規制区間です。一般車で展望台直前まで乗り入れることはできません。
笛吹市が2026年6月5日に更新したページでは、すずらん群生地のLily Bell Hütte前駐車場を40台と案内しています。
一方、別の観光案内には50台という表記もあります。公式ページ間で台数が一致していないため、この記事では理由を推測せず、笛吹市の更新日が新しい40台表記を基準にします。
満車の場合に備え、繁忙期は早めの到着を心がけてください。周辺施設の駐車場は店舗利用者向けの場合があるため、無断駐車は避けましょう。
バスを使わず歩く場合は、Lily Bell Hütteから約3キロメートルの坂道を約50分登ります。狭い道路を専用バスも通行するため、一般的な観光客にはバス利用が現実的です。

テラス到着後に必要な時間と装備
バス停から坂道を約5分歩くと、最初にセカンドテラスへ到着します。さらに東へ約80メートル進むと、主な撮影地点となるファーストテラスがあります。
二つのテラスを巡り、写真を撮りながら景色を見るなら、現地滞在には30〜60分程度を見込むと余裕があります。
標高約1,600メートルでは、石和温泉街より気温が低く、風も強く感じられます。夏でも薄手の上着を用意し、春や秋は防寒を意識してください。
- 飲み物を事前に用意する
- 脱ぎ着できる上着を持つ
- 滑りにくい靴を履く
- 雨具と日差し対策を用意する
- ごみは持ち帰る
- 出発前にライブカメラと運休情報を確認する
富士山は午前中の方が見えやすい日もありますが、常に朝が晴れるわけではありません。季節や気圧配置によっては、朝から雲に包まれることもあります。
専用バスの始発は通常8時45分です。「早朝なら見える」という一般論だけで予定を組まず、運行時間と当日の雲の動きを合わせて判断しましょう。
せっかく富士山の近くまで行くなら、「泊まる場所」そのものも旅の楽しみにしたいところです。
実は富士山周辺には、景色を楽しむ施設、食事を楽しむ施設、プライベート感を重視した施設など、選択肢があります。
何を基準に比べればいいのか、富士山グランピングの特徴と選び方をこちらの記事でまとめました。
候補を探し始める前に、ざっと目を通しておくだけでも選びやすくなります。
石和温泉周辺の富士山絶景4選はどう選ぶ?
石和温泉を拠点に富士山を見るなら、候補はFUJIYAMAツインテラス、河口湖、山中湖、新倉山浅間公園の4か所です。
同じ富士山でも、湖、街並み、忠霊塔、御坂山地という前景によって印象が変わります。見たい構図を先に決めると、移動を詰め込みすぎずに済みます。
1.FUJIYAMAツインテラスは高所から湖と富士山を見たい人向け
FUJIYAMAツインテラスは笛吹市芦川町の新道峠に整備され、2021年夏に開設された展望施設です。
標高約1,600メートルから富士山と河口湖を一望でき、条件がよければ山中湖方面まで見渡せます。
この場所の特徴は、富士山の大きさだけではありません。御坂山地の稜線、その向こうの湖、富士山という奥行きのある地形を一枚の風景として見られます。
地理を学んできた僕には、ここが「富士山だけを見る展望台」ではなく、山と水と人の町の関係を読める場所に思えます。
2.河口湖は湖・花・逆さ富士を撮りたい人向け
河口湖北岸では、湖越しに富士山を望める地点が多く、大石公園が代表的です。
初夏にはラベンダー、秋にはコキアなど、季節の植物と河口湖、富士山を組み合わせられます。
風が弱く湖面が静かなときには、富士山が水面に映る「逆さ富士」が現れることもあります。ただし、風、光、雲、水面の状態がそろった場合に見られる自然現象であり、確約できるものではありません。
3.山中湖は迫力のある富士山と季節感を楽しみたい人向け
山中湖は富士五湖で最も面積が大きく、標高も高い湖です。湖岸の場所によっては、富士山が近く、大きく迫るように感じられます。
これは眺望の感じ方を表したものであり、河口湖より常に優れているという意味ではありません。湖岸の向きや前景によって、富士山の印象が変わります。
秋には旭日丘湖畔緑地公園周辺で、紅葉、湖、富士山を同じ視界に収められる機会があります。ライトアップ時間には富士山が暗くなるため、山体も写したい場合は日没前から待つのが現実的です。
4.新倉山浅間公園は忠霊塔との構図を見たい人向け
富士山と五重塔形式の忠霊塔を一緒に見られる代表的な場所が、富士吉田市の新倉山浅間公園です。
元記事にあった「朝倉山浅間神社」は誤記です。正しくは新倉山浅間公園で、麓の神社は新倉富士浅間神社といいます。
展望デッキへは398段の階段を上ります。そこから富士吉田の街並み、忠霊塔、富士山を一つの視界に収められます。
忠霊塔は戦没者を慰霊するために建てられた塔です。撮影地である前に慰霊の場所であることを忘れず、境内では静かに振る舞いたいものです。
春は桜と残雪の富士山を狙う人で混雑します。満開、快晴、残雪という条件が同時にそろうとは限らないため、写真と同じ景色を前提に旅程を組まないことも大切です。

石和温泉を富士山観光の拠点にする価値は?
ここからは、甲府盆地と富士山を長く見てきた僕の私見です。
石和温泉の強みは、河口湖畔の宿と同じ大きさの富士山を客室から見られることではありません。温泉、果樹園、ワイン、甲府盆地の文化を組み合わせ、富士山が見えない日の旅も支えられることにあります。
僕は石和温泉を、「天候リスクを分散できる富士山観光拠点」と考えています。山の眺望だけに旅行の価値を預けなくてよいからです。
河口湖や山中湖の宿には、目覚めた直後から大きな富士山を望める可能性があります。眺望を最優先する人には、富士五湖側の宿の方が向いている場合もあるでしょう。
一方、石和温泉なら、朝に展望地へ向かい、午後は温泉へ戻る旅ができます。同じ笛吹市内に温泉街と標高約1,600メートルの展望地が共存していることは、大きな地理的特徴です。
ただし、「同じ笛吹市」「車で約30分」という言葉だけで近さを判断してはいけません。FUJIYAMAツインテラスでは、駐車、受付、バス、徒歩までを一続きの移動として考える必要があります。
僕なら、石和温泉から訪れる絶景は一日に一か所へ絞ります。FUJIYAMAツインテラスと河口湖、新倉山浅間公園を同日に詰め込むより、一つの場所で雲や光の変化を待つ方が、富士山と深く向き合えるからです。
霧に隠れる富士は、人の心の迷いに似ています。それでも正確な移動時間と代替予定を準備しておけば、見えない時間まで旅の一部として受け止められます。
なお、本記事の施設情報は2026年9月1日に、笛吹市、ふえふき観光ナビ、石和温泉観光協会、各宿の公式サイト、モバイルチケット案内で確認しました。
筆者による同日の現地確認ではなく、公開情報を照合した結果です。運賃、時刻、入浴時間、日帰り利用、駐車台数は変更される可能性があるため、出発前に各運営主体の最新案内を確認してください。
石和温泉では、ホテル石庭の最上階展望浴場や富士野屋の一部客室・貸切露天風呂から、天候がよければ富士山または富士山方面を望めます。
大きな富士山を見たいなら、FUJIYAMAツインテラス、河口湖、山中湖、新倉山浅間公園から目的に合う場所を選びましょう。
特にFUJIYAMAツインテラスへの「約30分」は、展望台到着までの総所要時間ではありません。石和温泉出発から通常約50〜80分、混雑時は90分以上を想定することが、無理のない計画につながります。
よくある質問
石和温泉の宿から富士山は見えますか?
一部の宿や客室から見えます。ホテル石庭は最上階の大展望浴場、富士野屋は一部客室や貸切屋上露天風呂から富士山または富士山方面を望めると案内しています。
すべての客室や浴場が対象ではありません。予約前に客室名、方角、男女入れ替え時間を宿へ確認してください。
石和温泉からFUJIYAMAツインテラスまで何分かかりますか?
通常は約50〜80分が目安です。車で約30〜40分、受付などに約5〜10分、バス待ち0〜30分、バス約10分、徒歩約5分を見込みます。
混雑や貸切運行で次便になる場合は、90分以上かかる可能性があります。
FUJIYAMAツインテラスのバス料金と最終便は?
2026年度の往復料金は、大人1,000円または1,500円、小人500円または750円で、利用月により異なります。
通常便はLily Bell Hütte前8時45分発が始発、14時45分発が最終往路、ツインテラス15時35分発が最終復路です。悪天候による運休や時刻変更があるため、当日の公式案内を確認してください。
神楽 岳志(登山エッセイスト|富士山研究家|自然体験ストーリーテラー)
富士山旅行では、観光地だけでなく「どこで夜を過ごすか」でも旅の印象は大きく変わります。
ホテルとは少し違う時間を楽しみたいなら、富士山を望めるグランピングも候補のひとつです。
ただし、景観、食事、設備、アクセスなどは施設ごとに違うため、雰囲気だけで決めると迷いやすいところ。
そこで、富士山周辺でグランピングを探すときに知っておきたいポイントを、こちらの記事で分かりやすく整理しています。
次の富士山旅行を考えている方は、気になる施設を探す前の参考にしてみてください。
「こんな過ごし方もあるのか」と、旅の選択肢が少し広がるはずです。


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