富士山グランピングは、絶景だけでなく「眺望・水回り・雨天対応・アクセス・同行者」の5条件で選ぶと失敗しにくくなります。
河口湖・山中湖を中心とする富士山麓では、富士山を正面に望むドームテントから、客室風呂やプライベートサウナを備えた高規格施設、キャンプらしさを残したコテージまで選択肢が広がっています。
ただし、同じ「富士山が見えるグランピング」でも、客室から見えるのか、共有スペースから見えるだけなのか、水回りが室内にあるのかで滞在の快適さは大きく違います。この記事では2026年9月時点で確認できる公式情報を軸に、エリアの違い、代表施設、失敗しない選び方まで整理します。
富士山を眺めながら過ごせるグランピングは、施設によって景色も過ごし方もかなり違います。
「どこを選べばいい?」と迷ったら、富士山周辺のグランピング選びをまとめた記事を先に見ておくとイメージしやすいです。
富士山グランピングはなぜ人気?魅力は「見る旅」から「過ごす旅」へ変わること
富士山グランピングの大きな魅力は、ホテルのような快適さを確保しながら、朝から夜まで富士山麓の自然の中で過ごせることです。
展望台から数十分だけ富士山を見る観光とは違い、食事をし、火を囲み、眠り、翌朝また山を見る。その「時間の長さ」が、普通の富士山観光との最大の違いだと僕は考えています。
富士山を朝・昼・夕方まで眺められる
富士山は一日の中でも驚くほど表情を変えます。
朝は輪郭がはっきり見えていたのに、昼になると雲が湧き、夕方には山頂だけが姿を現す。夜になれば山そのものは黒い巨大な影となり、その上に星空が広がります。
グランピングでは、この変化を「観光の途中で見る」のではなく、滞在そのものとして味わえます。
僕が富士山を見続けてきて感じるのは、富士の魅力は完璧な快晴の日だけにあるわけではないということです。
霧に隠れる富士は、人の心の迷いに似ています。
さっきまで何も見えなかったのに、風が一本通っただけで山頂が現れる。その瞬間を自分の部屋やテラスから待てることも、富士山グランピングならではのぜいたくです。
2026年は「客室完結型」が大きな選択肢になっている
以前のグランピングは、「豪華なテントにベッドがある」というイメージが中心でした。
しかし現在の富士山周辺では、客室専用の風呂、サウナ、トイレ、食事スペースまで備え、チェックイン後の大部分を自分たちの区画内で過ごせる施設が増えています。
たとえば「VISION GLAMPING Resort & Spa 山中湖」は全室富士山ビューを掲げ、各客室に露天風呂とプライベートサウナを用意しています。露天風呂は天然温泉ではなく人工温泉で、水風呂には富士山麓の地下水が使われています。全天候型ダイニングも冷暖房完備です。ビジョン グランピングリゾート 山中湖+2ビジョン グランピングリゾート 山中湖+2
ここは以前の記事で混同しやすかったポイントです。
「露天風呂がある」ことと「天然温泉である」ことは同じではありません。施設選びでは、雰囲気だけでなく天然温泉・人工温泉・鉱泉・一般浴槽の違いまで確認することが、情報の精度を高めます。
一方、「グランピングB&V富士山河口湖」は2025年12月11日にグランドオープンした比較的新しい施設です。
全23棟すべてを富士山ビューとして案内し、高濃度バナジウム鉱泉を配湯した客室風呂や、全棟に設けたサウナを特徴としています。ただし団体向け10mツインドームは客室風呂ではなくシャワールームとなるため、「全棟同じ設備」と思い込まない方が安全です。リゾグラ
設備名だけを見るのではなく、自分が予約する客室タイプに何が付くかを見る。
これは2026年の富士山グランピング選びで、特に重要な視点です。
東京圏から比較的アクセスしやすいことも強み
富士北麓のグランピングが人気を集める理由には、自然の深さに対して都市部からの距離が比較的近いこともあります。
施設によっては東京方面から車で約90〜100分程度を目安として案内しています。
ただし、これは渋滞のない条件などを前提とした目安です。
中央自動車道や富士五湖周辺は、週末、連休、行楽期に所要時間が大きく延びることがあります。「東京から90分」と書かれていても、到着時刻を90分前提で組まない方が安心です。
この点は、グランピングではホテル以上に重要です。
夕食のBBQ、サウナ、焚き火などを到着日に楽しむなら、1〜2時間遅れるだけで「せっかく設備があるのに使う時間がない」ということが起こります。
僕なら、富士山グランピングでは移動時間ではなく、日没前にどれだけ滞在時間を残せるかで出発時刻を決めます。
富士山グランピングはどこがいい?河口湖・山中湖・富士吉田周辺を比較
「富士山 グランピング」と検索すると数多くの施設が出てきますが、最初に施設名を比べるより、エリアを決めた方が選びやすくなります。
河口湖、山中湖、富士吉田周辺では、同じ富士北麓でも旅の組み立て方が違います。
エリア 向いている人 選ぶときのポイント
河口湖周辺 初めての富士山旅行、観光もしたい人 施設タイプが豊富。駅から離れた施設もある
山中湖周辺 富士山ビュー、静けさ、プライベート感重視 高規格ヴィラや客室完結型を探しやすい
富士吉田周辺 富士山の迫力と北麓らしさを味わいたい人 市街地観光と自然体験を組み合わせやすい
富士ヶ嶺・西麓側 車移動で自然に深く入りたい人 河口湖という名称でも駅から遠い場合がある
河口湖は「選択肢の多さ」が強い
初めて富士山周辺でグランピングをするなら、河口湖エリアは比較しやすい場所です。
ドームテント、コテージ、ヴィラ、高級リゾートまで宿泊スタイルに幅があり、河口湖観光や周辺レジャーとも組み合わせやすいからです。
象徴的な存在が「星のや富士」です。
星野リゾートは星のや富士を「日本初のグランピングリゾート」と案内しており、約6haの森の中でクラウドテラスやキャビン滞在を楽しむスタイルを築いてきました。客室はテントではなくキャビン型で、一般的なドームグランピングとはかなり性格が異なります。星野リゾート+1
つまり、「グランピング=丸いドームテント」ではありません。
自然の中でどう過ごすかまで含めて宿泊体験を設計している施設も、現在ではグランピングという大きなカテゴリーに含まれています。
河口湖周辺で注意したいのは、施設名に「河口湖」が入っていても、河口湖駅の近くとは限らないことです。
たとえばグランピングB&V富士山河口湖の所在地は富士河口湖町富士ヶ嶺で、公式案内では河口湖ICから車で約30分とされています。リゾグラ
「河口湖だから電車と徒歩で簡単に行けるだろう」と決めつけず、最後の数キロの移動手段まで確認してください。
山中湖は「富士山ビュー+プライベート性」が探しやすい
山中湖周辺は、富士山を眺めながら一棟・一室単位で静かに過ごしたい人と相性のよいエリアです。
「LE NIDO-ル・ニド」は全3室で、公式サイトではすべての客室から富士山を望めると案内されています。
2室のプライベートビューテラスと1室のプレミアムビューテラスで構成され、全室にシャワー、トイレ、エアコンを備えています。個別の食事スペースは全天候型で、雨の日もBBQを楽しめる設計です。富士山絶景グランピングLENIDO山中湖
VISION GLAMPING Resort & Spa 山中湖も、すべてのドームテントの窓を富士山の方向へ配置し、ダイニングや焚き火スペースからも富士山を望めることを特徴としています。
ただし公式サイトは「お風呂からは富士山を望めない」と明記しています。ビジョン グランピングリゾート 山中湖
この一文は非常に重要です。
「富士山ビューの宿」「露天風呂付き」という二つの情報が並ぶと、僕たちは無意識に「露天風呂から富士山が見える」と想像してしまいます。
しかし実際にはそうとは限りません。
どこから富士山が見えるのかを、客室・ベッド・テラス・風呂・食事場所に分解して確認する。
これだけで、予約後の「思っていた景色と違った」はかなり防げます。
富士吉田周辺は「山との距離感」を楽しみたい人向き
富士吉田側は、富士山北麓の街と山が日常的につながって見える場所です。
河口湖や山中湖のように「湖越しの富士」を主役にするだけでなく、市街地、森林、裾野から立ち上がる大きな山体を感じやすいのが魅力です。
僕は富士山周辺の宿を考えるとき、単純な「見える・見えない」より、富士山が景色の中でどれくらいの大きさを占めるかを意識します。
湖越しに見る端正な富士。
麓から見上げる圧倒的な富士。
森の向こうから突然現れる富士。
同じ山ですが、旅の記憶はかなり違います。

富士山グランピングで失敗しない選び方は?「滞在導線」を確認する
施設写真だけを比べると、どこも魅力的に見えます。
しかし宿泊後の満足度を左右するのは、設備の数より部屋から設備までの「滞在導線」です。
僕なら、予約前に次の10項目を確認します。
- 自分が予約する客室から富士山が見えるか
- ベッドに座った状態でも富士山が見えるか
- トイレは客室内か、屋外の共用設備か
- シャワー・風呂まで屋外を歩く必要があるか
- 雨の日も食事できるか
- 冷暖房があるか
- サウナや風呂は専用か共用か
- 車なしでもアクセスしやすいか
- ペット可能な「施設」ではなく「客室」か
- チェックイン後、日没まで何時間残るか
初心者・子連れは「室内完結度」を見る
初めてグランピングをする人や、小さな子どもと旅行する人には、僕は豪華さよりも室内完結度を見ることをおすすめします。
室内完結度とは、寝る・トイレ・入浴・着替え・食事までを、どの程度雨風にさらされず行えるかという考え方です。
たとえばPICA Fujiyamaのアメージングドームは、直径7m、約38㎡のドームと広いテラスを備え、冷暖房も用意されています。
一方、シャワーはセンターハウス内の無料シャワーを利用する方式です。つまり、ドーム内ですべてが完結するタイプではありません。PICAリゾートサイト+1
これは欠点という意味ではありません。
むしろ、「ホテル寄りの快適さ」ではなく「自然の中へ出入りするキャンプ感」を求める人には魅力になります。
大切なのは、自分がどちらを期待しているかです。
一方、LE NIDOはドーム内にシャワーとトイレを備えています。
VISION GLAMPING Resort & Spa 山中湖は、露天風呂、サウナ、水風呂、トイレ、全天候型ダイニングを客室区画内にまとめています。
同じ「ドームテント」でも、夜中にコートを着てトイレへ行く施設と、室内の延長で移動できる施設では、冬の体感はまったく違います。
雨の日を想像すると施設の実力が見える
グランピング選びで僕がよく見るのが、「雨の日の午後をどう過ごせるか」です。
快晴の写真だけを見れば、どんな施設でも魅力的に映ります。
しかし富士山麓では、天候が変わることがあります。雨で富士山が見えず、焚き火もできない時間に、その施設がどれだけ楽しめるかが滞在の底力になります。
LE NIDOは個別の全天候型食事スペースに加え、室内用のボードゲームやプロジェクターを用意しています。
VISION GLAMPING Resort & Spa 山中湖も、BBQを行うダイニングは屋内で冷暖房付きです。雨天時でも風呂やサウナを利用できると案内されていますが、屋根のない焚き火は雨天時には利用が難しくなります。ビジョン グランピングリゾート 山中湖
「雨でも楽しめます」という一言ではなく、何ができて、何ができなくなるのかまで見ることが重要です。
カップルは設備の数より「二人だけで完結するか」
記念日やカップル旅行なら、設備数を競うより、他の宿泊者と動線が重ならないかを見ると満足度が上がります。
The Villa Glamping 河口湖は全5ブースで、各区画を高い塀で仕切り、100㎡以上のプライベート空間を確保しています。
公式案内では5ブースすべてから富士山を楽しめるとし、専用のシャワー、露天浴槽、BBQ設備、食事スペース、シンク、トイレも用意しています。The Villa Glamping 河口湖・山梨|プライベートグランピング -+1
豪華な共用大浴場があることより、自分たちの場所からほとんど出ずに一晩過ごせることの方が、カップルには価値が高い場合があります。
静かな時間は、設備表には数字で表れません。
グループは「1人料金」ではなく総額を見る
大人数旅行では、一棟貸しや大型ドームが有力になります。
ただし「1人○円〜」という最低価格だけで比べると、実際の支払額との差が出やすくなります。
宿泊料金以外に、食事、BBQ機材、飲料、サウナ、ペット、子ども料金などがどう扱われるかを確認してください。
また、一棟の定員が大きくても、寝室が分かれているかどうかは別問題です。
友人8人で一つの巨大空間に寝るのと、寝室を分けられるヴィラでは快適さが違います。
グループ旅行では「何人泊まれるか」ではなく「何人が無理なく生活できるか」を見るのがコツです。
せっかく富士山の近くまで行くなら、「泊まる場所」そのものも旅の楽しみにしたいところです。
実は富士山周辺には、景色を楽しむ施設、食事を楽しむ施設、プライベート感を重視した施設など、選択肢があります。
何を基準に比べればいいのか、富士山グランピングの特徴と選び方をこちらの記事でまとめました。
候補を探し始める前に、ざっと目を通しておくだけでも選びやすくなります。
2026年の富士山グランピング注目施設は?代表5施設を比較
ここでは2026年9月時点で公式情報を確認しやすい代表施設を中心に整理します。
「おすすめ1位」を決めるのではなく、どんな旅に向いているかで比べた方が実用的です。
グランピングB&V富士山河口湖|富士山ビューとサウナを重視する人
グランピングB&V富士山河口湖は、2025年12月に開業した全23棟の大型グランピングリゾートです。
最大の特徴は、公式に全23棟すべて富士山ビューを掲げていることです。
客室にはサウナを備え、高濃度バナジウム鉱泉を使った客室風呂を特徴としています。4棟のプール付きスイートヴィラ、ドッグラン付きキャビン、大人数向けドームなど客室タイプも幅があります。リゾグラ
一方、10mツインドームは客室風呂ではなくシャワーのみです。
このように、施設全体の紹介文と自分が泊まる客室の設備は分けて確認する必要があります。
所在地は富士河口湖町富士ヶ嶺で、河口湖ICから約30分と案内されています。
「河口湖観光のついでに駅近で泊まる」というより、車で富士山麓へ入り込み、施設内でゆっくり過ごす旅に向くでしょう。
VISION GLAMPING Resort & Spa 山中湖|客室完結型を求める人
VISION GLAMPING Resort & Spa 山中湖は、全室富士山ビューを特徴とする独立型グランピングです。
露天風呂、プライベートサウナ、水風呂、ダイニング、トイレなどをそれぞれの客室区画に備えている点が大きな特徴です。ビジョン グランピングリゾート 山中湖+1
露天風呂は天然温泉ではなく人工温泉です。
水風呂には地下約80mから汲み上げた富士山麓の地下水が使われています。
そして富士山は客室やダイニング、焚き火スペースから望めますが、露天風呂からは富士山を望めないと公式に説明されています。
このような細かな違いまで事前に把握しておけば、現地で「写真のイメージと違った」というズレが起こりにくくなります。
カップル、夫婦、子連れなど、「共用設備まで何度も移動したくない」という人には検討しやすいタイプでしょう。
LE NIDO-ル・ニド|3室だけの静かな富士山グランピング
LE NIDOは山中湖村にある全3室の小規模グランピングです。
公式サイトでは、すべての客室から富士山を望めることを明記しています。
直径8mのドームテントにシャワー、トイレ、エアコンを備え、各客室横に個別の食事スペースがあります。
屋根付きの食事スペースは雨天でもBBQ可能です。
大規模リゾートのように多彩な共用施設を楽しむというより、客室と富士山の間に余計なものを増やさず、少ない棟数で静かに過ごすことに価値を感じる人に向きます。富士山絶景グランピングLENIDO山中湖
PICA Fujiyama|キャンプらしさも残したい人
PICA Fujiyamaは、コテージ、トレーラー、アメージングドーム、テントサイトなど複数のスタイルから選べるアウトドア施設です。
アメージングドームは定員4名・13棟で、直径7m、約38㎡。冷暖房、冷凍冷蔵庫などを備え、テラスにはガスBBQグリルや焚き火台があります。
シャワーはセンターハウスの共用設備を利用します。PICAリゾートサイト
この違いこそ面白いところです。
ホテルに近い快適性を求める人には客室完結型が合いますが、外へ出て共用設備を使うことも含めて「キャンプらしい時間」を楽しみたい人にはPICAのようなスタイルが合います。
グランピングは、快適さを最大化するだけの旅ではありません。
少しだけ自然側へ体を戻す。その加減を選べることも魅力です。
星のや富士|「自然の中で過ごすこと」そのものを目的にする人
星のや富士は、星野リゾートが日本初のグランピングリゾートとして位置づける施設です。
約6haの森にキャビンやクラウドテラスを設け、「豪華なテント」ではなく、富士北麓の自然に滞在時間そのものを溶け込ませる考え方が特徴です。星野リゾート+1
客室は全室レイクビューと案内され、河口湖やその周囲の景観を楽しむスタイルです。
そのため、「ドームテントでサウナを楽しみたい」という人とは目的が違います。
逆に、森、焚き火、食、テラスで過ごす時間まで含めて一つの旅行作品のように味わいたいなら、有力な選択肢です。
現在の富士山グランピングを見ていると、この星のや富士のような「自然滞在型」と、VISIONやB&Vのような「客室設備充実型」の二方向へ市場が広がっているように感じます。
どちらが上という話ではありません。
便利さを自然の中へ持ち込むのか、自然の中へ自分を少し戻すのか。
そこに、施設選びの本当の分岐があります。

富士山グランピングをどう選ぶ?僕の考察と予約前の最終確認
ここからは、富士山を長く見てきた僕自身の考えです。
施設を一つに絞るときは、「総合点が一番高そうな場所」を探すより、絶対に譲れない条件を一つだけ決めることをおすすめします。
富士山を部屋から見たい。
子どもと快適に泊まりたい。
二人だけで静かに過ごしたい。
サウナを何度も楽しみたい。
キャンプらしい火や外気を感じたい。
同じ予算でも、答えはそれぞれ違います。
「富士山ビュー」は4段階に分けて考える
僕なら「富士山が見える」という情報を、次の4段階に分けて考えます。
第一段階は、敷地から見える。
第二段階は、共用スペースから見える。
第三段階は、自分の客室やテラスから見える。
第四段階は、ベッドや食事場所など「長く過ごす位置」から自然に見える。
旅行の満足度に大きく影響するのは、第三段階と第四段階です。
富士山を見るために毎回外へ出る必要があるのか。
カーテンを開ければそこにいるのか。
この差は、数字にすると小さく見えますが、一晩泊まると大きく感じます。
そして、どれほど「全室富士山ビュー」と明記された宿でも、雲まで取り除くことはできません。
山はホテルの設備ではないからです。
僕はむしろ、そこに富士山旅行のおもしろさがあると思っています。
姿を見せるかどうかまで人間の都合には合わせない。
だからこそ、雲の切れ間から山頂が現れた数分間が、何年たっても記憶に残ります。
「温泉」という言葉だけで判断しない
今回あらためて施設情報を見比べると、特に注意したいのが風呂の表現です。
天然温泉、人工温泉、鉱泉、地下水を使う水風呂など、施設によって内容は異なります。
VISION GLAMPING Resort & Spa 山中湖は人工温泉。
グランピングB&V富士山河口湖は自家源泉から引き上げる高濃度バナジウム鉱泉を客室風呂へ配湯するとしています。
「温泉・風呂・サウナがある」という大きなくくりだけでは、本当の違いは見えません。
温浴体験を旅の中心にするなら、この部分こそ公式案内を確認したいところです。
富士山が見えない施設にも意味がある
富士山周辺へ行くのだから、富士山が見える宿に泊まりたい。
そう考えるのは自然なことです。
けれど僕は、「富士山の姿が見えない=富士山を体験していない」とは思いません。
富士山麓には、火山がつくった地形があり、その土地に森が育ち、水が巡ります。
富士山を見る旅と、富士山がつくった環境の中で過ごす旅は、似ているようで少し違います。
小さな子どもなら、窓から山を眺めた時間より、薪を持った感触や、森の匂い、家族で火を囲んだ夜の方を覚えているかもしれません。
施設を選ぶときは「富士山が見えるか」だけでなく、帰宅したあと、何を一番思い出したいかを考えてみてください。
そこから逆算すると、自分に合った宿が見つかりやすくなります。
予約前にはこの5点をもう一度確認する
最後に、予約ボタンを押す前に僕ならもう一度確認します。
1つ目は客室タイプです。
同じ施設でも、風呂の有無、富士山の見え方、ペット可否などが異なる場合があります。
2つ目は移動手段です。
「河口湖」「山中湖」というエリア名だけで駅やバス停から近いと判断せず、最終区間まで確認してください。
3つ目は雨天時の過ごし方です。
BBQができるか、風呂やサウナが使えるか、焚き火はどうなるかを確認します。
4つ目は季節です。
冬の富士北麓では、客室に暖房があっても外へ出た瞬間の寒さは別物です。夜間にトイレやシャワーへ屋外移動が必要かどうかは必ず確認したいところです。
5つ目は最新料金と利用条件です。
宿泊料金、食事、設備、ペット条件、チェックイン時刻などは変更される可能性があります。
この記事では固定的な料金ランキングをあえて作っていません。
数千円の差だけで順位を付けても、日程や人数、食事条件が変われば簡単に逆転するからです。料金は予約日程を決めたうえで、各施設の最新情報を確認してください。
まとめ|富士山グランピングは「何を見るか」より「どう過ごすか」で選ぶ
富士山グランピングには、全室富士山ビューを掲げる施設、客室風呂やサウナを備えた施設、キャンプらしさを残すドーム、一棟単位でプライベート性を高めた宿まで、多様な選択肢があります。
河口湖は施設と観光の選択肢が豊富で、山中湖は富士山ビューとプライベート感を重視した施設を探しやすい傾向があります。
ただし、本当に確認したいのはエリア名や設備の豪華さだけではありません。
「自分の部屋から富士山が見えるのか」「水回りはどこにあるのか」「雨の日に何ができるのか」「どこまで車が必要なのか」まで確認して初めて、自分に合う施設が見えてきます。
富士山は、写真の背景になるためだけの山ではありません。
朝の光に染まり、雲に隠れ、夕暮れに輪郭を変え、夜には大きな影となる。
一晩を通してその変化のそばで暮らすように過ごせることこそ、僕は富士山グランピングの最大の魅力だと考えています。
高級なヴィラを選ぶ旅もいい。
子どもとドームテントでBBQをする旅もいい。
焚き火だけを眺めながら静かに夜を過ごす旅もいい。
富士はただの山ではありません。
旅をする人が「何を大切にしたいのか」を、静かに映してくれる鏡のような存在です。
施設の豪華さを競うのではなく、帰ったあとにどんな時間を思い出したいのか。
その答えから宿を選べば、富士山グランピングは「泊まった場所」ではなく、長く心に残る旅になるはずです。
よくある質問
富士山が必ず見えるグランピング施設はありますか?
全室・全棟富士山ビューを明記している施設はありますが、天候によって富士山が雲や霧に隠れることはあります。
また「施設から見える」と「自分の客室から見える」は別なので、予約する客室タイプごとの眺望を確認してください。
河口湖と山中湖なら、富士山グランピングはどちらがおすすめですか?
観光地への動きやすさや施設タイプの多さを重視するなら河口湖周辺、富士山ビューや一棟単位のプライベート性を重視するなら山中湖周辺が候補になりやすいでしょう。
ただしエリアより施設ごとの差の方が大きいため、水回り、眺望、食事場所、アクセスまで比較することをおすすめします。
富士山グランピングは冬でも楽しめますか?
冬季営業している施設なら楽しめますが、防寒性と水回りの位置は特に重要です。
客室が冷暖房完備でも、トイレやシャワーまで屋外を歩く施設では体感が大きく変わります。予約する客室の設備と冬季の利用条件を事前に確認してください。
※施設情報・設備・料金・営業内容は変更される場合があります。この記事は2026年9月15日時点で確認できる公式案内を中心に整理しています。予約時には各施設の最新情報をご確認ください。
神楽 岳志
登山エッセイスト|富士山研究家|自然体験ストーリーテラー
富士山旅行では、観光地だけでなく「どこで夜を過ごすか」でも旅の印象は大きく変わります。
ホテルとは少し違う時間を楽しみたいなら、富士山を望めるグランピングも候補のひとつです。
ただし、景観、食事、設備、アクセスなどは施設ごとに違うため、雰囲気だけで決めると迷いやすいところ。
そこで、富士山周辺でグランピングを探すときに知っておきたいポイントを、こちらの記事で分かりやすく整理しています。
次の富士山旅行を考えている方は、気になる施設を探す前の参考にしてみてください。
「こんな過ごし方もあるのか」と、旅の選択肢が少し広がるはずです。


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