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富士山噴火のマグマとメカニズム|なぜ噴火するのかを解説

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富士山地下の深部マグマだまりから山腹へマグマが上昇する仕組みを示した断面図 自然と科学

富士山の地下にマグマだまりがあっても、それだけで噴火直前とは判断できず、複数の観測が必要です。

噴火を左右するのは、マグマの量だけではありません。供給速度、火山ガス、上昇経路、火道の状態などが重なり、岩盤を破って地表へ到達したときに噴火が始まります。

富士山のマグマだまりが「満杯」とはどういう意味?

「マグマだまりが満杯」という表現は、噴火までの残量を示す科学的な目盛りではありません。

地下に巨大な容器があり、マグマが縁まで達した瞬間にあふれる――。そう想像すると分かりやすい反面、実際の地下構造とは異なる印象を与えます。

マグマだまりは、液体のマグマだけが蓄えられた空洞ではありません。地下の高温な領域に、結晶、溶けた岩石、周囲の固い岩石、火山ガスなどが混在していると考えられています。

新しいマグマが下から供給されても、そのまま地表へ上昇するとは限りません。地下で冷えて固まることもあれば、周囲の岩石と反応したり、別の深さへ移動したりすることもあります。

つまり、「マグマが存在する」という情報と、「噴火へ向けた変化が進んでいる」という情報は分けて考えなければなりません。

2025年の公開講演情報を一次根拠にしない理由

富士山のマグマだまりをめぐっては、山梨県富士山科学研究所の吉本充宏氏が2025年の公開講演で説明したとする情報があります。

しかし、本稿で確認できた範囲では、講演名、開催日、会場、主催者、公開資料、発言の全文を一つの一次資料として照合できませんでした。

そのため、「マグマだまりが一杯でも直ちに噴火するとは限らない」という趣旨を、吉本氏の逐語的な発言としては扱いません。発言を切り取ってニュースのように紹介するのではなく、公的な地質資料と火山観測の原則から検証します。

科学解説では、誰が語ったかと同じくらい、どの資料で、どこまで確認できるかが重要です。不明な部分を想像で埋めれば、火山に対する不要な恐怖や油断を生みかねません。

本稿で基礎資料とする公的情報

地下構造や過去の噴火を整理するうえでは、主に次の公的資料が基礎になります。

  • 産業技術総合研究所・地質調査総合センター「富士火山地質図(第2版)」(2016年)
  • 気象庁「富士山」の火山観測・活動解説資料
  • 富士山火山防災対策協議会「富士山ハザードマップ(改定版)」(2021年)
  • 富士山火山防災対策協議会「富士山火山避難基本計画」(2023年)
  • 歴史記録と噴出物を照合した産業技術総合研究所などの宝永噴火・貞観噴火研究

地下のマグマだまりは直接目で見たものではなく、地震波、震源分布、地殻変動、噴出物の化学組成などから推定された存在です。したがって、深さや形状には幅があり、将来の研究によって理解が更新される可能性があります。

僕は、この不確実性を「何も分からない」とは考えません。分かっている範囲と、まだ推定にとどまる範囲を分けることこそ、富士山防災の土台になります。


富士山はなぜ噴火する?マグマ生成から噴火までの仕組み

富士山は、沈み込む海洋プレートの影響で生まれたマグマが地下を上昇し、火山ガスとともに岩盤を破ることで噴火します。

ただし、マグマの生成から噴火までは一本の管で直結しているわけではありません。地下での滞留、移動、冷却、混合を経て、条件がそろった一部のマグマだけが地表へ到達します。

プレートの沈み込みがマグマを生む

富士山は、フィリピン海プレート、太平洋プレート、陸側のプレートが関係する複雑な地域に位置しています。

海洋プレートが地下深くへ沈み込むと、プレートに含まれていた水などの成分が上部のマントルへ放出されます。その影響で岩石の融点が下がり、一部が溶けてマグマのもとができます。

富士山周辺の地下構造は立体的であり、「3枚のプレートが富士山直下の一点でぶつかっている」と平面図だけで説明するのは正確ではありません。陸側プレートの区分を含め、研究上も複数の見方があります。

一般向けには、次の流れで捉えると理解しやすいでしょう。

  • 海洋プレートが地下深くへ沈み込む
  • 水などの成分が上部のマントルへ移る
  • マントルの岩石が部分的に溶ける
  • 生まれたマグマが密度差などによって上昇する
  • 地下の高温領域に滞留し、冷却や混合を繰り返す
  • マグマと火山ガスの圧力が岩盤の強度を超える
  • 亀裂が火道として地表へつながると噴火が始まる

この流れの途中では、進行が止まる場合もあります。マグマが地下で動いた形跡があっても、必ず噴火へ至るわけではないのはそのためです。

深部マグマだまりは地下約20キロ前後と推定される

産業技術総合研究所の富士山に関する地質・地下構造の解説では、地下約15キロ付近で深部低周波地震が発生し、その下の地下約20キロ前後に比較的安定した深部マグマだまりがあると考えられています。

深部低周波地震とは、岩盤が瞬間的に割れる通常の地震より低い周波数成分を含み、マグマや火山ガスなどの流体活動と関係する場合がある地震です。

ただし、「深さ20キロに球形のタンクがある」という意味ではありません。マグマを含む領域の深さ、厚さ、つながり方は、観測データから幅を持って推定されています。

さらに、深部マグマだまりから山頂まで一本の火道が常時開いているわけでもありません。新たなマグマが上昇する際には、岩盤の弱い部分へ入り込み、板状の貫入岩体をつくりながら進むことがあります。

火山ガスはなぜ噴火を激しくするのか

地下深くでは圧力が高いため、水や二酸化炭素などの揮発性成分がマグマに溶け込んでいます。

マグマが浅い場所へ上がると周囲の圧力が下がり、溶けていた成分が気泡として分離します。炭酸飲料の栓を開けたときに気泡が生まれる現象と似ていますが、火山では高温のマグマと厚い岩盤の内部で起こります。

気泡が増えて膨張すると、マグマ全体の体積と浮力が大きくなります。圧力が岩盤の強度を超えれば、新しい亀裂が生まれ、マグマがさらに浅部へ進みます。

一方、火山ガスが比較的抜けやすければ、流動性の高い溶岩として地表へ流れ出る場合があります。反対に、ガスが逃げにくい状態で急激に膨張すれば、マグマが細かく砕かれ、爆発的な噴火になり得ます。

噴火の激しさは、マグマの量だけでなく、ガスをどの程度逃がせるかにも左右されるのです。

※画像はAIによるイメージ

富士山の玄武岩質マグマでも爆発的噴火が起きる?

富士山のマグマは玄武岩質が主体ですが、流れやすい玄武岩質だからといって、穏やかな溶岩流だけが起きるわけではありません。

玄武岩質マグマは、一般に二酸化ケイ素の割合が比較的低く、粘り気も低い性質を持ちます。そのため、溶岩噴泉や長い距離を進む溶岩流を生じることがあります。

しかし、噴火様式を決める条件はマグマの組成だけではありません。

  • マグマに含まれる火山ガスの量
  • マグマが上昇する速さ
  • 火道の途中でガスが抜けるかどうか
  • 固まった岩石などが火道を塞いでいるか
  • 地下水や地表水と接触するか
  • 温度や組成の異なるマグマが混合するか
  • 火口が開く場所の地質や地形

こうした条件が重なると、玄武岩質マグマでも強い爆発を起こします。ガスの急膨張によってマグマが破砕されれば、細かな粒子は火山灰となり、噴煙と風に運ばれて遠方まで広がります。

「玄武岩質だから安全」「粘り気が低いから爆発しない」という説明は、富士山の過去の噴火とは一致しません。

現地の溶岩と噴出物が示す違い

僕が青木ヶ原の指定された歩道周辺で溶岩地形を観察したとき、目についたのは一枚岩のような平らな地面ではありませんでした。

表面が波打つように固まった部分、流動中にできた割れ目、樹木を包み込んだ溶岩が冷えた後に残した樹型など、溶岩が動きながら固まった痕跡が地形に刻まれています。これは、流動性のあるマグマが地表を覆った噴火の姿を具体的に伝えます。

一方、宝永火口周辺では、地層の色や粒の違いから、噴火中に放出された物質が変化したことを読み取れます。宝永噴火初期には白色の軽石が放出され、その後は黒色を帯びたスコリアなど玄武岩質の噴出物が主体になりました。

現地観察は、公的資料の代わりにはなりません。しかし、地質図で示された噴火の推移を、粒の大きさ、色、堆積の重なりとして確かめられる点に価値があります。

なお、溶岩洞穴や崩れやすい火口斜面へ無断で入るのは危険です。観察は立入規制と登山道のルールに従う必要があります。


貞観噴火と宝永噴火はマグマの現れ方がどう違った?

結論からいえば、864年の貞観噴火は溶岩流主体、1707年の宝永噴火は爆発と降灰主体でした。

同じ富士山でも、火口の位置、マグマからガスが抜ける過程、噴出物、被害の広がり方は異なります。

DREは「Dense Rock Equivalent」の略で、軽石や火山灰の隙間を除き、噴出物を元の緻密なマグマの体積へ換算した値です。地表に積もった噴出物の見掛け体積とは一致しません。

比較項目 864年の貞観噴火 1707年の宝永噴火
開始時期 864年6月 1707年12月16日
主な火口 富士山北西山腹 南東山腹の第一~第三宝永火口
主な現象 大量の溶岩流 爆発的噴火と広域降灰
推定噴出量 DRE約1.2立方キロメートル DRE約0.7立方キロメートル
地形・社会への影響 青木ヶ原溶岩が広域を覆った 東側地域から江戸方面まで火山灰が到達した
防災上の焦点 溶岩流の進路と道路の寸断 降灰による交通・電力・物流への影響

噴出量は地質調査による推定値であり、調査範囲や換算方法によって見直される可能性があります。数字だけでなく、どの現象として噴出したかを見ることが重要です。

貞観噴火は北西山腹から溶岩を流した

864年6月に始まった貞観噴火では、富士山北西山腹の割れ目火口から玄武岩質溶岩が大量に流出しました。

産業技術総合研究所「富士火山地質図(第2版)」などでは、噴出したマグマ量はDRE換算で約1.2立方キロメートルと推定されています。

青木ヶ原溶岩は北西麓の広い範囲を覆い、現在の青木ヶ原樹海の地盤をつくりました。当時「せの海」と呼ばれた湖にも流れ込み、その水域の変化が現在の西湖と精進湖の成立に関係したと考えられています。

溶岩流は地形の低い方向へ進みます。流下速度は斜面の傾き、噴出率、温度、火口からの距離などによって変わるため、「常に人より速い」「必ずゆっくり進む」のどちらとも一律にはいえません。

たとえ人が先に避難できても、溶岩が道路、電力設備、住宅地、農地を覆えば、生活基盤の復旧には長い時間がかかります。溶岩流の危険は、接近時の熱だけではありません。

宝永噴火は火山灰を遠方まで運んだ

宝永噴火は1707年12月16日に富士山南東山腹で始まり、第一、第二、第三宝永火口を形成しました。

噴火初期には、富士山では珍しい珪長質マグマに由来する白色軽石が少量放出され、その後は玄武岩質の噴出物が主体となりました。異なる性質のマグマが地下に存在し、その移動や相互作用が噴火の推移に関係した可能性が研究されています。

噴出量はDRE換算で約0.7立方キロメートルと推定され、噴火は約16日間続きました。1708年1月1日未明に終息したとする歴史記録があります。

火山灰は東側へ広く運ばれ、江戸にも到達しました。地点ごとの堆積量には、史料、測定地点、堆積後の圧密や再移動、推定方法による幅があるため、一つの数字だけを全域へ当てはめることはできません。

火山灰は、燃えた木や紙の灰ではなく、マグマや岩石が細かく砕けた粒子です。視界不良、道路のスリップ、鉄道や航空の運休、車両や機械への侵入、停電、物流の停滞など、火口から離れた都市にも複合的な影響を与えます。

※画像はAIによるイメージ

富士山の火口は山頂だけではない

富士山噴火という言葉から、山頂火口から噴煙が上がる姿を想像する人は少なくありません。

しかし、富士山では山腹に多数の側火口と噴火割れ目が分布しています。貞観噴火も宝永噴火も山頂噴火ではありませんでした。

「富士火山地質図(第2版)」では、側火口が山頂を挟む北西―南東方向に多く分布することが示されています。2021年に改定された富士山ハザードマップも、地質調査で新たに確認された火口などを踏まえて想定火口範囲を見直しています。

これは、次の火口位置を確定したという意味ではありません。過去の地質記録から、山頂だけを警戒対象にしてはならないことを示したものです。

僕が宝永火口の縁から山麓を見下ろしたとき、噴火規模と同じくらい火口位置が重要だと実感しました。開口する斜面が変われば、溶岩の進路、噴石の影響範囲、避難に使える道路も変わるからです。


マグマの動きから富士山噴火を予測できる?

マグマの移動に伴う変化を捉えられる可能性はありますが、噴火の日時、規模、火口位置、噴火様式を同時に正確に予測することはできません。

観測機関は、一種類のデータで判断せず、複数の現象が時間的・空間的に連動しているかを評価します。

主な観測項目は次のとおりです。

  • 火山性地震の回数、規模、震源の深さ
  • 深部低周波地震の発生状況
  • 火山性微動の有無と継続時間
  • GNSSや傾斜計で捉える地殻変動
  • 火山ガスの成分と放出量
  • 地温や噴気など地熱活動の変化
  • 衛星やカメラによる地表面の観測

例えば、地震が増えただけでは、マグマが地表へ向かっているとは断定できません。地震の震源が浅部へ移る、山体が膨張する、火山ガスに変化が現れるといった複数の現象がそろうかどうかが重要です。

2000~2001年の深部低周波地震は噴火に至らなかった

富士山では、2000年秋から2001年初夏にかけて深部低周波地震が一時的に増加しました。

この活動は地下の流体活動を考える重要な観測事例ですが、噴火には至っていません。

だからといって、深部低周波地震を無視してよいわけではありません。この事例が示すのは、低周波地震の増加だけでは噴火の開始を判定できないということです。

観測値には、「異常を見逃さないための手掛かり」としての役割があります。一方で、一つの数値を噴火時刻へ直接置き換えることはできません。

宝永噴火と巨大地震の関係は断定できない

1707年10月28日、宝永東海・南海地震と呼ばれる巨大地震が発生しました。その49日後の12月16日に、富士山の宝永噴火が始まっています。

歴史記録には、噴火前に富士山周辺で地震や鳴動が増えたことが記されています。12月15日には地震活動が活発になり、翌16日に噴火が始まったと整理されています。

ただし、時間的に近いからといって、「巨大地震が起きれば49日後に富士山が噴火する」という周期や法則があるわけではありません。ほかの巨大地震の後に、同じような富士山噴火が毎回起きた事実もありません。

地下のマグマ系が噴火しやすい状態にある場合、巨大地震による応力変化が引き金の一つになる可能性は研究されています。しかし、地震の発生だけから富士山噴火の有無や時期を予測することはできません。

現代観測下で富士山の噴火事例がない

富士山噴火予測の大きな難しさは、近代的な観測網が整備されてから噴火に至った事例がないことです。

地震計、傾斜計、GNSSなどが、富士山のマグマ上昇から噴火開始までを連続して記録したデータは存在しません。

ほかの火山で観測された前兆は重要な参考になりますが、地下構造、マグマの性質、火道の位置は火山ごとに異なります。他火山の前兆が、富士山でも同じ順序、同じ期間、同じ大きさで現れるとは限りません。

筆者としては、これは観測網の価値を否定する話ではなく、観測結果の解釈に幅を持たせるべき理由だと考えます。単発の地震や刺激的な言葉ではなく、気象庁などが継続的に示す総合評価を確認する姿勢が欠かせません。


富士山のマグマだまりを防災にどう結び付ける?

マグマだまりの存在を知る目的は、噴火日を当てることではなく、観測された変化を適切な防災行動へ結び付けることです。

富士山では、溶岩流、噴石、火砕流、融雪型火山泥流、降灰など、性質の異なる現象が想定されます。必要な行動は、火口位置と発生する現象によって変わります。

2023年の「富士山火山避難基本計画」では、噴火警戒レベル、想定火口範囲、溶岩流の到達可能性などを踏まえ、地域や対象者に応じた段階的な避難が整理されています。

ここで注意したいのは、公的計画の説明と筆者の提言を混同しないことです。以下は、過去の噴火と現行資料を踏まえた僕自身の見解です。

第一に、家庭の備えを「山頂が噴火した場合」だけに限定しないことです。自宅や職場が、どの斜面と河川、幹線道路、鉄道路線につながっているかを確認するほうが実践的です。

第二に、溶岩流と降灰を同じ災害として扱わないことです。溶岩流では早めの地域避難と道路確保が重要になりますが、遠方の降灰では屋内への灰の侵入対策、飲料水、食料、薬、停電や物流停止への備えが中心になります。

第三に、火山情報を一度見て終わりにしないことです。マグマの移動方向や活動評価は更新される可能性があるため、気象庁、自治体、富士山火山防災対策協議会などの最新情報を継続して確認する必要があります。

噴火規模が小さければ、必ず被害も小さいとは限りません。小規模でも火口が住宅地や重要道路に近ければ、地域への影響は大きくなります。

反対に、人が溶岩流から避難できても、道路、鉄道、電力、通信、物流が長期間止まれば、火口から遠い地域の生活にも影響します。危険度は噴出量だけでなく、火口位置と社会基盤との重なりで決まるというのが、過去の噴火から得られる重要な視点です。

富士山の整った円錐形は、地下構造まで単純であることを意味しません。見えない地下を恐怖や楽観で埋めず、観測と地質記録から読み解くことが、火山と暮らすための現実的な態度だと僕は考えています。


まとめ

富士山は、プレートの沈み込みに関係して生まれたマグマが地下を上昇し、膨張する火山ガスとともに岩盤を破ることで噴火します。

地下約15キロ付近では深部低周波地震が発生し、その下の約20キロ前後には深部マグマだまりがあると推定されています。ただし、マグマだまりは単純な容器ではなく、その存在だけで噴火直前とは判断できません。

864年の貞観噴火は北西山腹からの溶岩流が主体で、1707年の宝永噴火は南東山腹からの爆発的噴火と広域降灰が主体でした。この違いは、富士山が玄武岩質主体でも多様な噴火を起こすことを示しています。

噴火の評価には、地震、地殻変動、火山性微動、火山ガス、地熱など複数の観測が必要です。マグマの量だけでなく、上昇速度、ガスの抜け方、火道の状態、火口位置まで見なければなりません。

マグマだまりを「満杯か空か」で捉えるより、地下で変化が始まっているかを継続的に見る。その視点が、富士山への過度な恐怖と根拠のない安心の両方を遠ざけます。


よくある質問

富士山のマグマだまりは地下何キロにありますか?

公的な地質・観測資料では、比較的安定した深部マグマだまりは地下約20キロ前後にあると考えられています。その上の地下約15キロ付近では、流体活動に関係する可能性がある深部低周波地震が発生しています。

マグマだまりが満杯になると富士山は噴火しますか?

「満杯」は噴火までの残量を示す正式な観測指標ではありません。噴火の可能性は、火山性地震、震源の移動、地殻変動、火山性微動、火山ガスなどを総合して評価します。

富士山の玄武岩質マグマは爆発しにくいのですか?

玄武岩質マグマは比較的流動性が高いものの、火山ガスが急膨張したり、火道が塞がれたりすれば爆発的噴火を起こします。1707年の宝永噴火は、富士山が広域降灰を伴う爆発的噴火を起こし得ることを示す代表例です。

富士山の地下を完全に見通すことはできません。それでも、分かっている事実と推定、そして未解明な部分を分けて伝えることで、次の情報を冷静に受け止める準備はできます。

執筆:神楽 岳志(登山エッセイスト|富士山研究家|自然体験ストーリーテラー)

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