6月の富士山は、麓が梅雨の初夏でも、山頂には氷点下と残雪が残り、一般向けの山頂登山はできません。
観光では雨と霧、五合目では低温と強風に備え、上旬・中旬・下旬の違いと目的地の標高を踏まえて服装を選ぶことが大切です。
富士登山では、「何を持っていくか」以上に「どう揃えるか」で準備の負担が大きく変わります。
購入とレンタル、どちらが自分に合うのか迷ったら、装備選びで後悔しないための考え方をこちらの記事で整理しています。
6月の富士山の天気は?麓・五合目・山頂で季節が違う
6月の富士山は、河口湖では初夏、五合目では晩春、山頂では残雪期の冬山環境です。
一口に「富士山の天気」といっても、どこへ行くかによって気温も危険も変わります。
河口湖の標高は約860メートル、吉田口の富士スバルライン五合目は2,305メートル、富士山頂は3,776メートルです。
河口湖から山頂までの標高差は約2,900メートルあります。湖畔で半袖が心地よい日でも、山頂では氷点下になる可能性があるのです。
場所 標高 6月の気象の目安 情報の種類 主な注意点
河口湖 約860m 平均17.8℃、日最高23.0℃、日最低13.7℃、月降水量157.1mm 1991~2020年平年値 梅雨の雨、蒸し暑さ、朝晩の冷え
吉田口五合目 2,305m 河口湖より約9℃低くなる場合がある 標高差を使った単純計算 低温、霧、冷たい雨、強風
富士宮口五合目 2,400m 吉田口五合目と同等か、やや低温になりやすい 標高差からの推定 防寒、防風、視界不良
富士山頂 3,776m 平均1.4℃、日最高4.0℃、日最低マイナス1.4℃ 1991~2020年平年値 残雪、凍結、強風、低体温症
河口湖と富士山頂の数値は、気象庁「過去の気象データ検索」に掲載された1991~2020年の平年値です。河口湖の6月は相対湿度80%、日照時間122.8時間で、曇雨天の多さと晴れ間の蒸し暑さが同居します。2026年8月5日に確認しました。
五合目には、河口湖と同じ条件で比較できる長期の気象庁平年値がありません。
そのため、五合目の気温は「標準的な大気では高度が100メートル上がるごとに約0.6℃低下する」という一般的な目安を使った推定です。実際には日射、雲、風向、湿度、気温の逆転などによって大きく変わるため、予報の代用にはできません。
河口湖と吉田口五合目の標高差は約1,445メートルです。
単純計算では、吉田口五合目は河口湖より約8.7℃低くなります。河口湖が23℃なら五合目は14℃前後が一つの目安ですが、霧と風が加われば体感温度はさらに下がります。
ここで大切なのは、旅行先の市町村名だけで天気を調べないことです。
河口湖へ行くのか、五合目へ上がるのか、山頂の姿を遠くから見るのか。自分が立つ標高を先に決めてから予報を確認してください。
6月上旬・中旬・下旬で天気と残雪はどう変わる?
6月は月末に向かって気温が上がりますが、山頂では下旬まで低温、強風、残雪を前提に考える必要があります。
「6月ならいつ行っても同じ」と考えると、服装や旅行計画を誤りやすくなります。
気象庁の平年値を見ると、河口湖の平均気温は6月1日の15.8℃から、6月30日には20.2℃へ上昇します。
一方、富士山頂の旬別平均気温は、上旬がマイナス0.4℃、中旬が1.7℃、下旬が2.9℃です。下旬でも日最低気温の旬平均は0.3℃しかありません。
時期 河口湖の日別平均気温の平年値 山頂の旬平均気温 山頂の日最低気温の旬平均 状況の目安
6月上旬 15.8~17.0℃ -0.4℃ -3.3℃ 山頂は明確な冬山環境。麓も朝晩は上着が必要
6月中旬 17.1~18.4℃ 1.7℃ -1.1℃ 梅雨の雨と霧が増え、濡れによる冷えに注意
6月下旬 18.6~20.2℃ 2.9℃ 0.3℃ 麓は蒸し暑い日が増えるが、山頂には残雪が残り得る
河口湖の欄は、各期間の初日と最終日における「日別平均気温の平年値」の範囲です。旬全体の平均値ではありません。
山頂の欄は気象庁の1991~2020年旬別平年値です。山頂の平均風速は、観測期間が1991~2004年の参考値で、上旬9.2メートル毎秒、中旬10.2メートル毎秒、下旬11.2メートル毎秒とされています。現在の一日の予報値ではない点に注意してください。
6月上旬は山頂の氷点下と厚い残雪を想定する
6月1日の山頂平年値は、平均マイナス1.2℃、最高1.5℃、最低マイナス4.2℃です。
旧観測統計では、同日の最深積雪の平年値が119センチとされています。これは1991~2004年の限られた観測期間による参考値で、現在の登山道上に同じ深さの雪があるという意味ではありません。
それでも、6月上旬を「もう夏に近い時期」と捉えるのは危険です。
遠くから雪が少なく見えても、登山道のくぼみ、日陰、北向き斜面、風で雪が集まった場所には、硬い残雪が残ることがあります。
6月中旬は梅雨の湿気と冷えが重なりやすい
中旬になると、河口湖では平均気温が17~18℃台へ上がります。
晴れ間が出れば半袖で歩けますが、雨が降ると体感は一変します。五合目では細かな霧が衣服や髪、バッグを少しずつ湿らせ、風によって体温が奪われます。
僕が五合目で特に警戒するのは、激しい雨よりも、長時間続く霧雨です。
大雨なら多くの人が建物や車へ戻ります。しかし、霧雨は「まだ歩ける」と感じやすく、気づいたときには袖口や靴下まで湿っていることがあります。
6月下旬でも山頂が夏山になるわけではない
6月30日の山頂平年値は、平均3.6℃、最高6.2℃、最低1.0℃です。
旧統計による同日の最深積雪の平年値は14センチですが、雪は均一に解けるわけではありません。登山道上の残雪や再凍結の有無は、その年の降雪量、春の気温、雨量、斜面の向きによって変化します。
日中に緩んだ雪が、夜間や早朝に凍り直すこともあります。
砂礫の夏道なら転倒後に止まれる斜面でも、硬い雪面では滑り続ける恐れがあります。月末だから軽装で登れる、という判断はできません。

6月の富士山周辺は梅雨?2026年情報と平年傾向
富士山周辺の6月は、平年では上旬ごろに梅雨へ入り、曇りや雨の日が増える時期です。
富士山の北側にある山梨県は関東甲信地方、南側の静岡県は東海地方の梅雨情報に含まれます。
気象庁が2026年8月4日に更新した速報値では、2026年の梅雨入りは関東甲信地方、東海地方ともに6月7日ごろでした。
関東甲信は平年と同じ、東海は平年より1日遅い時期とされています。ただし、これは速報値であり、春から夏の実際の天候経過を検討した後に見直される可能性があります。
「梅雨入り」とは、毎日一日中雨が降るという宣言ではありません。
曇りが続く日、短時間だけ雨が降る日、早朝だけ山頂が現れる日、雨上がりの夕方に雲が切れる日もあります。
富士山を見る時間は早朝を第一候補にする
僕は6月に富士山を見る旅行を組むとき、日の出後から午前8時ごろまでを最初の観賞時間にしています。
これは気象庁が保証する時刻ではなく、僕の現地観察に基づく計画上の目安です。
晴れた日は、日射で地面や山腹が温められると上昇気流が生まれ、時間の経過とともに雲が発達する場合があります。湿気の多い時期は、朝に見えていた山頂が短時間で覆われることもあります。
もちろん、早朝なら必ず見えるわけではありません。
梅雨前線の雲が残る日や、湿った風が流れ込み続ける日は、夜明け前から山全体が隠れます。出発前にライブカメラと雨雲の動きを確認し、見えている時間を優先して動くのが現実的です。
雲底の高さを見ると次の行動を決めやすい
僕が現地で確認するのは、山頂が見えているかどうかだけではありません。
山腹のどの高さまで見えているか、雲の底が上がっているか下がっているか、雲が斜面に沿って発達しているかを観察します。
裾野まで厚い雲に覆われている場合と、八合目付近より上だけが隠れている場合では、数十分後の見え方が違うことがあります。
ただし、雲の動きを見て「必ず晴れる」と予測することはできません。これはあくまで、待つか移動するかを考えるための補助材料です。
北麓と南麓のライブカメラを見比べる
富士山は独立峰で、風を受け止める巨大な壁でもあります。
南寄りの湿った風が入ると、富士市や富士宮市側の斜面で雲が発達する場合があります。東寄りや北東寄りの風では、須走、山中湖、河口湖側へ低い雲や霧が流れ込むことがあります。
これは地形と風向から考えられる傾向で、毎回同じ現象になるわけではありません。
河口湖側から見えない日でも南麓から山頂の一部が見えることがあり、その逆もあります。移動できる旅行なら、北麓と南麓のライブカメラを比較してから観賞場所を決めると、無駄な移動を減らせます。
霧に隠れる富士は、人の心の迷いに似ています。
見えないからと焦って場所を変え続けるより、雲の流れを静かに読み、旅の順番を入れ替える方が、山との出会いは深くなるものです。
登山靴、レインウェア、ザック、防寒着……必要なものを一つずつ揃えていくと、意外と悩むポイントが増えてきます。
しかも、すべてを購入することだけが正解とは限りません。
僕ならどこまで揃え、どこからレンタルを考えるのか。富士登山の装備を無理なく準備する方法をこちらの記事で詳しくまとめました。
初めて登る方でも、数分で全体像をつかめます。
6月に富士山へ登れる?2026年の開山日と五合目アクセス
2026年6月中、一般登山者が開通した夏山登山道を使って富士山頂へ登れるルートはありませんでした。
2026年の開山期間は、須走ルートと吉田ルートが7月1日から9月10日、富士宮ルートと御殿場ルートが7月10日から9月10日です。
山頂のお鉢巡りも7月10日から9月10日と案内されています。天候や残雪の状態によって、実際の開通が変更される可能性があります。
富士登山オフィシャルサイトは、開山期以外の山頂登山道を通行止めと案内しています。
開山前は山小屋、救護所、公衆トイレ、案内所などの体制が夏山期と異なり、残雪、凍結、道迷い、落石、低体温症が重なる危険があります。
富士宮口の五合目から六合目は6月23日に開通
2026年は、富士宮ルートの五合目から六合目までが6月23日午前9時に冬季閉鎖を解除されました。
静岡県は、残雪がなくなり、案内標識や誘導ロープなどの安全対策が整ったことを解除理由としています。一方、六合目から山頂までは引き続き全面通行止めでした。
つまり、五合目や六合目へ行けることと、山頂まで登れることは別問題です。
下部の短い区間が開いていても、閉鎖された上部へ進んではいけません。
6月の五合目アクセスは道路とバスを別々に確認する
登山道の開通状況と、五合目までのアクセス道路の状況も別です。
2026年の富士スバルラインは、4月18日午前9時から五合目までの全線通行が確保されました。ただし、全線開通後も積雪、凍結、強風などの気象状況により通行規制が行われる場合があります。
富士宮口へ向かう富士山スカイラインは、2026年の予定では4月24日から開通し、6月は夏のマイカー規制開始前に当たります。
ただし、大雨などによる道路通行止めは別に実施されます。五合目行きの路線バスも、登山シーズン中のシャトルバスとは運行期間や本数が異なるため、利用日ごとに交通事業者の最新時刻表を確認してください。
6月の五合目観光では、出発前に次の三つを分けて確認します。
- 五合目までの道路が通行できるか
- 路線バスや観光バスが運行しているか
- 五合目より上の登山道が開通しているか
道路が開いていても、濃霧や強風の中で無理に五合目へ向かう必要はありません。
山頂へ近づくことより、安全に帰れることの方が、旅でははるかに大切です。
6月の富士山観光に適した服装は?場所別に解説
河口湖では初夏の服装に雨具を加え、五合目では防風着、防寒着、長ズボンを追加してください。
一日で湖畔と五合目を巡る場合は、朝に着た一組の服だけで対応しようとせず、脱ぎ着できる重ね着にします。
行き先 基本の服装 必ず携帯したいもの 避けたい服装
河口湖・山中湖 半袖または薄手の長袖、長ズボン 薄手の上着、傘、レインウェア 雨の日の滑りやすい靴
標高1,000~1,500mの展望地 長袖、薄手の中間着 防風着、帽子、雨具 乾きにくい厚手の綿製品だけ
吉田口・富士宮口五合目 長袖、中間着、防風防水ジャケット、長ズボン 薄手の手袋、着替え、防水袋 半袖一枚、サンダル
閉鎖中の山頂登山道 一般観光の対象外 立ち入らない 夏山装備での進入
河口湖・山中湖では寒暖差と雨に備える
河口湖の6月平年値は、平均17.8℃、日最高23.0℃、日最低13.7℃です。
晴れた昼間は半袖で過ごせる一方、朝晩や雨の日には長袖や薄手の上着が必要になります。
用意したい持ち物は次のとおりです。
- 半袖または薄手の長袖シャツ
- カーディガンや薄手のフリース
- 風を通しにくい軽量ジャケット
- 折りたたみ傘
- 透湿性のあるレインウェア
- 濡れた路面で滑りにくい靴
- タオル
- 飲み物
- 荷物を守る防水袋
- 晴天時の帽子と日焼け止め
雨具は、防水性だけでなく透湿性も重要です。
歩いて汗をかいたまま雨上がりの風に当たると、外から濡れていなくても身体が冷えます。暑いときは早めに中間着を脱ぎ、汗をためないよう調整してください。
五合目では霧と風を想定する
吉田口五合目は標高2,305メートル、富士宮口五合目は2,400メートルです。
河口湖が23℃の日でも、標高差による単純計算では吉田口五合目が14℃前後になる可能性があります。
五合目へ行く場合は、湖畔の服装に次を追加します。
- 長袖の中間着
- 防風・防水性のあるジャケット
- 長ズボン
- 滑りにくい靴
- 薄手の手袋
- 首元を覆えるタオルやネックウォーマー
- 乾いた靴下
- すぐ取り出せる着替え
子どもや高齢者と一緒の場合、防寒着を車内やバスの荷物室へ入れたままにしないでください。
霧が出てから荷物を取りに戻るのは大変です。上着と雨具は、小さなバッグなど手の届く場所へ入れておきましょう。

五合目行きを中止・短縮する判断基準
五合目まで道路が開いていても、観光に適した天候とは限りません。
次は公的な一律基準ではなく、僕が観光旅行で採用している安全側の判断目安です。
- 五合目への道路が通行止め、または規制予告が出ている
- 大雨警報、雷注意報などが発表され、天候悪化が予想される
- 五合目付近で気温一桁と降雨が重なる
- 平均風速10メートル毎秒前後以上の予報が出ている
- 霧で道路や駐車場の見通しが数十メートル程度しかない
- 子どもや高齢者が寒さ、ふらつき、吐き気、頭痛を訴える
- 濡れた衣服や靴下を交換できない
- 最終バスや下山手段に余裕がない
特に雷は、「まだ遠くで鳴っているから大丈夫」と考えないことが重要です。
開けた場所や森林限界に近い標高では、天候が急変した際に安全な屋内へ移動するまで時間がかかります。雷鳴が聞こえる、積乱雲が急速に発達する、空が暗くなるといった変化があれば、予定を短縮してください。
霧の五合目は幻想的です。
けれど、美しさと安全は別の物差しで測らなければなりません。写真をもう一枚撮るために滞在を延ばすより、身体が乾いているうちに戻る方がよい判断です。
6月に富士山を見る旅行計画はどう組む?
早朝の富士山観賞を最優先にし、見えない時間には屋内観光や食事へ切り替えられる計画が向いています。
6月は、晴れ予報の日だけを選ぶより、現地で予定の順番を変えられることが重要です。
富士山を眺める代表的な候補には、河口湖の大石公園や北岸、山中湖周辺、富士吉田市、朝霧高原、富士宮市、富士市などがあります。
同じ富士山周辺でも、湖岸の向き、風向、雲底の高さによって見え方は変わります。
雨の日の代替案を最初から決めておく
梅雨の旅行で避けたいのは、富士山が見えないまま展望地を転々とすることです。
山全体が厚い雲に覆われている時間は、美術館、博物館、温泉、食事、屋内の文化施設へ切り替えましょう。
一日の組み方は、次のようにすると動きやすくなります。
- 早朝:ライブカメラを確認し、湖畔や展望地へ向かう
- 午前中:雲が増えたら花の名所や周辺観光へ移る
- 雨の時間:屋内施設、温泉、食事を楽しむ
- 雨上がり:北麓と南麓のライブカメラを再確認する
- 夕方:天候と交通状況に余裕があれば展望地へ戻る
この組み方なら、富士山が見えない時間も「失敗」にはなりません。
雨に濡れた森、湖面を流れる霧、雲の隙間から一瞬だけ見える残雪も、6月にしか出会えない風景です。
逆さ富士を狙う場合は、山頂が見えるだけでなく、湖面の風が弱い必要があります。
雨上がりに空気が澄み、風が止まることもありますが、その状態が長く続くとは限りません。三脚やカメラの準備に夢中になり、濡れた湖岸で足元を滑らせないよう注意してください。
6月の富士山を安全に楽しむための考察
ここからは、富士山の自然と登山環境を見てきた僕の私見です。
6月の富士山を「夏山シーズンの少し前」とだけ捉えると、この山が持つ二つの顔を見落とします。
河口湖では木々が濃い緑をまとい、晴れ間には初夏の光が湖面へ落ちます。
しかし、その視線の先にある山頂では、旬平均の最低気温が下旬でも0℃付近です。上旬には氷点下が平常で、古い統計ながら厚い残雪が記録されています。
つまり、6月の富士山は、麓で夏が始まりながら、山頂では冬が退き切っていない山なのです。
この季節の難しさは、気温だけではありません。
登山道の整備状況、道路の通行可否、バスの運行、山小屋や救護所の供用期間、トイレの利用状況が、開山後と異なります。
気温が上がったことと、安全に登れるようになったことは同じではありません。
雪が少なく見えても、硬い残雪が一か所あるだけで滑落の危険は生まれます。日が長くても、濃霧で道標が見えなければ前へ進めません。
僕は6月の富士山では、「山頂まで行けるか」と考えるより、今日はどの高さまでなら安全に自然を見られるかと考える方がふさわしいと思っています。
湖畔から残雪を見上げる。
道路と天候の条件が整った日に五合目を訪れ、雲と風を観察する。
山麓の森を歩き、冬から夏へ変わる山全体を眺める。
登頂しなくても、富士山の本質へ近づくことはできます。
むしろ、閉鎖区間へ入らず、悪天候なら予定を変え、山が見えない時間まで受け入れる姿勢にこそ、自然への敬意が表れます。
山頂に立つことだけが、富士山との正しい出会いではありません。
引き返すことも、待つことも、遠くから見上げることも、この山と長く付き合うための大切な選択です。
本記事では、平年の気候について気象庁「過去の気象データ検索」の河口湖・富士山観測値、2026年の梅雨について気象庁「令和8年の梅雨入りと梅雨明け(速報値)」を使用しました。
開山期間と施設の供用期間は富士登山オフィシャルサイト、道路と登山道の情報は山梨県および静岡県の公式発表を参照し、2026年8月5日に確認しています。平年値、旧観測統計、2026年速報値、標高差による推定、筆者の経験則は、それぞれ性質が異なる情報として区別しました。
まとめ
6月の富士山は、河口湖などの麓では梅雨の初夏ですが、標高3,776メートルの山頂には氷点下、強風、残雪が残ります。
河口湖の6月平年値は平均17.8℃、日最高23.0℃、日最低13.7℃、月降水量157.1ミリです。山頂の平均気温は1.4℃、日最低気温の平均はマイナス1.4℃となっています。
月末へ向かって気温は上がるものの、山頂の旬平均気温は上旬マイナス0.4℃、中旬1.7℃、下旬2.9℃です。下旬でも夏山と同じ環境ではありません。
2026年は吉田・須走ルートが7月1日、富士宮・御殿場ルートとお鉢巡りが7月10日に開山しました。6月中は、開通した夏山登山道を利用して山頂へ登れる時期ではありませんでした。
湖畔では薄手の上着と雨具、五合目では防風・防水ジャケット、中間着、長ズボン、滑りにくい靴を用意してください。
富士山を見るなら早朝を第一候補にし、雨雲、雷、道路、バス、ライブカメラを出発前に確認しましょう。
6月の富士山は、裾野に初夏を広げながら、山頂に冬の記憶を残しています。
雲に隠れる姿も、雨に濡れる森も、季節を越えようとする富士の物語なのです。
よくある質問
6月に富士山の山頂まで登れますか?
一般向けの夏山登山道は開山前です。2026年は吉田・須走ルートが7月1日、富士宮・御殿場ルートとお鉢巡りが7月10日に開通しました。6月は閉鎖区間へ入らず、道路と天候を確認したうえで麓や利用可能な五合目を観光してください。
6月上旬と下旬では、富士山の寒さは違いますか?
違います。山頂の旬平均気温は上旬マイナス0.4℃、中旬1.7℃、下旬2.9℃です。ただし、下旬でも最低気温は0℃付近で、残雪や強風が残る可能性があります。
6月の河口湖ではどのような服装が適していますか?
半袖または薄手の長袖を基本に、カーディガンや軽量ジャケット、雨具を用意しましょう。晴れた昼は暖かくても、朝晩や雨の日は冷えるため、脱ぎ着できる重ね着が適しています。
6月に富士山五合目まで行けますか?
道路の冬季閉鎖が解除され、天候による通行規制がなければ行ける場合があります。ただし、道路の開通、バスの運行、五合目より上の登山道開通は別々の情報です。利用日の直前に道路管理者と交通事業者の最新情報を確認してください。
6月は富士山が見えにくいですか?
梅雨のため曇りや雨の日が増え、山頂は雲に隠れやすくなります。ただし、一日中見えないとは限りません。早朝を第一候補にし、北麓と南麓のライブカメラや雨雲の動きを確認すると判断しやすくなります。
神楽 岳志
登山エッセイスト|富士山研究家|自然体験ストーリーテラー
富士登山の準備で迷いやすいのが、「本当にこの装備を全部買う必要があるのか」という問題です。
頻繁に山へ行く人と、まずは富士山に挑戦したい人では、合理的な揃え方も変わります。
大切なのは、費用だけで決めるのではなく、安全性や使う頻度まで含めて考えること。
購入とレンタルの違いが分かれば、自分に必要な装備もかなり整理しやすくなります。
富士登山の装備レンタルをどう使えばいいのか、詳しくはこちらの記事で確認できます。
全部読む必要はありません。気になるところだけ拾い読みしてみてください。


コメント