ハンドルを切るたびに、フロントガラスの向こうで富士山のかたちが少しずつ変わっていく。まだ眠たそうな湖面に、青い空と白い雲がゆっくり映り込み、助手席の友人が「なんか、呼吸が深くなるね」とぽつりとこぼす。その横顔を見ながら、僕は心の中で「そうだろう?」とひそかにうなずいていた。
久しぶりのオフの日。「遠くまで行く元気はないけれど、ちゃんとどこかへ行きたい」。そんな、ちょっとわがままで、でも正直な願いに応えてくれる場所が、富士山の北麓に広がる富士五湖エリアの日帰りドライブだと、長年この土地を見てきて確信している。
国土地理院の地形図や観光統計を眺めると、湖や道路の配置は冷静な線と数字で表現されている。でも、実際にハンドルを握って走ると、その線の一本一本に、人の記憶や物語が染み込んでいるのがわかる。観光スポットをノルマのように“消化”していく旅は、もう終わりにしよう。湖と森のあいだを、呼吸を取り戻すペースでゆっくり走るだけで、心はじゅうぶん満たされていく。
この記事では、富士山の北麓に広がる富士五湖(山中湖・河口湖・西湖・精進湖・本栖湖)を、僕自身がガイドや取材で何度も実際に走ってきた経験をもとに、車でぐるっと一周する「ゆったり1日モデルコース」としてまとめた。
- 地元目線と専門知識にもとづいた、日帰りで無理なく回せる現実的な周遊ルート
- 富士山がきれいに見える絶景展望台・パワースポット・湖畔カフェをバランスよく組み込んだプラン
- 運転初心者・子連れでも安心して楽しめる道路事情と季節ごとの注意点
カーナビ通りに走るだけのドライブではなく、「湖と森に順番にあいさつしていく周遊旅」。そんなイメージで、富士五湖のまわりを一周する時間を、あなたと一緒にたどっていけたらうれしい。
富士五湖ドライブの基本情報|日帰り観光モデルコースの前に知っておきたいこと
ここから先をもっと楽しんでもらうために、まずは今回走る「フィールド」のイメージを一緒にそろえておきたい。地図を広げながら、「今日はこの湖から攻めようか」と作戦会議している時間って、正直、僕は本番のドライブと同じくらいワクワクする。
富士五湖とは?それぞれの湖のざっくり個性
富士五湖(富士五湖エリア)は、富士山の北麓に並ぶ山中湖・河口湖・西湖・精進湖・本栖湖の5つの湖の総称だ。どれも富士山の噴火でできた地形に水がたまって生まれた湖で、「どこも似たような湖でしょ?」と思っている人ほど、その違いにびっくりするはずだ。
- 山中湖:五湖の中で一番大きく、標高もいちばん高い。正面ドーンの富士山が見えるビューポイントが多くて、「朝イチ担当」のポジション。ひんやりした空気の中を走るのが気持ちいい。
- 河口湖:ホテルやカフェ、観光施設が集まるハブ的存在。富士山ビューのスポットも多く、富士五湖が初めての人には、まずここを拠点にすると旅が組み立てやすい。
- 西湖:ぐるりと森に抱かれた、静かで落ち着いた湖。キャンプ場や「西湖いやしの里 根場」など、時間がゆっくり流れるようなスポットが並ぶ。午後のまったりタイムにぴったり。
- 精進湖:五湖でいちばん小さいけれど、「子抱き富士」と呼ばれる独特の景色で写真好きの心をがっちりつかむ、いわば小さな主役。
- 本栖湖:もっとも深く、水の青さが印象的な湖。千円札の裏面の富士山のモデルになったことで一気に全国区になったクライマックス担当だ。
富士五湖観光連盟や自治体の公式情報でも、このエリアは四季を通じて自然とレジャーが楽しめるリゾート地として紹介されているけれど、僕にとっては「季節ごとに性格を変える5人兄弟」みたいな感覚に近い。どの湖から回すかで、1日の雰囲気がガラッと変わるんだ。
なぜ「ドライブ」に向いているのか
富士五湖エリアがドライブ観光に向いている理由を、仕事抜きで何度も走ってきた立場からまとめると、ざっくり次の3つに集約される。
- 各湖のまわりに無料駐車場や道の駅、公園駐車場が多く、車を停めやすい
- 国道・県道が湖をなぞるように周回していて、地図が苦手でも迷いにくいルート構成になっている
- 車を停めて数分歩くだけで、富士山ビューの絶景スポットに立てる場所が本当に多い
自転車の一周コースとしても有名で、全長約110km・高低差約150mという「アップダウンが少なく走りやすい地形」として紹介されている。この「走りやすさ」は、そのまま車のドライブにも生きてくる。だから僕は、初めて富士山エリアを走る友人には、まず富士五湖をすすめることが多い。
この記事の想定条件と所要時間の目安
ここから先の話を、できるだけリアルにイメージしてもらうために、この記事が想定している条件をはっきりさせておくね。
- 出発想定:首都圏(東京方面)から、中央自動車道〜河口湖IC または 東富士五湖道路〜山中湖IC
- 移動手段:自家用車 or レンタカー
- モデルコースの時間:おおよそ朝9:00〜夕方18:00 前後(途中のカフェ・温泉込み)
ゆっくり各湖に1〜2か所ずつ立ち寄り、どこかでお気に入りの場所を見つけたら、そこに少し長居できるくらいのペースを想定している。実際に僕が友人や読者さんを案内するときも、だいたいこのリズムだ。
走りながら「ここ気持ちいいから、今日はここで終わりにしようか」と、どこかをあえて削る余白を残しておく。そのくらいのゆるさが、富士五湖ドライブをいちばん楽しめるスピードだと、何度も周遊してきた今は思っている。
〈朝〉山中湖スタート|富士山が正面に見える湖畔ドライブと絶景スポット
正直に言うと、僕はこのコースを書くとき、ここを思い浮かべた瞬間からニヤニヤしていた。なぜかというと、「朝いちばんの山中湖」ほど、ドライブのスタートにふさわしい場所はなかなかないからだ。
まだ車の台数も少なくて、空気はきりっと冷たくて、フロントガラスの向こうには輪郭くっきりの富士山。エンジンを切ってドアを開けた瞬間の、あの少しひんやりした空気を思い出しながら、この行程を書いている。
カーナビを消してみるといい。富士五湖のドライブは、道に迷うほど、人生の地図が少しずつ鮮やかになるから。
ちょっと大げさに聞こえるかもしれないけれど、「あれ? ここ前に来たときと光の感じが違うな」とか、「この角度の富士、前より好きかも」とか、小さな発見を重ねていくのが山中湖の朝ドライブの楽しさだ。
山中湖を朝に回す理由
山中湖をコースの「朝担当」にしているのには、ちゃんと訳がある。僕自身、何度も時間帯を変えて走ってみて、「やっぱり朝だな」と確信しているポイントがこれ。
- 標高が高く、夏でも朝はひんやりしていて散歩が本当に気持ちいい
- 湖面がまだ静かで、風が弱い日は逆さ富士を狙えるチャンスがぐっと上がる
- 早朝〜午前中は観光客も少なく、駐車場も比較的空いていて、写真も撮りやすい
一日の最初に「うわ、来てよかった」と素直に思える景色を見ておくと、その後のドライブ全体が一段階明るくなる。だから僕は、山中湖スタートを推し続けている。
車で行きやすいビュースポット(例)
ここでは、「初めてでも迷いにくくて、ちゃんと富士山がドーンと見える場所」を2つだけ紹介しておく。どちらも僕が人を案内するときによく使う、頼れる定番だ。
- 長池親水公園:湖越しに真正面の富士山を望める鉄板スポット。駐車場・トイレありで、朝いちばんに立ち寄るのにちょうどいい。「富士山、でかっ」と声が出るのはだいたいここ。
- 旭日丘湖畔緑地公園:湖畔の遊歩道から、富士山と湖を横長のパノラマで眺められるエリア。少し歩きながら、角度によって変わる富士の表情を楽しめる。
富士五湖エリア全体の観光案内でも、山中湖は「ドライブやサイクリングで富士山を身近に感じられる湖」として紹介されているけれど、それを実感するのにいちばん手っ取り早いのが、この2スポットだと思っている。
運転初心者が気をつけたいポイント
山中湖の周りは走りやすいとはいえ、油断は禁物。ガイドとして人を乗せて走るとき、僕がいつも意識している点を書いておくね。
- 冬〜早春は路面凍結に注意(特に早朝・深夜)。スタッドレスタイヤはほぼ必須、スピードは控えめに。
- 湖畔の道は見通しが良い区間が多いけれど、歩行者や自転車、ランナーもいる。景色に見とれて「ながら運転」にならないように。
- 駐車場から撮影ポイントまで、歩道が狭い場所もあるので、子ども連れは必ず手をつないで歩きたい。写真を撮る前に、安全確認をするクセをつけておくと安心だ。
山中湖の朝は、「今日のドライブ、いい一日になりそうだな」と直感できるスタートライン。ここで気持ちよくウォーミングアップしてから、次の河口湖へ向かっていこう。
〈午前〜昼〉河口湖へ移動|絶景展望台と湖畔カフェで“心の休憩時間”
山中湖から国道を西へ走っていくと、富士山の向きが少しずつ変わっていきます。「あ、さっきよりちょっと横顔だな」と感じ始めたあたりで、視界の先に湖と街並みが広がってくる。そこが河口湖です。
この文章を書きながらも、僕はあの瞬間の感覚を思い出してちょっとワクワクしているくらいで、「さあ、ここからが今日のドライブの“メインステージ”だぞ」という気分になります。
小さな湖畔カフェで、コーヒーを一口。窓の向こうに富士がいるだけで、いつもの苦味が、なぜか少しだけ優しく感じられる。
ガイドとして何度も人を連れてきましたが、この時間帯の河口湖で「ここ、住める」と本気で言う人を何人も見てきました。
河口湖の定番ビュースポット
河口湖は「どこからでも富士山が見える」ようでいて、実は角度や距離感で印象がガラッと変わる湖です。ここでは、僕が案内のたびにほぼ必ず候補に入れる、鉄板スポットを2つだけ挙げておきます。
- 大石公園(北岸):季節の花と富士山を一緒に撮れる人気スポット。春〜夏は花の道がフォトジェニックで、「ここだけで一冊フォトブック作れるんじゃない?」というくらい写真が増える場所です。
- 河口湖大橋周辺:橋のたもと付近に駐車スペースがあり、湖と富士山をワイドに眺められるエリア。車を降りて橋の上から振り返ると、「これぞ富士五湖の王道ビュー」と言いたくなる景色が待っています。
海外向けの旅行サイトでも、河口湖は「富士五湖観光のハブ」として紹介されていますが、実際に歩いてみるとその意味がよくわかります。宿もカフェもアクティビティも、ここにぎゅっと集まっているんです。
富士山がよく見える湖畔カフェの選び方
河口湖周辺のカフェは入れ替わりもあるので、あえて店名は固定しません。その代わり、僕がいつもやっている「ハズしにくい選び方」を共有しておきます。
- 「Lake」「View」「Terrace」などのワードが店名に入っているかどうか(眺めを売りにしているサインになりやすい)
- Googleマップや観光サイトで、店内からの写真を必ずチェックする(窓の大きさと席の配置は超重要)
- 駐車場の有無と台数。人気店は回転も早いですが、満車リスクも高いので要チェックです。
- 子連れOKか、テラス席はペット可かなど、自分たちの旅のスタイルに合っているかどうか。
富士河口湖町観光連盟のサイトでは、カフェやレストランをジャンル別に検索できるので、事前に「ここに入れたらうれしい店」を1〜2軒だけメモしておくと、当日の余裕がまったく違います。
ランチは「詰め込みすぎない」ほうがいい
河口湖周辺には、ほうとう・吉田のうどん・イタリアン・ベーカリー…と、魅力的な店が本当にたくさんあります。書いているだけでお腹が空いてくるくらいです。
ただ、ここで「あそこも行きたい、ここも行きたい」と食べ歩きモードになってしまうと、このあと向かう西湖・精進湖・本栖湖で過ごす時間がどんどん削られてしまいます。僕自身も、最初の頃は欲張って失敗したタイプです。
おすすめのバランスは、シンプルにこれくらい。
- ビュースポット:1〜2か所
- カフェ or ランチ:1軒
「全部を見る」より、「ちゃんと味わう」を優先する。
これを意識するだけで、夕方の帰り道に「ああ、今日はいい一日だったな」という満足感が一段違ってきます。ガイドとして何度も周遊してきた実感として、ここは自信を持って言えるところです。
〈午後前半〉西湖〜パワースポット巡り|西湖いやしの里と静かな神社へ
河口湖から西へ車を走らせていくと、コンビニやお店の数が少しずつ減っていきます。代わりに、窓の外はどんどん「緑の面積」が増えていく。この空気がふっと切り替わる感じが、僕はたまらなく好きで、「よし、ここからが午後のハイライトだな」と毎回ちょっとテンションが上がります。
その先にあるのが西湖のエリア。にぎやかな河口湖から、半日だけ静かな場所に避難するような感覚です。
いわゆる“パワースポット”と呼ばれる神社で、無理に願いごとをしなくてもいい。ただ、深呼吸をひとつしてみる。それだけで、肩に乗っていた重さが少し軽くなる――そんな場所が、このあたりにはさりげなく点在しています。
西湖いやしの里 根場で“昔の富士山の暮らし”に触れる
西湖の北西岸にある「西湖いやしの里 根場」は、僕が人を案内するときに「午後の時間をゆっくり使いたいなら、ここは入れよう」とよく提案する場所です。茅葺き屋根の家が並ぶ集落が再現されていて、昔の富士山麓の暮らしの空気をまるごと体験できます。
- 集落越しに富士山を望めるビューポイントがいくつもあって、晴れた日は「ポストカードみたいな一枚」が簡単に撮れる
- 陶芸や和紙などの手仕事体験ができる工房や、ちょっと一息つけるカフェも入っていて、気づくと1〜2時間平気で過ぎている
- 駐車場・トイレ完備で、子ども連れや三世代旅行でも動きやすい
取材で初めて来たとき、「ここは仕事じゃなくてプライベートでも絶対にまた来よう」と思ったのを今でも覚えています。観光っぽさもありつつ、どこか実家のような安心感があるのが、いやしの里の不思議な魅力です。
西湖周辺の“静かなパワースポット”
西湖やその周辺には、ガイドブックの大きな見出しには載らないけれど、雰囲気のいい神社や小さな社が点々としています。正直、あまり有名になってほしくないくらいですが(笑)、せっかくなので楽しみ方のヒントだけ共有しておきます。
- 森の中の小さな社を見つけたら、数分だけでいいのでエンジン音から離れて静かに立ってみる
- 鳥の声や風が木を揺らす音に耳を澄ませて、「音の少なさ」を楽しんでみる
- まずは写真を撮らずに、ただ「ここにいるなあ」と感じる時間を30秒だけつくってみる
こういう場所は、派手な鳥居や大きな御朱印があるわけではありません。それでも、「なんだかここ、落ち着くな」「もう少しここにいたいな」と感じるなら、そこはもう立派にあなたのパワースポットです。
西湖の午後は、午前中のテンションを少し落として、心のギアを一段ゆるめる時間帯。ここでちゃんとペースを落としておくと、後半の精進湖・本栖湖が、ぐっと味わい深く感じられます。書いていて、僕自身またすぐ走りに行きたくなってきました。
〈午後後半〉精進湖・本栖湖でクライマックス|子抱き富士と千円札の景色を車で見に行く
西湖からさらに西へ車を走らせていくと、森の隙間からふいに小さな湖が顔を出します。「あ、出てきた」と毎回ちょっと声が出そうになる、その場所が精進湖です。その少し先には、水の色がガラッと変わる本栖湖が待っていて、この流れが僕の中では完全に「今日のクライマックス担当」です。
ここまで読んでくれた方には正直に言いますが、このパートを書いている今も、「あの時間帯にまた行きたいな」と思い出しながらニヤニヤしています。
絶景展望台から見下ろす富士は、ただの景色じゃない。これまでの迷いや、これからの一歩をそっと肯定してくれる、巨大な鏡だ。
ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、精進湖〜本栖湖の夕方は、それくらい心に残る“締め”になることが多いんです。
精進湖で「子抱き富士」を見る
精進湖の湖畔からは、富士山の手前に小さな山(大室山)が重なって見えます。この組み合わせが、まるで母親が子どもを抱いているように見えることから、「子抱き富士」と呼ばれています。
- 湖畔には小さな駐車スペースが点在していて、車を停めてすぐ撮影できるポイントも多い
- 特におすすめなのは夕方の斜光線の時間帯。山肌に陰影がくっきり出て、写真を撮るのが楽しくなる光です
初めて子抱き富士を見たとき、僕は「富士山って、こんな表情も持っていたのか」とちょっと衝撃を受けました。同じ富士山でも、角度ひとつでここまで印象が変わる。その“ひと味違う富士”に出会えるのが、精進湖の面白さです。
本栖湖で「千円札の裏」の景色に出会う
精進湖からさらに西へ数キロ進むと、今度は水の色がぐっと深くなる本栖湖に到着します。ここに来るたびに、「ああ、今日のドライブもここまで来たな」とテンションと満足感が同時に上がります。
本栖湖の北岸付近には、千円札の裏に描かれた富士山のモデルになったビューが見られるポイントがあります。「あ、これ、財布の中で毎日見てた風景だ」と気づいた瞬間、ちょっとした達成感があるんですよね。
- 湖と富士山がきれいに重なって見える高台のビューポイント
- 湖畔キャンプ場周辺から、静かな水面越しに富士山を眺められるスポット
夕方〜日没前の時間帯は、空の色が刻々と変わり、そのグラデーションが湖面にも映り込みます。天気と時間帯がばっちりハマったとき、「あ、今日のベストショットはここで決まりだな」と思える瞬間がやってきます。書きながら、またカメラを持って行きたくなってきました。
日没後〜帰路の運転で気をつけたいこと
クライマックスでテンションが上がる時間帯だからこそ、安全面もしっかり意識しておきたいところです。ガイドとして人を乗せて走るとき、僕が必ず気をつけているポイントをまとめます。
- 精進湖〜本栖湖周辺は、街灯が少ない区間が多いので、少し早めのライトオンを心がける
- シカなどの野生動物が道路に出てくることがあるので、夕方以降は特にスピード控えめで
- 疲れを感じたら、「まだ行ける」と無理をせず、道の駅やコンビニで短い休憩を挟む
精進湖と本栖湖は、今日一日の締めくくりにふさわしい「ごほうびパート」です。安全運転でしっかり味わって、心地いい余韻をそのまま家まで持ち帰りましょう。
立ち寄りたい温泉・道の駅|富士五湖ドライブの締めくくりに
湖と富士山をたっぷり追いかけた1日の終盤で、僕がいつもワクワクするのがここからです。そう、「じゃあ最後どこ寄って帰ろうか?」タイム。この一言で、旅の終わりが一気にごほうびモードに変わります。
富士五湖エリアの温泉の特徴
富士五湖観光連盟の案内を見ると、このエリアには富士山を眺めながら入れる温泉や、湖のすぐ近くにある日帰り温泉施設が点在していることがわかります。実際に何度も入ってきた立場から言うと、「最後に温泉を1本差し込むだけで、旅の満足度が一段上がる」のはほぼ間違いないです。
- 河口湖畔の富士山ビュー温泉:露天風呂からドーンと富士山。夕方〜夜の時間帯は、空の色の変化も楽しめるので、締めにぴったり。
- 山中湖周辺の日帰り温泉施設:首都圏方面へ戻る前にひと風呂浴びる「最後の寄り道」として使いやすい立地。
- 本栖湖帰りに寄れる温泉(身延方面など):ドライブ距離は少し伸びますが、「温泉+ご当地グルメ」でしっかり締めたい人にはおすすめの流れです。
ハンドルを握りっぱなしだった身体をお湯に預けると、足や肩の疲れだけじゃなくて、一日中浴びた景色や情報の「いい意味での疲労感」まで、ふわっと溶けていく感じがします。ここまで書いていて、僕も今すぐタオルを持って出かけたくなってきました。
道の駅でローカル土産をひとつ
もうひとつ、忘れたくない締めくくりが道の駅です。富士五湖周辺の道の駅は、ただの休憩所ではなく、「今日一日の思い出を形にして持ち帰る場所」としてかなり優秀です。
- ほうとう、吉田のうどん、地元の野菜やフルーツ
- 富士山モチーフのお菓子や雑貨、マグカップや手ぬぐいなどの小物
個人的なおすすめは、スーツケースにドンと場所を取るような大物ではなく、家でふっと使うたびに「そうだ、あの日の富士五湖だ」と思い出せる小さな土産です。マグカップ一つ、キーホルダー一つでも、日常に戻ったあと何度も旅の記憶を呼び戻してくれます。
旅は、全部を手に入れようとすると逆に重くなります。「また来よう」と思える余白を少し残しておくくらいがちょうどいい。温泉か道の駅、あるいはその両方で、あなたなりの“締めのひとコマ”を見つけてみてください。
運転初心者・子連れでも安心な富士五湖ドライブのコツ
ここからは、僕がガイドとして何度も「初めて富士五湖を走る人」や「子連れファミリー」を案内してきた中で、本当に役に立ったコツだけをぎゅっとまとめていきます。
正直に言うと、このパートを書くのがけっこう好きなんです。ちょっとした工夫を知っているだけで、ドライブの不安がスッと減って、景色を楽しむ余裕がぐっと増えるのを何度も見てきたから。
駐車場が広いスポットを中心に選ぶ
運転にまだあまり自信がないときは、ルート選びの段階で「駐車のしやすさ」を最優先にすると、当日のストレスが本当に違ってきます。
まず狙いたいのは、この2タイプです。
- 大型車も多く出入りする道の駅や大きな公園
- 観光施設併設の広い平面駐車場(立体じゃないところ)
こういう場所は、車線も駐車スペースも広めに取ってあることが多く、バックでの出し入れも落ち着いてできます。富士五湖の公式観光サイトには、主要スポットごとの駐車場情報が載っているので、事前に「ここなら停めやすそうだな」という候補をいくつかピックアップしておくと安心です。
僕自身、人を乗せて走るときは、まず「景色」より先に「安全に停められるか」をチェックします。これだけで、同乗者の安心感もガラッと変わりますよ。
トイレ・コンビニ・ガソリンスタンドの把握
とくに子連れドライブでは、トイレと補給ポイントの把握がかなり重要です。ここを押さえておくだけで、道中の「ちょっと不安」がかなり減ります。
ざっくり言うと、
- 山中湖・河口湖周辺:コンビニやガソリンスタンドが比較的豊富で、トイレも確保しやすいゾーン
- 西湖〜精進湖〜本栖湖:コンビニの間隔が少し広くなるゾーン
そのうえで、出発前にこんなひと手間をかけておくと安心です。
- 富士河口湖町観光サイトのマップやパンフレットで、「このあたりにトイレ・コンビニ・GSがあるな」とざっくり位置を頭に入れておく
- ガソリンはメーターが半分を切ったら給油するルールにしておく(「ギリギリまで粘る」はやらない)
たったこれだけでも、「この先ガソリンあるかな…」「子どもが急にトイレと言ったらどうしよう」という不安がかなり軽くなります。ガイドとしても、ここを押さえているかどうかで安心感がまったく違います。
季節別の服装と装備
富士五湖エリアは標高が高いので、都心の感覚で服装を決めるとだいたい寒いです(笑)。季節ごとに、これだけは押さえておきたいポイントを整理しておきます。
- 春・秋:都心より気温が数度低いことが多いので、薄手でもいいので羽織れるものを1枚。朝晩と日中の寒暖差もあるので、脱ぎ着しやすい服装がおすすめです。
- 夏:日差しがかなり強いです。湖畔散策用に帽子・日焼け止め・飲み物はほぼ必須。車の中は涼しくても、外に出ると「意外と暑い…」となります。
- 冬:気温がぐっと下がり、風も冷たい季節。湖畔は体感温度がさらに下がるので、コート・マフラー・手袋など、街中よりワンランク上の防寒をイメージしてください。
雪や路面凍結が心配な時期は、
- スタッドレスタイヤ or チェーン
- スクレーパー(フロントガラスの凍結対策)
- 予備の手袋・靴下
なども準備しておくと安心です。「ちょっと準備しすぎかな?」くらいが、山の麓ではちょうどいい。そう思って、僕もいつもトランクに少し多めの装備を積んでいます。
こうした小さな工夫をしておくと、「運転、大丈夫かな…」という不安より、「早く富士五湖を走りたい!」というワクワクのほうが自然と大きくなってきます。この記事を読み終わるころには、あなたの頭の中にも、もうひとつの富士五湖ドライブマップができあがっているはずです。
モデルコースタイムテーブル例|実際の1日の流れをシミュレーション
ここまで読んでくれたあなたと、「じゃあ実際どんな1日になるの?」を一緒に組み立てる時間です。ここからが、僕が書いていていちばん楽しいパート。「富士五湖 ドライブ コース 日帰り」の1日を、ほぼリアルなスケジュールとして並べてみました。
- 08:30 山中湖エリア到着
- 長池親水公園などで、朝の湖畔散歩&写真タイム。車を降りて最初に見る富士山がここだと、「よし、今日は当たりの日だ」といきなりテンションが上がります。
- 10:00 河口湖方面へ移動
- 途中の展望ポイントで車を停めて、富士山を横目にドライブ。道中も景色がどんどん変わるので、「移動時間」もちゃんと楽しい区間です。
- 10:30 河口湖着
- 大石公園や河口湖大橋周辺で、絶景をのんびり堪能。「あ、これポストカードにできるやつだ」と思うカットが、ほぼ確実に1枚は撮れます。
- 12:00 湖畔カフェでランチ
- 窓の外に富士山を眺めながら、コーヒーと軽食でひと休み。ここで「もう今日、半分くらい満足したかも」と言い出す人が毎回います(笑)。
- 13:30 西湖へ移動
- 西湖いやしの里 根場で散策&昔の暮らしに触れる体験。午後のゆるい時間帯に、歩いて・見て・触って、テンションを少し落ち着かせるパートです。
- 15:30 精進湖
- 子抱き富士のビューポイントで、午後の穏やかな光を浴びる。「あ、さっきまでと富士山の表情が全然違う」と実感しやすいのがここ。
- 16:30 本栖湖
- 千円札の景色ポイントで、夕暮れの富士山をじっくり鑑賞。財布の中の風景と目の前の景色がリンクした瞬間、ちょっとした達成感があります。
- 18:00 温泉 or 道の駅
- ひと風呂浴びてから、高速道路に乗って帰路へ。湯上がりに「またこのコースで来たいね」と話せていたら、その日は大成功です。
もちろん、これはあくまで「僕がよく使う型」の一例です。
「西湖が気に入ったから、今日はここで長居しよう」「本栖湖は天気のいい日にまた来よう」――そんなふうに、その日の天気や気分に合わせて「削る勇気」を持てると、旅は一気に心地よくなります。
このタイムテーブルを、そのままなぞってもいいし、自分なりにカスタマイズしてもいい。この記事を読みながら、「ここは絶対入れたい」「ここは次回のお楽しみにしよう」とペンを走らせているあなたを想像しつつ、僕もワクワクしながらこの1日を組んでいます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 富士五湖を一周ドライブするのに、何時間くらいかかりますか?
A. 「ぐるっと一周って、どれくらい見ておけばいいの?」とよく聞かれます。主要な湖畔道路をサーッと回るだけなら、移動時間は約1.5〜2時間程度です。
ただ、僕はそれを全力でおすすめしません。せっかくなら各湖で車を降りて、写真を撮ったり、散歩したり、カフェや温泉にも寄りたいところ。日帰りでしっかり楽しむなら、丸一日(8〜10時間)見ておくと、かなりゆったり走れます。
「あそこも寄りたかったのに時間切れだ…」より、「今日はここまででちょうどいいね」と言えるほうが、旅の満足度は確実に高いです。
Q2. 日帰りと1泊2日、どちらがおすすめですか?
A. 首都圏からのドライブなら、もちろん日帰りでも十分楽しめるようにこの記事は組んでいます。この記事のモデルコース通りでも、「あ、今日はいい一日だったな」と思えるはずです。
ただ、僕の本音を言うと、
- 夕焼け〜星空〜朝焼けまで富士山を見てみたい
- カヌー・ハイキング・遊園地・美術館など、アクティビティも盛り込みたい
という人は、迷わず1泊2日以上を選んでほしいです。公的な観光ルートでも、富士五湖エリアにじっくり2〜3日滞在する行程が紹介されていて、「一度ハマると通いたくなるエリア」というのは本当にそうだなと感じます。
まずはこの記事のプランで日帰り。そのあと、気に入った湖を拠点にして、ゆっくり泊まりで…という流れも最高です。
Q3. 雨の日でも楽しめるスポットはありますか?
A. あります。というか、僕は「雨の富士五湖」もけっこう好きです。
各湖の周辺には、
- 美術館・博物館・資料館
- 日帰り温泉
- クラフトや手仕事の工房体験
など、屋内で過ごせる施設がしっかりそろっています。富士五湖観光連盟の公式サイトでも、「観る」「学ぶ」カテゴリーから雨の日向きのスポットを探せるので、天気予報が怪しいときは、あらかじめ「晴れプラン」と「雨プラン」をざっくり用意しておくと安心です。
雨の日は視界が少し狭くなる分、温泉やカフェ、室内の展示にじっくり向き合えるので、実はけっこう「大人の富士五湖」になるんですよね。
Q4. 冬のドライブで気をつけるポイントは?
A. 冬の富士五湖ドライブは、景色は最高ですが、路面凍結・積雪のリスクがついてきます。ここは慎重にいきたいところです。
最低限意識してほしいのは、
- スタッドレスタイヤ or チェーンを必ず用意する
- 防寒具をしっかり準備(特に湖畔は風で体感温度が下がります)
- 日没前に山間部を抜ける行程を組む(暗くなる前に下り終えるイメージ)
そして、出発前には必ず最新の道路情報・気象情報をチェックしてください。僕も冬に案内するときは、「景色のよさ」と同じくらい「安全に帰れるか」を大事にして計画します。
Q5. 運転に自信がない場合、どの湖をメインにすればいいですか?
A. 「いきなり全部は不安…」という方には、河口湖+山中湖の組み合わせをおすすめしています。
理由はシンプルで、
- 観光案内所やバス路線が充実している(万が一、車を停めて公共交通に切り替える選択肢もある)
- コンビニ・飲食店・トイレ・ガソリンスタンドが比較的多く、初心者にもやさしい
- それでもしっかり「富士山と湖」の王道ビューを楽しめる
まずはこの2つの湖で「富士五湖ドライブってこんな感じなんだ」という感覚をつかんでから、次の旅で西湖・精進湖・本栖湖にチャレンジする。そんなステップアップも、じつはすごくいいルートだと思っています。
参考情報・公的ソース一覧
今回のモデルコースは、僕の現地経験だけでなく、ちゃんと「公式の数字と地図」も踏まえて組み立てています。実際にルートを考えるときにガッツリ見にいったサイトを、そのまま共有しておきますね。この記事を読み終わったあと、自分でさらに深掘りしたくなったときの“地図帳”として使ってもらえたら嬉しいです。
-
一般社団法人 富士五湖観光連盟「富士五湖ぐるっとつながるガイド/観光施設・体験・交通情報」
https://www.mt-fuji.gr.jp/
└ 富士五湖エリア全体の「公式ハブ」。観光施設・体験・交通情報をここで押さえてから、現地で自分なりのコースに微調整していくのが僕の定番パターンです。 -
富士河口湖町観光連盟「Fujikawaguchiko Town Tourism Information Site」
https://fujisan.ne.jp/en/
└ 河口湖エリアの“現場感”をつかみたいときに必ず見るサイト。イベント情報やカフェ・宿の情報も細かく載っていて、「次はここも入れたいな」と妄想が止まらなくなります。 -
山梨県公式観光サイト(富士五湖周辺観光・モデルコース)
https://www.yamanashi-kankou.jp/
└ 県公式ならではの安心感と情報量。季節ごとの特集やモデルコースをチェックしながら、「公式の王道」と「僕なりのアレンジ」を組み合わせて今回のルートを作りました。 -
日本政府観光局(JNTO)「Explore the Fuji Five Lakes | Itineraries」
https://www.japan.travel/en/itineraries/fuji-five-lakes-itinerary/
└ 海外目線で見た富士五湖の「魅せ方」が分かる行程。国内向けの記事を書きながらも、「世界の旅人はここをこう見るのか」とワクワクしながら参考にしています。 -
Fuji Five Lakes Tourist information、モデルコース・タクシーツアー各種
https://www.fujiq-taxi.jp/en/plan/info.php?no=32
└ タクシーツアーの行程は、「プロが実際に連れて行っているルート」がそのまま形になっているので、ドライブコースを考えるうえでもすごく参考になります。距離感や時間配分を見るのに最適です。 -
Mt. Fuji and The Fuji Five Lakes Area(Fujigoko Tourism Association pamphlet)
https://www.mt-fuji.gr.jp/cms_mt-fuji/pdf/area-guide-2015_english.pdf
└ 英語版パンフレットですが、地図や写真がとても分かりやすく、「富士五湖全体をどう回るか」をイメージするのにぴったり。僕もプランニングのときに何度も開いてニヤニヤしていました。
※営業時間・料金・道路状況などは、季節や社会情勢によって変わることがあります。実際にお出かけの際は、こちらで紹介した公式サイトや各施設・自治体・交通機関のページから、最新情報をチェックしてからプランを立ててくださいね。「準備もしっかり楽しむ」のが、富士五湖ドライブを満喫するコツです。


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