富士山周辺の東横インは「東横INN新富士駅南口」(静岡)と「東横INN富士河口湖大橋」(山梨)の2店舗のみであり、新幹線移動なら新富士、湖畔観光なら河口湖を選ぶのが最適です。
観光の玄関口として誤解されやすい富士急行線「富士山駅」の駅前には東横インが存在しないため、駅名の思い込みによる誤予約に十分注意しなければなりません。
さらに2026年8月には、東横INN新富士駅南口の無料シャトルバス「吉原便」が廃止され、在来線・富士駅を結ぶ夕方便の特定日運休が導入されるなど、二次交通のアクセス事情に大きな変化が生じました。
幼少期から富士山麓を歩き、火山地質学の研究や山岳ガイドの経験を重ねてきた筆者(神楽 岳志)が、2大拠点の詳細スペック、ダイヤ改正の実態と代替ルート、そして混雑期を攻略する予約手順を徹底解説します。
富士山を眺めながら過ごせるグランピングは、施設によって景色も過ごし方もかなり違います。
「どこを選べばいい?」と迷ったら、富士山周辺のグランピング選びをまとめた記事を先に見ておくとイメージしやすいです。
富士山駅前に東横インはある?2大拠点の所在地と失敗しない選び方
富士急行線「富士山駅」の駅前および周辺エリアには、東横インの出店はありません。
富士山周辺で営業している東横インは、静岡県富士市の「東横INN新富士駅南口」と、山梨県南都留郡富士河口湖町の「東横INN富士河口湖大橋」の2拠点に限定されます。
東海道新幹線を利用して富士宮口ルート登山や静岡側の製紙・工業地帯へ向かう場合は「新富士駅南口」の一択です。
一方で、中央線や高速バスを利用して富士五湖の観光地を巡る方、あるいは吉田ルートで富士登山を目指す方には「富士河口湖大橋」が適しています。
「富士山の近くにあるホテル」と大雑把に検索して予約してしまうと、山を挟んで反対側の県へ案内されてしまう深刻な旅程ミスに直結するため、起点の交通機関に合わせた正確な選定が必要です。
2026年8月実施の新富士駅南口「シャトル便ダイヤ改正」と利用者への影響
東横INN新富士駅南口は、2026年8月1日付で運行管理の合理化と運行体制の見直しを理由に、無料送迎シャトルカーのダイヤを大幅に改編しました。
今回の改編における最大の変更点は、富士市中心街や工業地域方面を結んでいた「吉原便」の完全廃止です。
出張などで吉原地区の事業所へ直接アクセスしていたビジネス層は、市街地路線バスやタクシーへの切り替えが余儀なくされています。
さらに、JR在来線の東海道本線富士駅とホテル間をピストン運行していた「夕方富士便」についても、土曜日や連休の中日といった特定日を対象とする計画運休が制度化されました。
ホテルは東海道新幹線の新富士駅南口からは徒歩1分という至近距離にありますが、JR富士駅からは北西へ約2km(徒歩で約25分)離れています。
夕方の送迎運休日に富士駅へ降り立った場合、富士急静岡バスの一般路線を利用するか、片道およそ1,000円〜1,200円程度のタクシー移動が必須となります。
在来線経由で夜間にチェックインを予定している登山者やビジネス客は、事前に当日の運行該当日を公式アナウンスで照合しておかないと、移動の足を見失うリスクがあります。
東横INN新富士駅南口の施設概要とトレインビューの魅力
東横INN新富士駅南口は、新富士駅の南口ロータリーを出てすぐの場所に位置する、静岡県東部でも指折りの客室数を備えた大型ビジネスホテルです。
高層階の北側客室の窓からは、富士山南麓の雄大な裾野と東海道新幹線の高架橋が交差する、迫力ある「トレインビュー」を間近に楽しむことができます。
客室設備には高速無料Wi-Fiや機能的なライティングデスクに加え、旅の疲労を優しく解きほぐすレインシャワーが導入されています。
チェックインは15:00から、チェックアウトは10:00までとなっており、館内には自動チェックイン機やセルフクローク(無料手荷物預かり機)が設置され、出発前後の導線も極めて円滑です。
駐車場は敷地内の平置き区画と提携スペースを合わせて計125台分(普通車1泊800円・先着順)が確保されており、EV(電気自動車)専用充電スタンドも整備されています。
レンタカーや自家用車で富士南麓の白糸の滝や朝霧高原方面を巡るドライブ旅行にとっても、確実性の高い活動拠点となります。

せっかく富士山の近くまで行くなら、「泊まる場所」そのものも旅の楽しみにしたいところです。
実は富士山周辺には、景色を楽しむ施設、食事を楽しむ施設、プライベート感を重視した施設など、選択肢があります。
何を基準に比べればいいのか、富士山グランピングの特徴と選び方をこちらの記事でまとめました。
候補を探し始める前に、ざっと目を通しておくだけでも選びやすくなります。
東横INN富士河口湖大橋のアクセスと北麓観光ハブとしての強み
山梨県側の富士五湖エリアに位置する東横INN富士河口湖大橋は、富士北麓のリゾート観光やアクティビティのベースキャンプとして国内外から高い支持を集めています。
最寄り駅である富士急行線河口湖駅からは徒歩約15分ですが、駅とホテルを結ぶ専用の無料送迎バスが定刻運行されており、重い荷物を抱えた移動でも安心です。
河口湖大橋の南詰という立地に恵まれているため、早朝の澄んだ空気の中で逆さ富士を望む湖畔散策へ、徒歩数分で気軽に出発できます。
近年急増する外国人観光客の受け入れ体制も整っており、フロントでの多言語案内やガイダンス表記が徹底されています。
また、高齢者や車椅子利用者に配慮した段差のないバリアフリールーム「ハートフルルーム®B」が設置されている点も、多世代旅行において頼もしい要素です。
夏山登山期間中にマイカー規制が敷かれる吉田ルートでは、シャトルバスの発着場となる富士山パーキング(山梨県立富士北麓駐車場)へ車で約10分という好位置にあり、前泊拠点としての利便性は群を抜いています。
無料朝食サービスの全容:6:30スタートの和洋ビュッフェ
東横インの看板サービスである無料朝食は、両拠点ともに毎朝6:30から9:00までバイキング形式で提供されています。
朝6:30からのスタート設定は、東京方面へ向かう始発の新幹線を利用するビジネスパーソンや、混雑前の富士五湖周辺道路を抜け出したい旅行者にとって極めて実用的な時間配分です。
新富士駅南口では、ふっくら炊き上げた白米や出汁の香るお味噌汁、季節のお惣菜を中心とした和風のおかずがずらりと並びます。
一方の富士河口湖大橋では、店内のオーブンで焼き上げるサクサクのクロワッサンやペストリー類など、洋食メニューの選択肢も豊富に揃えられています。
チェックアウト前に手早く、しかも無料で確実なエネルギー補給ができるため、観光地特有の朝食難民になる心配や外食費の出費をスマートに抑えられます。
【スペック比較】東横INN新富士駅南口 vs 東横INN富士河口湖大橋
富士山周辺に位置する2大拠点の設備諸元、交通アクセス、サービス特性の違いを以下の比較表にまとめました。
比較項目 東横INN新富士駅南口 東横INN富士河口湖大橋
所在地 静岡県富士市柳島310-1 山梨県南都留郡富士河口湖町船津294-1
最寄り駅・徒歩 JR東海道新幹線 新富士駅南口 徒歩1分 富士急行線 河口湖駅 徒歩約15分
送迎サービス あり(吉原便廃止・夕方富士便特定日運休) あり(河口湖駅〜ホテル間 定期無料送迎)
客室の景観特徴 新幹線トレインビュー&富士山南麓 河口湖畔近接・富士山北麓パノラマ
駐車場スペック 平置き中心125台(800円/泊・EV充電あり) 敷地内平置き完備(普通車無料・先着順)
無料朝食時間 6:30〜9:00(和食中心ビュッフェ) 6:30〜9:00(焼きたてパン・和洋食)
チェックイン/アウト 15:00 / 10:00(自動機・セルフロッカー有) 15:00 / 10:00(多言語対応・セルフクローク有)
主なターゲット 出張ビジネス層、新幹線利用者、富士宮口登山者 富士五湖観光客、インバウンド、吉田口登山者
新幹線を用いたスピード重視の出張や富士宮口登山なら新富士駅南口、湖畔の景観美やリゾート散策をゆったり味わうなら富士河口湖大橋を選ぶのが確実です。
周辺ホテルとの競合比較:ルートインやくれたけインに対する優位性
富士山エリアのビジネスホテル市場において、東横インは他社競合チェーンと比較しても際立ったコストパフォーマンスを発揮しています。
例えば新富士駅および富士駅周辺には、「ホテルルートイン新富士駅南口」や「くれたけイン富士山」などが店舗を展開しています。
ルートインは大浴場を完備しており、足を伸ばして旅の湯浴みを楽しめる点に優位性がありますが、1名あたりの平均宿泊相場は東横インより1,500円〜3,000円ほど高く推移する傾向があります。
一方の東横インは、大浴場こそ設けていないものの、全客室に微細な水流で身体を包むレインシャワーを配備し、新富士駅徒歩1分という圧倒的な立地とブレのない低価格を維持しています。
「大浴場で過ごす時間よりも、チェックアウト直前まで部屋で体を休め、駅へ直結する速さと宿泊費の節約を最優先したい」という合理的な旅行者にとって、東横インは最も無駄のない選択肢です。

激戦期を制する東横インの予約テクニックと部屋選びの注意点
富士山の開山期間となる7月上旬から9月上旬、秋の紅葉シーズン、そして空気が澄み渡る冬の週末は、予約開始直後から瞬く間に満室となります。
激戦となる日程で希望の客室を確保するためには、公式予約システムを味方につけた段取りが欠かせません。
第一の鉄則は、「東横INNクラブカード」への事前入会と先行予約枠の活用です。
会員は一般予約よりも早い段階で受付が開始されるため、週末の登山計画や紅葉狩りのハイシーズンでも、争奪戦の先頭に立って部屋を押さえることができます。
第二の狙い目は、宿泊日の3日前から前日にかけて公式ウェブサイト上で発生する「直前キャンセル枠」の回収です。
山岳・リゾートエリアの旅行者は週間天気予報の推移を見て計画を柔軟に変更するため、満室表示が続いていても直前48時間でポツポツと空室が戻ってくるケースが珍しくありません。
第三に、予約時の通信欄(備考欄)を通じたリクエストの出し方です。
静かな就寝環境を希望するなら「エレベーターから離れた部屋」、景観を楽しみたいなら「トレインビュー希望」と添えることで、当日の部屋割りにおいて可能な範囲で配慮されることがあります。
ただし、これらのリクエストは確約されるものではなく、当日の混雑状況や部屋タイプによって希望に添えない場合があるため、あくまでホテル側の善意の調整範囲として捉え、無理な指定や過度な要望は避けましょう。
専門家視点:二次交通の動向から読み解く拠点戦略
長年にわたり富士山の自然環境や登山動線を定点観測してきた専門家として分析すると、近年の富士山麓における宿泊戦略は「二次交通の自衛」が最大の成否を分けます。
全国的なバス運転手不足に端を発する地域公共交通の減便・路線廃止は、リゾート地や駅周辺ホテルの無料送迎サービスにもダイレクトに波及しています。
新富士駅南口における吉原便の廃止や夕方便の特定日運休は、まさに地方交通インフラの構造変化を象徴する出来事です。
「駅前のホテルだから現地に着けばどうにでもなる」と安易に構えず、在来線利用者はあらかじめタクシー代(片道約1,000円強)を予備費として計上しておく慎重さが求められます。
新富士駅南口を富士宮口登山の前泊拠点にする場合は、早朝に新富士駅北口から発着する富士急静岡バスの登山バスダイヤを起点として、逆算で朝食やチェックアウトの時刻を組み立てるのがセオリーです。
一方、富士河口湖大橋を拠点にするなら、日中のレトロバスや周遊道路の混雑を避けるため、早朝6:30の朝食開始と同時に身支度を終えてチェックアウトする時間管理が快適な旅の鍵を握ります。
交通環境の変化を正確に把握し、無理のない移動計画を立てることこそが、安全で思い出深い富士山滞在を実現する揺るぎない土台となります。
よくある質問
富士急行線の富士山駅周辺に東横インはありますか?
富士急行線「富士山駅」の周辺には東横インはありません。富士急行線沿線で東横インを利用したい場合は、2駅隣の「東横INN富士河口湖大橋」(河口湖駅が最寄り)を予約してください。
新富士駅南口の無料シャトルバスの最新運行状況はどうなっていますか?
2026年8月1日のダイヤ改正により、市街地方面の吉原便は完全に廃止されました。JR在来線の富士駅を結ぶ夕方富士便についても特定日(土曜日や連休等)の計画運休が導入されています。新幹線以外の在来線でアクセスする場合は、事前に公式サイトで当日の運行状況をご確認ください。
新富士駅南口で新幹線や富士山が見える部屋を確実に予約できますか?
予約時に眺望や階数を100%確約することはできません。予約時の備考欄で「トレインビュー希望」「富士山側希望」と書き添えることで当日の配宿時に配慮される場合がありますが、混雑状況によっては対応できない日もあるため注意が必要です。
富士山周辺の東横インは、静岡側の「新富士駅南口」と山梨側の「富士河口湖大橋」という、立地も役割も明確に異なる2つの拠点によって成り立っています。
送迎シャトルバスのダイヤ改編や駅からのアクセス距離を冷静に見極め、自身の交通手段に合致した拠点を正しく選定してください。
早朝6:30からの無料朝食と機能的な客室空間を上手に使いこなし、万全のコンディションで富士山麓の素晴らしい旅路を楽しみましょう。
神楽 岳志(かぐら・たけし|登山エッセイスト・富士山研究家)
富士山旅行では、観光地だけでなく「どこで夜を過ごすか」でも旅の印象は大きく変わります。
ホテルとは少し違う時間を楽しみたいなら、富士山を望めるグランピングも候補のひとつです。
ただし、景観、食事、設備、アクセスなどは施設ごとに違うため、雰囲気だけで決めると迷いやすいところ。
そこで、富士山周辺でグランピングを探すときに知っておきたいポイントを、こちらの記事で分かりやすく整理しています。
次の富士山旅行を考えている方は、気になる施設を探す前の参考にしてみてください。
「こんな過ごし方もあるのか」と、旅の選択肢が少し広がるはずです。


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