新富士駅から富士山駅を結ぶ富士急直通バスは片道運賃2,890円、所要時間約2時間25分で乗り換えなしで移動できます。
東海道新幹線の停車駅である新富士駅(静岡県富士市)と、富士北麓観光の拠点である富士山駅(山梨県富士吉田市)をダイレクトに結ぶ唯一無二の越境路線です。
幼い頃から富士の稜線を見つめ、幾度となくこの霊峰の頂を踏んできた僕にとって、南麓の駿河湾側から北麓の富士五湖へと抜ける道のりは特別な意味を持ちます。
標高差と気候の変化を肌で感じながら山体を半周するこの車窓は、まさに富士山の多様な表情を一望できる「動く展望台」と言っても過言ではありません。
しかし現在、全国的な深刻な運転手不足や「2024年問題」の余波を受け、この風光明媚な長距離路線バスは大きな変革期に直面しています。
直近のダイヤ改正を経て運行本数が大きくスリム化され、事前の下調べなしでは現地で途方に暮れるリスクが高まりました。
本記事では、富士急バスの最新運行データに基づき、2024年4月1日改正ダイヤの全容、運賃や決済方法、乗車時の注意点、そして交通専門家としての独自視点まで徹底的に分かりやすく紐解きます。
富士山を眺めながら過ごせるグランピングは、施設によって景色も過ごし方もかなり違います。
「どこを選べばいい?」と迷ったら、富士山周辺のグランピング選びをまとめた記事を先に見ておくとイメージしやすいです。
【最新】新富士駅〜富士山駅バスの運賃と支払い方法
新富士駅から富士山駅までの路線バス片道運賃は、大人2,890円、小児(小学生)1,450円です。
営業キロは約42.7kmに達し、静岡県から山梨県へと富士山西麓をぐるりと回り込む長距離運行となります。
運賃の支払いには現金のほか、SuicaやPASMO、TOICA、ICOCAなど全国相互利用に対応した交通系ICカードが利用可能です。
乗車時に乗車口のカードリーダーへタッチし、降車時に運賃箱のリーダーへ再度タッチすることで自動精算が完了します。
ただし、車内精算におけるクレジットカードのタッチ決済や、PayPayなどの各種QRコード決済には非対応です。
また車内両替機は千円札にのみ対応しており、五千円札や一万円札の高額紙幣は両替できません。
長距離路線のため運賃が高額になりますので、乗車前に新富士駅の券売機や周辺のコンビニでICカードに十分な残高をチャージしておくことが鉄則です。
富士五湖周辺の周遊券に関しては、新富士駅〜富士宮駅間などの静岡県側区間が含まれない企画券も多いため、広域フリーきっぷ等を利用する際は適用区間をあらかじめ窓口で確認してください。
新富士駅〜富士山駅の現行ダイヤ改正時刻表と所要時間
直通バスの標準所要時間は約2時間25分ですが、2024年4月1日のダイヤ改正により1日3〜4往復の限定運行となっています。
旅行計画を立てるうえで最も警戒すべき点は、午前中の便を逃すと次の便まで数時間の空白が生じる「閑散ダイヤ」であることです。
新幹線「こだま」号から乗り継ぐ際は、数分の遅れが致命的なタイムロスにつながるため、綿密な接続スケジュールが欠かせません。
富士急バスが公表している現行ダイヤの全発車時刻および主要停留所のタイムテーブルは以下のとおりです。
新富士駅発 ⇒ 富士山駅行き(下り便)
- 第1便(朝便):新富士駅 7:15発 ⇒ 富士宮駅 7:48発 ⇒ 白糸の滝入口 8:18発 ⇒ 朝霧高原 8:38発 ⇒ 本栖湖 8:51発 ⇒ 精進湖 8:57発 ⇒ 河口湖駅 9:32着 ⇒ 富士山駅 9:40着
- 第2便(午前便):新富士駅 9:45発 ⇒ 富士宮駅 10:20発 ⇒ 白糸の滝入口 10:50発 ⇒ 朝霧高原 11:10発 ⇒ 本栖湖 11:23発 ⇒ 精進湖 11:29発 ⇒ 河口湖駅 12:04着 ⇒ 富士山駅 12:12着
- 第3便(午後便):新富士駅 14:30発 ⇒ 富士宮駅 15:05発 ⇒ 白糸の滝入口 15:35発 ⇒ 朝霧高原 15:55発 ⇒ 本栖湖 16:08発 ⇒ 精進湖 16:14発 ⇒ 河口湖駅 16:49着 ⇒ 富士山駅 16:57着
新富士駅の乗り場は、新幹線高架下を出てすぐの北口(富士山口)「6番のりば」です。
改札口から徒歩1〜2分でアクセスできるため迷う心配はありませんが、発車間際にはインバウンド客などの乗車列ができるため、10分前には乗り場に並ぶことを推奨します。
富士山駅発 ⇒ 新富士駅行き(上り便)
- 第1便(午前便):富士山駅 9:55発 ⇒ 河口湖駅 10:10発 ⇒ 精進湖 10:41発 ⇒ 本栖湖 10:47発 ⇒ 朝霧高原 11:00発 ⇒ 白糸の滝入口 11:20発 ⇒ 富士宮駅 11:53着 ⇒ 新富士駅 12:20着
- 第2便(午後便):富士山駅 13:40発 ⇒ 河口湖駅 13:55発 ⇒ 精進湖 14:26発 ⇒ 本栖湖 14:32発 ⇒ 朝霧高原 14:45発 ⇒ 白糸の滝入口 15:05発 ⇒ 富士宮駅 15:38着 ⇒ 新富士駅 16:05着
- 第3便(夕方便):富士山駅 16:00発 ⇒ 河口湖駅 16:15発 ⇒ 精進湖 16:46発 ⇒ 本栖湖 16:52発 ⇒ 朝霧高原 17:05発 ⇒ 白糸の滝入口 17:25発 ⇒ 富士宮駅 17:58着 ⇒ 新富士駅 18:25着
運行ダイヤは季節波動や行楽期の臨時増便、あるいは定期的な改定により発着時刻が前後に変更される場合があります。
旅程を最終確定する前には、必ず富士急バス公式サイトの運行情報案内ページを照合してください。

直通バスと鉄道迂回ルートの料金・時間比較
新富士駅から富士山駅への移動は、直通バスのほかに鉄道を乗り継ぐルートが存在しますが、直通バスが圧倒的に優位です。
万が一バスに乗り遅れた際の判断材料となるよう、実用的な3つの移動ルートを一覧表に整理しました。
移動ルート 片道運賃・料金(目安) 標準所要時間 乗り換え回数 主な特徴と留意点
富士急直通路線バス(推奨) 2,890円 約2時間25分 0回(直通) 最安値かつ乗り換えなし。本数が1日3便程度のためダイヤ優先の旅程設計が必須。
新富士〜富士宮(路線バス)+富士宮〜富士山(直通バス) 2,890円(合算) 約2時間40分〜3時間 1回 新富士〜富士宮間の頻発路線バスを挟み、富士宮駅発着便を捕まえる実用的なリカバリ策。
JR・私鉄乗り継ぎ迂回ルート(東海道線・中央線・富士急行線) 約4,800円〜7,500円 約3時間30分〜4時間30分 2〜3回 富士駅から甲府経由または大月経由で大きく迂回。悪天候時の代替手段だが運賃と時間は倍増。
比較表からも明らかなように、移動にかかるコストと身体への負担を考慮すれば、直通バスの選択が最も合理的です。
もし新富士駅で直通バスにタッチの差で乗り遅れてしまった場合は、諦めて高額なタクシーを呼ぶ前に、新富士駅から頻繁に出ている「富士宮駅行き」の路線バスへ飛び乗るのが賢明な立ち回りです。
富士宮駅始発や別系統の富士五湖方面行きバスを拾う、あるいはJR身延線へ柔軟にスイッチする選択肢が生まれるため、旅のリカバリーが格段にしやすくなります。
せっかく富士山の近くまで行くなら、「泊まる場所」そのものも旅の楽しみにしたいところです。
実は富士山周辺には、景色を楽しむ施設、食事を楽しむ施設、プライベート感を重視した施設など、選択肢があります。
何を基準に比べればいいのか、富士山グランピングの特徴と選び方をこちらの記事でまとめました。
候補を探し始める前に、ざっと目を通しておくだけでも選びやすくなります。
新富士駅〜富士山駅のバス移動で失敗しない3つの注意点
この路線は快適な観光専用高速バスとは毛色が異なり、長距離山岳路線ならではの注意点がいくつか存在します。
現地で予期せぬトラブルに遭遇しないよう、以下の3つのポイントを必ず頭に入れておきましょう。
- 国道139号線(富士パノラマライン)の渋滞による大幅遅延:富士山西麓を貫く幹線道路は行楽期に激しく混雑します。GWや紅葉シーズン、周辺での音楽フェス開催日には、標準の約2時間25分から1時間以上遅延することが珍しくありません。
- 車内トイレや荷物スペースのない一般路線バス仕様:投入される車両の多くは市街地を走る低床の一般路線バスです。リクライニングや車内トイレはなく、大型スーツケースを収納する床下トランクもありません。
- 2時間半に及ぶノンストップ運行と休憩なしの行程:途中の停留所で乗降扱いは行いますが、サービスエリアのような長時間のトイレ休憩は一切設けられていません。乗車前に新富士駅の構内で確実に用を足し、飲み物を購入しておく必要があります。
特に大型の手荷物を持参している旅行者は、足元が非常に狭くなることを覚悟しなければなりません。
身軽に観光を楽しみたい場合は、新富士駅北口構内に設置されているコインロッカー(小型400円〜大型700円程度)へ預けるか、事前に宿泊先へ荷物を宅配便で送ってしまう手段が極めて有効です。
また、富士山駅から新富士駅へと戻る上り便を利用し、その後に新幹線への接続を予定している方は、遅延を見越して最低でも1時間程度の乗り継ぎバッファを確保してください。
途中下車で楽しむ白糸の滝と朝霧高原の寄り道スポット
直通バスの大きな魅力は、富士山の南西麓に点在する名勝地へ途中下車しながら富士五湖へと北上できる柔軟性にあります。
時間にゆとりがある旅なら、新富士駅から富士山駅まで一気に乗り通すのではなく、途中の魅力的なスポットで途中下車する行程をおすすめします。
白糸の滝入口:幾筋もの名瀑が織りなす清涼な別世界
新富士駅からバスに揺られて約1時間、富士宮市郊外に位置する「白糸の滝入口」は外せない景勝地です。
国の名勝および天然記念物に指定されている白糸の滝は、富士山の雪解け水が溶岩断層の隙間から毎秒1.5トンも湧き出しています。
幅150メートル、落差20メートルの湾曲した崖一面から、白い絹糸のように流れ落ちる滝の姿は、息をのむほどの美しさです。
滝壺の前に立つと、水煙とともにひんやりとした冷気が肌を包み込み、山が蓄えた生命力を五感で実感できます。
停留所周辺には整備された遊歩道や展望デッキ、地元名物の「富士宮やきそば」を味わえる飲食店が立ち並び、1〜2時間の散策にはうってつけの場所です。
朝霧高原:緑の放牧地と雄大な富士山が広がる酪農郷
さらにバスを進めて山梨県境へと近づくと、車窓の風景は鬱蒼とした森から一転し、広大な緑の牧草地が広がる「朝霧高原」へと入ります。
標高700〜1,000メートルの冷涼な気候を活かした酪農が盛んで、放牧された牛たちの向こうに遮るもののない富士山の西壁が大きくそびえ立ちます。
道の駅「朝霧高原」に隣接する停留所で下車すれば、搾りたての新鮮な牛乳を使った濃厚なソフトクリームや特産チーズを堪能できます。
南麓の富士市街地で見上げる富士が「そそり立つ巨大な壁」だとすれば、ここ朝霧高原から望む富士は「優雅に両翼を広げた大鳥」のようです。
ただ通り過ぎるにはあまりにも惜しい、雄大な富士の懐を実感できる絶好の中継地と言えます。

交通エッセイストの視点:2024年問題と越境路線の持続可能性
富士急バスが運行する新富士駅〜富士山駅線を見つめ直すとき、僕は地方公共交通が直面している構造的な痛みを強く感じずにはいられません。
2024年4月に施行された労働基準法改正により、自動車運転業務における年間時間外労働の上限は960時間に制限されました。
過労運転の防止と労働環境の改善を目指すこの法改正は人道的に極めて正しい一歩ですが、同時に長距離運行を支えてきたバス運行ダイヤに深刻な人員不足という爪痕を残しました。
かつてこの路線は、静岡県と山梨県を結ぶ大動脈として日中も1〜2時間に1本の間隔で頻発運行されていました。
しかし、片道約43km、往復で5時間近く拘束される県境越えの路線は、ドライバーの運用効率という観点から真っ先に減便のメスを入れられる運命にありました。
この5年間の運行本数の推移を振り返ると、最盛期の半分以下へと段階的に削減されており、現在は1日わずか3〜4往復という薄氷の運行体制で辛うじて維持されています。
長野県の松本と高山を結ぶアルピコ交通や濃飛バスの越境路線、あるいは伊豆半島を横断する伊豆箱根バスの路線再編の歴史を見ても、広域をまたぐ長距離一般路線バスの維持には自治体の枠を超えた支援が不可欠です。
しかし、現場の需給バランスは極めて皮肉なねじれ現象を起こしています。
関西や中部方面から東海道新幹線でアクセスし、新富士駅から乗り換えなしで河口湖や富士山駅へ向かうインバウンド旅行者の需要は、かつてない高まりを見せています。
新幹線と富士北麓を最短で結ぶゴールデンルートとしてこれ以上ない価値を持ちながら、それを運ぶ足が足りずに増便できない現実があるのです。
僕が現場のバスに乗り込むと、座席の半数以上を大きなバックパックを抱えた外国人旅行者が占め、通路にスーツケースが溢れている光景を日常的に目にします。
一般路線バスの車両に重い荷物を抱えて乗り込む旅人たちの戸惑いと、安全運転に神経をすり減らす運転手さんの緊張感が、車内の空気をどこか重たいものにしています。
筆者としては、この貴重な越境インフラを守り抜くために、既存の「一般路線バス」という枠組みを大胆に見直す時期に来ていると考えます。
たとえば、床下トランクと座席指定を備えた予約制の「高速・観光仕様ハイデッカー車両」へと運行形態を格上げし、相応の適正運賃を設定して収益性を高めるアプローチです。
あるいは、静岡県側(富士市・富士宮市)と山梨県側(富士吉田市・富士河口湖町)の広域行政が連携し、観光振興と生活路線維持を両立させるための公的補助スキームを確立することです。
富士山を仰ぎ見る旅の道筋は、ただの移動手段ではなく、人と山とが交錯する大切な文化遺産そのものです。
「バスがあるのが当たり前」という時代が過去のものとなった今、旅人である僕たち自身も、この細い移動の糸を大切に紡ぎ、支えていく意識が求められています。
まとめ
新富士駅から富士山駅への直通バス移動は、大人片道2,890円、所要時間約2時間25分で両県を結ぶ最も合理的で経済的な選択肢です。
全国相互利用の交通系ICカードに対応しており、乗り換えなしで富士山の南麓から北麓へと抜けられる利便性は、他の迂回ルートを大きく引き離しています。
ただし、2024年4月のダイヤ改正以降は1日3往復前後にまで減便されており、国道139号線の行楽渋滞や一般路線バス特有の荷物スペース不足には十分な警戒が必要です。
旅程を組み立てる際は、直近の公式運行スケジュールを確実に照合し、新幹線との接続には1時間前後の余裕を持ったスケジューリングを心がけてください。
よくある質問
新富士駅から富士山駅への直通バスは事前予約が必要ですか?
事前の座席予約は一切不要です。全便が座席指定のない一般路線バスとして運行されているため、新富士駅北口バスターミナルの6番のりばに並んだ順番で乗車します。繁忙期には満席になる可能性もあるため、発車時刻の10〜15分前には乗り場に並んでおくことをおすすめします。
バス車内でクレジットカードのタッチ決済やQRコード決済は使えますか?
車内運賃箱での直接決済は対応していません。利用できるキャッシュレス決済は、全国相互利用に対応した交通系ICカード(Suica、PASMO、TOICA、ICOCAなど)のみとなります。また、車内での両替は千円札に限られるため、残高不足にならないよう乗車前に駅券売機等でチャージを済ませておきましょう。
富士山駅から新富士駅へ戻るバスも運賃や所要時間は同じですか?
上り便も大人片道2,890円、標準所要時間は約2時間25分で同一です。ただし、夕方の時間帯は富士宮市内や富士市内の一般道で生活渋滞に巻き込まれやすく、大幅な遅れが発生するリスクがあります。復路で新幹線を予約されている場合は、接続時間に最低でも1時間以上の余裕を持たせて計画してください。
神楽 岳志
富士山旅行では、観光地だけでなく「どこで夜を過ごすか」でも旅の印象は大きく変わります。
ホテルとは少し違う時間を楽しみたいなら、富士山を望めるグランピングも候補のひとつです。
ただし、景観、食事、設備、アクセスなどは施設ごとに違うため、雰囲気だけで決めると迷いやすいところ。
そこで、富士山周辺でグランピングを探すときに知っておきたいポイントを、こちらの記事で分かりやすく整理しています。
次の富士山旅行を考えている方は、気になる施設を探す前の参考にしてみてください。
「こんな過ごし方もあるのか」と、旅の選択肢が少し広がるはずです。


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