富士山駅から富士スバルライン五合目へ向かう路線バスは、片道約65分、大人運賃が片道2,000円・往復3,400円で運行されています。
電車を降りてすぐ乗車できるこの直通バスは、夏の開山期だけでなく秋の観光シーズンまで、多くの登山者や旅人に親しまれる頼もしい交通手段です。
幼い頃から富士の麓で育ち、幾度となくその頂を目指してきた僕にとって、山麓の駅から見上げる霊峰の姿はいつ訪れても背筋が伸びる思いがします。
青空に突き抜ける独立峰の偉容は、人の心の迷いや日々の喧騒をそっと包み込んでくれるような、不思議な静寂を湛えています。
これから富士スバルライン五合目へ向かおうとしている方に向けて、乗り場や運行ダイヤ、お得な往復きっぷの買い方、そして現地で困らないための注意点を詳しく整理しました。
富士山駅から五合目へのバス乗り場と運行ルートとは?

富士急行線の富士山駅(山梨県富士吉田市上吉田2丁目5-1)から出発する路線バスは、富士スバルライン五合目行きの直通路線として設定されています。
駅前ロータリーにある乗り場から出発したバスは、まず隣駅の河口湖駅を経由し、富士山世界遺産センターや富士山科学研究所などの周辺拠点を抜けて有料道路「富士スバルライン」へと入っていきます。
三合目、四合目大沢展望台、そして原生林の美しい御庭(奥庭)を駆け上がり、終点である標高約2,300mの富士スバルライン五合目へと到達します。
車窓からは四季折々の樹林帯が広がり、時には野生の鹿やカモシカが姿を現すこともあり、車内にいながら富士の息づく自然を間近に体感できる道のりです。
始発となる富士山駅から乗車すれば、混雑しやすい河口湖駅よりも前に席を確保しやすいため、ゆったりと景色を楽しみたい方に適した出発点と言えます。
富士山駅〜五合目バスの運賃・往復割引と支払い方法は?
2026年7月1日改定の運賃基準において、富士山駅および河口湖駅から富士スバルライン五合目までの路線バス運賃は次の通り明確に設定されています。
日帰りや山小屋宿泊での往復利用を予定している場合は、往復乗車券を選択することで通常よりも割安に移動できます。
券種 大人運賃 小人運賃 有効期間
片道乗車券 2,000円 1,000円 販売日当日のみ
往復乗車券 3,400円 1,700円 販売日より2日間有効
片道のみ利用する場合は大人2,000円(小人1,000円)となりますが、往復乗車券であれば大人3,400円(小人1,700円)となり、600円分お得になります。
往復乗車券の有効期間は「販売日より2日間」となっているため、五合目の山小屋や山頂を目指して1泊2日で過ごす登山日程にも適しています。
乗車券の購入窓口や車内清算では、選ぶ券種によって利用できる決済手段が厳格に分かれているため事前の確認が欠かせません。
- 当日・販売窓口で購入する場合:往復券・片道券ともに「現金」または「クレジットカード」での支払いが可能です。
- バス車内で直接清算する場合:片道乗車券のみ精算可能で、「現金」または「PASMO・Suica等の交通系ICカード」が使えます(※車内でのクレジットカード決済は不可)。
- 車内での往復券購入:バス車内では往復乗車券の購入ができません。往復券を希望する場合は必ず乗車前に駅窓口やオンラインで手配する必要があります。
- 五合目窓口での注意点:帰路に五合目現地の窓口で乗車券をお求めになる場合、取り扱いは「現金のみ」となりますので所持金にご注意ください。
事前のキャッシュレス決済を活用したい方には、オンライン販売(Fujiyama Connect、QUICK TRIP、ジョルダンモバイルチケット等)による「五合目往復きっぷ」の事前購入も用意されています。
富士山駅・河口湖駅発のモバイル往復きっぷは、例年7月1日から11月30日までの秋季観光期間をカバーして販売されており、スマートフォンアプリから手軽に手続きが可能です。
2026年秋の運行時刻表と所要時間の目安(10月1日以降)
2026年10月1日以降の秋季ダイヤにおける、富士山駅・河口湖駅と富士スバルライン五合目を結ぶ路線バスの標準時刻表は以下の通りです。
片道の所要時間は、富士山駅から終点の五合目までおよそ1時間5分(65分)、河口湖駅からはおよそ55分となっています。
《上り》富士山駅・河口湖駅 → 富士スバルライン五合目方面
- 第1便:富士山駅 9:30発 → 河口湖駅 9:40発 → 三合目 10:12 → 四合目大沢展望台 10:17 → 御庭 10:29 → 五合目 10:35着
- 第2便:富士山駅 10:30発 → 河口湖駅 10:40発 → 三合目 11:12 → 四合目大沢展望台 11:17 → 御庭 11:29 → 五合目 11:35着
- 第3便:富士山駅 11:30発 → 河口湖駅 11:40発 → 三合目 12:12 → 四合目大沢展望台 12:17 → 御庭 12:29 → 五合目 12:35着
- 第4便:富士山駅 12:50発 → 河口湖駅 13:00発 → 三合目 13:32 → 四合目大沢展望台 13:37 → 御庭 13:49 → 五合目 13:55着
- 第5便:富士山駅 13:50発 → 河口湖駅 14:00発 → 三合目 14:32 → 四合目大沢展望台 14:37 → 御庭 14:49 → 五合目 14:55着
《下り》富士スバルライン五合目 → 河口湖駅・富士山駅方面
- 第1便:五合目 11:30発 → 御庭 11:34 → 四合目 11:39 → 三合目 11:48 → 河口湖駅 12:15着 → 富士山駅 12:25着
- 第2便:五合目 12:30発 → 御庭 12:34 → 四合目 12:39 → 三合目 12:48 → 河口湖駅 13:15着 → 富士山駅 13:25着
- 第3便:五合目 13:30発 → 御庭 13:34 → 四合目 13:39 → 三合目 13:48 → 河口湖駅 14:15着 → 富士山駅 14:25着
- 第4便:五合目 14:50発 → 御庭 14:54 → 四合目 14:59 → 三合目 15:08 → 河口湖駅 15:35着 → 富士山駅 15:45着
- 第5便:五合目 15:50発 → 御庭 15:54 → 四合目 15:59 → 三合目 16:08 → 河口湖駅 16:35着 → 富士山駅 16:45着
下りの最終便は五合目を15:50に出発しますので、現地の散策や周辺施設の見学を行う際は乗り遅れのないよう余裕を持った行動設計が大切です。
富士スバルライン五合目の見どころと周辺散策の楽しみ方
富士スバルライン五合目は標高約2,300mに位置し、単なる登山口のゲートウェイにとどまらない多彩な魅力を持っています。
山小屋や土産店が並ぶ広場の一角には、古くから富士信仰の拠点として崇敬されてきた「小御嶽神社(こみたけじんじゃ)」が静かに鎮座しています。
関東でも指折りの長い降雪期間を持つ場所としても知られ、初冠雪を迎える10月から春の雪解け期に至るまで、季節ごとに表情を変える厳かな白銀を望むことができます。
展望広場からは眼下に広がる富士五湖や甲府盆地を一望でき、天候条件が整えば見事な雲海が足元に広がる光景に出会えます。
一般的な五合目周辺の観光や参拝自体には入山料がかからないため、日常を離れて澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込みたい観光客にとっても訪れやすい景勝地です。
少し足を伸ばせば、天神峠や御庭・奥庭といった高山植物とカラマツの樹林が織りなすトレッキングコースもあり、雄大な溶岩流の跡を眺めながら自然観察を楽しむことも可能です。
バス利用時に知っておくべき運行制限と注意点
富士山はその美しさとともに、荒々しい気象変化を併せ持つ活火山です。
バスを利用して五合目へアクセスする際には、平地の観光地とは異なる山岳道路特有のルールや天候リスクを十分に理解しておく必要があります。
- 道路状況による運休・折り返し運行:富士スバルラインが降雪・凍結・大雨・落石等で通行止めとなった場合、一合目までの営業時にはバスは全便運休となります。また四合目までの営業制限時は「四合目折り返し運行」となり、五合目までは到達できません。
- マイカー規制期間との違い:夏の登山シーズン(例年7月上旬〜9月上旬)には富士スバルラインで環境保全と渋滞対策を目的としたマイカー規制が実施されますが、正規の路線バスは規制期間中も五合目まで直接乗り入れることができます。
- 標高差による気圧と気温の急変:富士山駅の標高約800mから一気に2,300mまで駆け上がるため、気温は約9〜10度近く低下します。夏場であっても上着が必須であり、秋口は平地の冬に匹敵する防寒具が求められます。
- 五合目での現金確保:前述の通り五合目のバス発券窓口は「現金のみ」の扱いです。電子マネーの電波障害やバッテリー切れに備え、あらかじめ小銭や千円札を財布に用意しておくのが賢明です。
自然の懐深くに分け入る以上、日々のスケジュールには柔軟な余白を持たせておくことが、安全で心地よい旅を支える要となります。
登山エッセイストが読み解く「バスで五合目を目指す価値」
長年、富士の地質や登山道を歩き続けてきた僕の視点から見ると、富士山駅から路線バスに乗って高度を上げていく過程そのものが、得難い体験の一つだと感じられます。
標高800mの富士山駅から針葉樹林の鬱蒼としたトンネルをくぐり抜け、やがて視界が開けて森林限界を迎える約1時間の車窓の移り変わりは、まるで地球の皮膚をなぞるようなダイナミックな地質学的変遷を物語っています。
マイカーのハンドルを握っていては見落としてしまう溶岩樹型や側火山の痕跡も、路線バスの少し高いアイポイントからであれば、じっくりと観察することができます。
何より、公共交通の路線バスを利用することは、富士のデリケートな高山環境へ過度な自動車排ガス負荷をかけないという、環境保護へのささやかな加担でもあります。
近年は外国人旅行者の増加やオーバーツーリズムへの懸念から、登山鉄道構想をはじめとする様々なアクセス議論が交わされています。
そうした過渡期にある今だからこそ、地域に根づいた公共バスに揺られ、地元運転手さんの丁寧なギアチェンジに身を任せながら霊峰へと向かう時間は、旅の原点を感じさせてくれる貴重なひとときではないでしょうか。
霧の晴れ間にふと顔を覗かせる黒々とした山肌は、いつの時代も私たちが自然の大きな秩序の中に生かされている事実を静かに教えてくれます。
まとめ
富士山駅から富士スバルライン五合目を結ぶ路線バスは、片道約65分で手軽に標高2,300mの世界へと導いてくれる快適な交通ルートです。
大人往復運賃は3,400円(2日間有効)で、駅窓口での購入やモバイルチケットを事前手配しておくことで、当日スムーズに乗車できます。
バス車内では往復券の購入ができず、また帰路の五合目窓口は現金決済のみとなる点など、山岳地ならではのルールを事前に押さえておくことが快適な旅の鍵となります。
天候や道路交通状況に応じた最新の運行情報を確認しつつ、四季折々に姿を変える日本最高峰の絶景をぜひ体感してください。
よくある質問
Q1. 富士山駅から五合目までのバスは事前予約が必要ですか?
通常の路線バスであるため、事前の座席予約制ではありません。乗車券を窓口やオンライン等で購入し、乗り場に並んだ順に乗車する形式となります。多客時には臨時便が増発される場合もありますが、時間に余裕をもって乗り場へ向かうことをおすすめします。
Q2. 富士スバルラインが通行止めになった場合、バスはどうなりますか?
悪天候や路面凍結・積雪等により富士スバルラインが通行規制された場合、一合目までの開通時は路線バスも運休となります。また、四合目まで開通している場合は四合目(大沢展望台)での折り返し運行となり、五合目までは向かいませんのでご注意ください。
Q3. バス車内でSuicaやPASMOなどの交通系ICカードは使えますか?
片道運賃をバス車内で直接清算する場合に限り、PASMOやSuicaをはじめとする全国相互利用交通系ICカードが利用できます。ただし、車内では割引の適用される「往復乗車券」の購入はできず、クレジットカードでの車内決済も対応していません。
神楽 岳志


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